原題:Psychiatry and Philosophy of Science
著者:Rachel Valerie Cooper(1974-)
監訳:伊勢田 哲治[いせだ・てつや](1968-)
監訳:村井 俊哉[むらい・としや](1966-)
訳者:植野 仙経[うえの・せんけい](1976-)
訳者:中尾 央[なかお・ひさし](1982-)
訳者:川島 啓嗣[かわしま・ひろつぐ](1979-)
訳者:菅原 裕輝[すがわら・ゆうき](1987-)
装幀:(有)夫馬デザイン事務所
NDC:493.7 内科学 >> 神経科学.精神医学
件名:精神医学
件名:科学哲学
【目次】
目次 [i-vi]
第1章 はじめに――精神医学と科学哲学 001
1 用語と概念について 002
(1) 精神医学、臨床心理学、精神分析?
(2) 精神疾患とは何か?
(3) 精神疾患を抱えた人は誰で、どこにいるのか?
(4) 科学哲学とは何か
2 精神医学は科学だろうか?…… なんて、どうでもいいことだろうか? 007
(1) 精神医学が科学か否かということが、なぜ問題になるのか?
(2) ポパーと線引き問題
(3) 線引きの断念:家族的類似性をもつ用語としての科学
3 本書の概要 014
第2章 精神疾患の本性1 ――精神疾患は神話なのか? 016
1 精神科医に精神疾患がわかるのだろうか? 017
2 精神疾患は歴史的に不安定なカテゴリーなのか? 020
3 精神疾患は医学というより道徳の問題だろうか? 025
4 精神疾患の症状は社会的文脈へあまりにも依存しすぎか? 029
5 精神疾患を良いものとみなすことはできるか? 037
6 まとめ 041
第3章 精神疾患の本性2 ――精神疾患が実在するのなら、それは何なのか? 043
1 身体疾患と精神疾患との区別 043
(1) 用語について
2 生物学的学説 046
(1) 生物学的学説の第一の問題点:機能不全は障害の十分条件ではない
(2) 生物学的学説の第二の問題点:機能不全は障害の必要条件ではない
3 フルフォードの行為に基づく学説 052
4 障害についてのアリストテレス的学説 054
(1) 問題:アリストテレス的学説は過剰に包摂的である
〈障害ではないが生物学的に劣悪な状態〉
〈社会的・教育的に劣悪な状態〉
〈悪徳〉
5 込み入った学説 059
6 ロッシュ的概念としての障害 062
7 まとめ 064
第4章 精神医学における説明1 ――自然誌に基づく説明 067
1 自然種についての補足 072
(1) 伝統的見解の区分
(2) 自然種に関する学説
2 精神疾患は自然種であるという見解への反論 081
(1) ばらつきからの反論
〈第一の応答:生態学的ニッチ〉
〈第二の応答:ばらつきは許されている〉
(2) ハッキングのループ効果による反論
(3) 機能主義者の反論
〈反論〉
〈一つの応答〉
3 精神疾患の類型は自然種なのか? 097
4 帰結 099
5 まとめ 101
第5章 精神医学における説明2 ――個別の個人誌 104
1 素朴心理学的な理解についてのシミュレーション説 104
2 シミュレーションと個人誌 107
3 シミュレーションの限界 110
(1) 合理性
(2) 個人的体験
(3) 生物学的および化学的な差異
(4) トラウマ
(5) 奇異な心的状態をシミュレーションするうえで予測される能力の違い
〈簡単なシミュレーション:異なる「周辺的な」信念をもつケース〉
〈困難なシミュレーション:異なる基礎的欲求をもつケース〉
〈さらに困難なシミュレーション〉
(6) 無意識の心的状態
4 伝統への回帰――他の説と比較したときの個人誌のシミュレーション説 125
5 倫理と個人誌 127
6 まとめ 128
第6章 理論と理論との関係1 ――異なるパラダイムが出会うとき 130
1 パラダイムと通常科学についてのクーンの考え 131
