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目次とメモを置いとく場

『調べる技術――国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』(小林昌樹 皓星社 2022)

著者:小林 昌樹[こばやし・まさき](1967-) 司書。レファレンス論、図書館史、近代出版史、読書史。
件名:情報活動(インターネット)
件名:レファレンスワーク
NDLC:UA21
NDC:002.7 総記 >> 知識.学問.学術 >> 研究法.調査法
NDC:007.58 総記 >> 情報科学 >> ドキュメンテーション.情報管理 >> 情報検索.機械検索
備考:メールマガジンでの連載を書籍化したもの。https://www.libro-koseisha.co.jp/webcolumn_category/mail-reference-tips/


調べる技術――国会図書館秘伝のレファレンス・チップス | 皓星社(こうせいしゃ) 図書出版とデータベース


【目次】
目次


はじめに
本書はどんな人に向くか
  こんな人に向く
本書で使う言葉について
  チップス(ティップス)
  レファレンス=参照
  レファレンスとリサーチの違い
  NDL(国立国会図書館
  DB(データベース)
参照する相手
  あたる相手が大切だ――然るべき参照相手を探すには
  然るべき他者→本やDBといった工具(ツール)
  専門家は専門外のレファレンスができない
  レファレンスを専業とする仕事→司書
レファ司書の強み――学際、未知、その他
  とりあえずググればよくなったが……
  Googleにも使い方があろうかと



第1講 「ググる」ことで、我々がやっていること――世界総索引でアタリをつける
技法やら予備知識やら、知っているべきことにも大きさがある
Googleならではの役割とは?
アタリ(見当)をつける
昔の職人的レファレンサーは新聞を全部読んでいた
その先へつなぐ者――Googleならではの役割
Googleがやってくれないこと――専門的ツールをどのように引くか
専門的ツール類の一覧


第2講 答えを出す手間ヒマを事前に予測する――日本語ドキュバースの三区分
主題と時間と空間と
レファレンスの難易度表
戦後の文献世界
戦前の文献世界
前近代の文献世界
文献残残存率と基本構造は呼応する
日本語空間(≒国)について
こんなことを考えたきっかけ


第3講 現に今、使えるネット情報源の置き場――NDL人文リンク集
大きい書誌DBはネットでタダで見れられる
リンク集があるといいなぁ……
NDLの人文リンク集を知っておくと便利
NDL人文リンク集の利点
  現に使える――リンク切れが少ない
  とっさに選べる――多すぎない
  NDCさえ知っていればどこへでも飛べる
実際に見てみよう――例えばマンガ研究
人文リンク集の工夫
  便利ツールというジャンル
  リンクが踏めない項目がある―― 一見、欠点に見えるが
人文リンク集の弱点


第4講 ネット上で確からしい人物情報を拾うワザ――人物調査は三類型で
人文調査の三類型
無名人の調べはケモノ道だが、半有名人の調べは?
  限定的有名人の「限定」がキモ――どの時代、どのジャンルかをGoogleブックス
  半有名人用のレファ本もあるが……。
契約DBと無料DB
「典拠」とは何か――おなまえのコントロール手段だった
試しに使ってみる――ある図書館員の没年は?
  人名事典としてわかる要素
  英語がわかれば、外国人の日本人データを使って
  もう一つのチップスを――典拠で拾ったデータからググり直してみると、さらに確からしい情報がゲットできる
NDL典拠「使用上の注意」
  戦前のデータの多くは「常識読み」
  生没年が付かなくなった
  典拠欄が人物文献に
関連するレファ本、同様のDB
  収録人数がケタ違い→半有名人の調べにピッタリ
補記(司書向け)


第5講 見たことも、聞いたこともない本を見つけるワザ
「未知文献」を見つける方法がある
  本の中身をコトバに
  「件名」はコントロールされた特殊なキーワード
見たことも、聞いたこともない本を見つけるワザ
  例えば徳川家康の小説
  例えば、東ローマ帝国を舞台にした小説
日本では?
  でも、実際にはなんかヘンテコ
  件名が付与されていない図書のデータがある
求める事柄の件名を見つけるには2つ方法がある
  求める件名をどうやって見つけるか
  タイトル中の自然語から件名を見つける方法
細目の不備をどう補うか
  細目にあたるコトバをキーワード欄に足して引き直す
  典拠から細目付きの一覧を見てみると……
まとめ
メモ(玄人向け)


第6講 明治期からの新聞記事を「合理的に」ざっと調べる方法
新聞紙のこと
記事を検索する手段は2つ
新聞DBの引き方
  DBは戦後の三大紙にそれぞれある
  記事データの構成
  広告も記事として引ける――ただしデータ構成の断層に注意
  事例でわかる「概念検索法」の得失
新聞集成を引く
  新聞集成とはレファ本の一種
  新聞集成の系統
  Cの記事索引――国会図書館目次DBにあり
  (元祖)新聞集成のデジコレ版
スクラップブック由来の新聞DBを
新聞記事文庫(神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ
明治~昭和戦前期の『官報』も新聞紙DBとして使える
『官報』は昭和前期まで新聞紙でもあった
まとめ


第7講 その調べ物に最適の雑誌記事索引を選ぶには
本は今、わりあいと見つかる
記事はまだまだ難しい
余談:事項索引やら語句索引やら
元祖雑索の硬直性と、代わりに出てきた民間の雑索
雑索にはそれぞれの採録年代の範囲と得意ジャンルがある
採録年代がまず大切
得意ジャンルが次に大切
何から引くべきか――大学や図書館にいればざっさくプラスからか
事例1:【文学】戦前の作家、藤澤清造についての文献を集めたい
事例2:【生活分野】「ファースト・シューズ」という風習について、その起源・由来を知りたい
応用――全文検索との駆け合わせ
おまけ――論文集の論文を引く
記事扱いされない広告記事
最後に
【付録】主要雑誌記事索引のURLと操作上の注意


