著者：李 英美［Ri Yongmi］(1988-) 歴史学。
装丁：大澤 悠大［おおさわ・ゆうだい］(1984-) グラフィックデザイン、アートディレクション。
件名：出入国管理--日本--1945-
NDLC：AZ-631
NDC：329.94 法律 >> 国際法 >> 国籍法．外国人法 >> 外国人登録法・出入国管理法
備考：学位論文を成書化。
帝国崩壊後、地方の現場は「他者」を分かつ境界をどのように立ち上げてきたのか。旧植民地出身者の外国人登録、大村収容所での釈放問題、「密航者」への地域のまなざしの三点を軸に、制度と現場の乖離に着目しつつ、戦後日本の移動管理の実態を考察する。
【目次】
目次 [002-003]
凡例 [004]
序章 005
第一章 「境界」をつくる――植民地以後の人の移動とその管理 029
1 外国人登録制度の形成期における身元証明と移動の管理 030
ひとつの「内申書」――朝鮮人・田鎖徳次郎の「発見」
引き直される「日本人」と「外国人」の境界
2 一九五〇年代初頭における外国人登録事務の現場 038
外国人登録法と「切替」制度
登録切替業務と「手続違反者」
第二章 「境界」の現場――地域における外国人登録事務の展開 051
1 「外国人登録事務協議会」の発足 051
「機関委任事務」としての外国人登録
外国人登録事務協議会全国連合会の結成
2 外国人登録における地域の独自性 056
「幽霊登録」・「不正登録」の背景
「居住地」書換えと移動の管理
登録事務従事者の声
3 成績優良職員の表彰 068
優良団体・職員の表彰理由
各市町村の成績調書
第三章 「境界」からの排除――朝鮮戦争前後の「密航」防止の取り組み 075
1 戦後期の出入国管理網と「密航」 076
戦後日本における「密航者」問題の位相
「密航者収容所」の設立
朝鮮戦争の勃発と出入国管理体制の再編
2 一九五〇年代初頭の沿岸警備をめぐる治安実践 087
「不法入国者」に対するの検挙における「民間人の現認」
防犯団体の結成
「密航監視哨」と沿岸住民
「密航」監視哨・監視哨員の行方
第四章 収容と送還のはざま――大村収容所の釈放問題を中心に 103
1 対日講和条約発効後の在留権の再定位 105
在留管理の受け皿としての「法一二六号」と「特別在留」
「不法入国者」に対する「釈放」措置――「釈放証明書」から「在留特別許可証」へ
2 大村収容所の釈放事業と保護団体 115
日朝関係と大村収容所――過剰収容問題と「釈放」
「確実な保護団体」の選定――善隣厚生会と解放救援会
日韓親和会の保護事業――「日韓親善」団体の誕生1
日韓文化協会の設立――「日韓親善」団体の誕生2
3 一九五〇年代における日韓会談中断期の人の移動問題 134
釈放者と保護団体
旧在朝日本人の「戦後」と朝鮮問題
第五章 「境界」へのまなざし――戦後長崎からみた大村収容所 149
1 戦後長崎と大村収容所 151
交錯する場の記憶――「交流」物語としての「日本の子どもたち」
大村収容所の開設
2 児童による大村収容所「慰問」の記録 157
長崎県下の綴方のなかの「密航」
戦後大村における作文教育の実践
学級通信「山ばと」にみる「慰問」に向けての学級会
作文「友情をつなぐ学級」
3 収容所への視線――教室の体験から映画『日本の子どもたち』へ 174
『日本の子どもたち』の制作
記録映画・教育映画としての『日本の子どもたち』
映画を取り巻くまなざし
日常化された「境界」――収容所の子どもたちとの文通記録
終章 193
戦後日本の出入国管理と「境界」の諸相
一九五〇年代を射程とした戦後日本の出入国管理と地域の再考
課題と展望
参考文献 [205-224]
1 地方公文書館所蔵・外国人登録関係文書
2 公刊資料
(a) 政府刊行物
(b) 警察関係刊行物
(c) 統計資料
(d) 機関・団体雑誌・資料
3 手記・回顧録
4 新聞
5 市史、議会史、資料集など
6 文献
7 論文
註 [225-270]
あとがき（李 英美） [271-278]
初出一覧 [279]
人名索引 [280-281]
事項索引 [282-284]
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『外国人をつくりだす――戦後日本におけるおける「密航」と入国管理制度の運用』(朴沙羅 ナカニシヤ出版 2017) - contents memorandum はてな
『パスポート学』(陳天璽 大西広之 小森宏美 佐々木てる[編] 北海道大学出版会 2016) - contents memorandum はてな
『戸籍と国籍の近現代史――民族・血統・日本人』(遠藤正敬 明石書店 2013) - contents memorandum はてな
……とくに「第4章 植民地と「日本人」」と「第5章 戦後「日本人」の再編」。