2 通約不可能性についてのクーンの考え 134
(1) 知覚はパラダイムに依存する
(2) 意味はパラダイムに依存する
(3) それぞれの要素がもつとされる重要性はパラダイムに依存する
3 精神医学におけるパラダイム 139
4 クーンが論じなかったもう一つの問題――専門職間の競合関係 143
5 十全なコミュニケーションをともなわない協働関係 147
(1) 接触言語としてのDSM
6 パラダイム間を横断する十全なコミュニケーションを目指して 151
(1) 多分野にわたるトレーニング
(2) 患者と直接関わること
〈世界を異なったように知覚する〉
〈用語の意味〉
〈価値観の違い〉
7 まとめ 160
第7章 理論と理論との関係2 ――還元主義 162
1 三種類の還元主義 162
2 心とは何か? 心についての理論は脳についての理論に還元できるか? 164
(1) 第一の学説:二元論
〈誤解1:精神医学の研究は二元論が誤りであると示してきた〉
〈誤解2:二元論は死後の生を信じるために必要である〉
〈誤解3:二元論は自由意志のために必要である〉
(2) 第二の学説:同一説
(3) 第三の学説:機能主義
〈機能主義と説明的還元主義〉
〈機能主義の問題〉
(4) 第四の学説:消去的唯物論
(5) 第五の学説:非法則的一元論
〈デイヴィドソンによる心的なもの〉
〈デイヴィドソンによる物理的なもの〉
〈非合理性に関するデイヴィドソンの見解についての注釈〉
〈デイヴィドソンについてのもう一つの注釈――その含意は限られたものである〉
(6) 心に関する学説の要約と、精神医学にとっての含意
3 方法論的還元主義 193
4 まとめ 195
第8章 価値と利害関心の取り扱い1 ――価値負荷的な科学としての精神医学 197
1 事例研究にあたって 199
(1) 一八四〇年の国勢調査
(2) 移民における精神疾患
(3) 異なる人種集団における精神疾患
2 様々な価値負荷性 203
(1) 研究領域の選択
(2) 検証すべき仮説の定式化
(3) エビデンスの評価
(i) 母集団の選択
(ii) 価値観とデュエム-クワイン問題
(iii) 価値と証言
(iv) 価値と基準線:正常な体と心に関する想定
(4) 科学的知見の提示
(5) 科学的知見の使用
3 他の科学との比較 213
4 何ができるだろうか? 214
(1) 提案その1:科学を価値から自由にする
(2) 提案その2:価値を自覚する
(3) 提案その3:研究に「良い」価値を担わせる
(4) 提案その4:適切な人物に研究を行わせる
〈強い立脚点認識論(standpoint epistemology)〉
〈穏当な立脚点認識論〉
(5) 提案その5:科学者はお互いの不十分な点を訂正しうる
5 まとめ 221
第9章 価値と利害関心の取り扱い2 ――大企業と治療の評価 225
1 ランダム化比較試験(RCT)について 226
2 治療効果の評価にともなう問題 229
(1) 被験者の選択と結果の一般化にともなう問題
(2) 効果判定にともなう問題
(3) RCTによる評価に適した治療とは
3 精神医学における社会認識論と信頼の崩壊 240
(1) 思い通りの結果を得ること
(2) 思い通りの結果の公表
4 問題の診断 248
(1) 証言管理の重要性
(2) その他の証言管理の解決法
〈数と修正を信頼する:ウィキペディア〉
5 精神医学に立ち返って 255
(1) 研究者を信頼に値するものにする
(2) ミクロな規制と点検に頼る
6 まとめ 260
第10章 おわりに 263
謝辞 [267-268]
監訳者解説(二〇一五年三月 監訳者) [269-279]
1 本書の概要
2 精神医学の専門家にとっての意義(村井)
3 科学哲学の専門家にとっての意義(伊勢田)
4 翻訳について
注 [25-31]
文献案内 [23-24]
文献一覧 [7-22]
索引 [2-6]
訳者一覧 [1]