原題：Deviance & Medicalization: From Badness to Sickness, 1980 (Expanded edition, 1992).
著者：Peter Conrad
著者：Joseph W. Schneider
監訳：進藤 雄三［しんどう・ゆうぞう］(1954-) 医療社会学、理論社会学、家族社会学。
訳者：杉田 聡［すぎた・さとし］(1960-) 保健医療史、医療社会学
訳者：近藤 正英［こんどう・まさひで］(1966-) 医療社会学
シリーズ：MINERVA社会学叢書；23
逸脱と医療化 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
医療化現象の社会的意味と理論的含意――社会学理論、医療社会学、逸脱理論との交錯領域に位置する社会学上の古典的著作。逸脱論の医療現象への応用編という性格をもち、よりマクロな現象との連関も分析している。ここで取り扱われる「医療化」の諸現象は、現在の日本においても明確に観察可能か、次第にその重要性を増しつつある現象である。とくに社会問題化している児童・青年の教育・犯罪現象、ならびに「精神鑑定」における「責任」の問題を考える上でも基礎的なデータ・分析が提供されている。
【目次】
日本語版への序文 [1-5]
緒言（Gusfield, Joseph R.） [7-16]
序文 [17-19]
第1章 逸脱，逸脱定義，医療専門職 001
逸脱に関する社会学的な研究の方向性 002
セイレム村の魔女騒ぎ 005
逸脱の普遍性と相対性 009
社会統制 013
医療専門職とアメリカにおける逸脱 016
本書の概要 030
推薦図書 031
原注 032
第2章 悪から病いへ――逸脱認定の変化と社会統制 033
逸脱への歴史――社会構築主義的アプローチ 33
現実の社会的構築――知識社会学 38
逸脱，病い，医療化 54
逸脱の医療化 62
まとめ 68
推薦図書 70
原注 71
第3章 狂気の医療モデル――精神病の出現 073
狂気に襲われるということ――古代パレスチナ 74
医療モデルの起源――古代ギリシャとローマ 75
神学モデルの支配――中世 78
ヨーロッパの経験――精神の病いとなる狂気 84
19世紀アメリカの経験――精神病の収容施設 92
精神疾患の科学 100
精神衛生における第三の革命 115
地域社会の精神保健――大胆な新しいアプローチ 125
1970年代における狂気の医療モデル 132
まとめ 134
推薦図書 136
原注 137
第4章 アルコール依存症――酒浸り，飲酒癖，疾病概念 139
アルコールの生理学――医学モデルの無条件の応用 139
アルコールと行動――統制の問題と論争の始まり 142
疾病としての逸脱飲酒――歴史的な基盤 148
疾病概念とアメリカの禁酒運動 154
禁酒法以後の再発見――イェール・センター，アルコホリックス・アノニマス，ジェネリックによる定式化 162
アルコール依存症は疾病か 184
アルコール依存症に関する疾病概念の将来 194
まとめ 202
推薦図書 206
原注 208
第5章 アヘン嗜癖――医療的関与の盛衰 211
アヘンの性質 211
奇跡の薬―― 19世紀以前のアヘン使用 213
19世紀のアヘンをめぐる政治 216
国際的なコントロールの追求とアメリカの反応 232
犯罪という認定が支配的な時代 242
嗜癖に対する医療的認定の再興 247
補論――イギリスの経験 250
メタドンとアヘン嗜癖の再医療化 254
まとめ 267
推薦図書 270
原注 270
第6章 子供と医療化――非行，多動症，児童虐待 273
子供期の発見 273
少年非行の起源 276
多動症の発見 290
医療問題としての児童虐待 299
医療化の対象としての子供 314
推薦図書 317
原注 317
第7章 同性愛――罪から病いそしてライフ・スタイルへ 321
道徳観の基盤――自然に反する罪 321
罪から犯罪へ――初期キリスト教と中世 329
新しい道徳観のコンセンサス――罪から病気へ 333
医療モデルの強化――同性愛の創造 338
精神医学的視点の台頭 344
脱医療化――挑戦の歴史 360
まとめ 395
推薦図書 399
原注 399
第8章 医療と犯罪――生来性犯罪者の探索と犯罪に対する医療的統制（Moran, Richard） 405
治療の理念と生来性犯罪者の探索 407
治療的専制の危険性 417
生物医学的研究の世紀 420
行動変容 430
バイオテクノロジー 445
まとめ 452
推薦図書 455
原注 456
第9章 社会統制装置としての医療――社会への帰結 457
医療による社会統制の類型 457
逸脱の医療化の社会的帰結 465
逸脱の医療化と社会政策 477
逸脱の医療化――最終的覚書 487
まとめ 489
原注 491
第10章 逸脱の医療化に関する理論的言明 495
歴史的・概念的な背景 495
逸脱の医療化についての帰納的理論 503
結語 521
まとめ 522
原注 523
後記 逸脱と医療化―― 10年後 525
概念的問題 526
『逸脱と医療化』と社会構築主義 529
医療化された逸脱―― 10年後 531
研究の新領域と将来の問題 542
後記 参照文献 546
参考文献 [550-567]
翻訳のある文献 [568-571]
訳者あとがき（進藤雄三） 573-578]
人名索引 [579-580]
事項索引 [581-587]