第8講 索引などの見出し語排列で落とし穴を避ける
インデックスをちゃんと引けてる?
見出しなんて五十音順に決まってる!……ん?
いろはの順番は我々には……
電話帳式
字順排列(letter-by-letter)と語順排列(word-by-word)
百科事典排列VS.国語辞典排列――長母音カウントの有無
濁音(「゛」「゜」)は後回しだったり
戦前の本にある「活字を組んだ順」のもの
さいごに


第9講 Googleブックスの本当の使い方
はじめに
日本人にとって「使い物に」なったのは2006年から
  新しくって著作権OKの本は説明しませぬ
  1995年以前の著作権本未処理のものが重要
  引けるのは図書、雑誌
  読むのには使えない。一部しか見えず、テキストに前後入替がある
  誤変換たくさん!
だから結局、本の現物に戻らないといけない
事例:「全米が泣いた」というフレーズの初出はいつか?
  フレーズ検索を使う
  ツールバーで期間「20世紀」を選ぶ
  一覧はおしまいのほうから見る
  一覧も漠然と見るのではなく、次の一手を見つけるように見る
Googleブックスに関するその他のチップス
まとめ
メモ(玄人向け)


第10講 NDL次世代デジタルライブラリーは「使える」――その注意点とともに
「次ぎデジ」
次ぎデジはデジコレ全文データとは違うもの
(当面は)戦前期全文DBとして「使える」
初出の調査で使える――「立ち読み」の初出例
次ぎデジのチップスいろいろ
  文字の正規化
  年代ソート
  他のコマのテキスト
  ルビ
日本の学問が全部書き変わる?
思いつき――官報が全文DBされたなら


第11講 「として法」――目的外利用こそ玄人への道
知識分野1つあたり150冊のレファ本があるけれど
レファ司書のレゾン・デートル
「として法」事例いろいろ
要するに
  ジェネラルなツールのスペシフィックな使い方
  他ジャンルに転用して使えるツールに気を配る
コメント(玄人向け)


第12講 答えから引く法
レファレンサーは苦手なことばかり聞かれる
頼朝偑刀の銘は?
  答えから引く法
考察
  〈答えから引く法〉の欠点
  〈わらしべ長者法〉や〈要素合成検索法〉でフォローする
  ウィキペディア日本語版サブカルチャー項目で使える
  過渡期の終焉?――NDLのデジコレがいよいよ真価を?


第13講 パスファインダー(調べ方案内)の見つけ方
ある日の会話
パスファインダーってナニ?
パスファインダーの要素(図パスファインダーの初期例「ハーマン・メルヴィル〔を調べるには〕」(1970年代 アディソン・ウェスリー出版社製)】の説明)
「書評をみつけるには」というパスファインダーがあるとして
ある種の分類でディレクトリ的に格納されているのだが……
分類が付いているものは、そこから再検索
パスファインダーを見つけるには→実は簡単な方法が
その主題のパスファインダーがない場合


第14講 レファ協DBの読み方――レファレンス記録を自分に役立つよう読み替える
はじめに
  うまく広まらなかったレファレンス業務
  レファ協は司書が回答するQ&Aサイト
  「同じことは、二度と聞かれない」―― 一回性の再現性は?
事例:「大明堂という出版社について」
  Questionの読み替え―― 一段階抽象化法(固有名詞の普通名詞化)
Answerの読み方 レファレンス記録を自分に役立つよう読み替える
  「1」大明堂という出版社について」の部分
  1)の補足1 回答の論理的な穴を埋めてみる
  1)の補足2 回答の時代的制約を考える
  「2」大明堂の創業者、神戸文三郎〔かんべ・ぶんさぶろう〕ついて」の部分
  「その他調査済み資料」
  事案を事例として読む(まとめ)
求める事例の見つけ方


同じ魔法が使えるようになるために――あとがきに代えて
「当たり前」を超えて
私が「創案」した部分
まだあるチップス
類書ないし先行文献について
技法の名付け問題
呪文の詠唱
魔術の天才は
個々のツールを憶えこむのが技法ではない


コラム
A.紹介したサイトのURLについて
B.本当にNDL「秘伝」なの? 本書タイトルについて(1)
C.「レファレンス」か「リファレンス」か? 本書タイトルについて(2)
D.「〇〇の文献がある」と述べる文献を見つけること
E.おまえはただの現在にすぎない――インターネット
F.レファレンス・チッブスを開発するヒント(玄人向け)
G.「見当たりません」という言い方(玄人向け)




【抜き書き】


・第8講から、排列(電話帳式)について。

日本人(日本語人)をやっている自分には、見出しだけを見る限り、実は電話帳式がいちばん引きやすい気がするが、排列キーの自動生成[注]が難しいせいか、近年は流行らない。また、姓名のように、ワードの区切りが明確な場合はよいが、普通名詞や団体名などのように、区切りが不明確な場合にはワード順の排列は適用されず、読みの字順で排列されることが多い。

[注] 何も考えないとJIS漢字順などという索引ができたりする。2バイト文字が検索できるDBが開発されるようになってから(1990年代後半からか)、排列に関する知識が司書にすら無くなってきた。無くても済めばいいのだが、そうはいかないから困る。


・本題から外れるうえに杞憂だが、「日本語人」という表現には既に疑似科学の色がついているので、ここでは、「日本語話者」とか「日本語を母語とする者」にしておく方が無難じゃないかと思う。