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『環境思想とは何か――環境主義からエコロジズムへ』(松野弘 ちくま新書 2009)

著者:松野 弘[まつの・ひろし](1947-)  社会学経営学(産業社会論・CSR論、地域社会論)、環境思想論。
NDC:519.2 公害史・事情。


筑摩書房 環境思想とは何か ─環境主義からエコロジズムへ / 松野 弘 著


【目次】
目次 [003-004]


まえがき――地球環境危機と環境思想の役割 005


第1章 環境思想とは何か――基本的視点展開 009
1 「環境思想」はどのように捉えられてきたのか 013
2 「環境思想」の意味と論理 019
  「環境思想」への基本的視点
  「環境思想」の歴史的変遷
  欧州型環境主義思想の視点と考え方
  「環境思想」の現代的な意味
  「環境思想」の現代的な展開――視点と考え方


第2章 豊かな社会のディレンマ 035
1 産業革命は何をもたらしたか 036
  産業革命の登場と功罪
  二つの発展思想
  社会発展をめざす「社会進歩思想」
  近代産業社会の基本要素としての「社会進化思想」
  近代産業社会を科学化する「実証主義思想」

2 「ヘッチヘッチ論争」とは何か 045
  論争の背景
  「ヘッチヘッチ論争」とは何か
  「ヘッチヘッチ論争」の意味

3 「成長の限界」論登場の背景と要因 050
  「成長の限界」論登場の背景と要因
  「成長の限界」論の意図と意味
  「成長の限界」論批判の源泉
  「成長の限界」論への批判的論点
  方法論的な立場からの批判――予測手法の妥当性の視点
  保守的な立場からの批判
    〈A「人間特例主義パラダイム」(HEP)からの批判的論点〉
    〈B「新エコロジカル・パラダイム」(NEP)からの批判的論点〉
  リベラルな立場からの批判
    〈A「人間特例主義パラダイム」(HEP)からの批判的論点〉
    〈B「新エコロジカル・パラダイム」(NEP)からの批判的論点〉
  ラディカルな立場からの批判
    〈A「人間特例主義パラダイム」(HEP)からの批判的論点〉
    〈B「新エコロジカル・パラダイム」(NEP)からの批判的論点〉
  環境政治学/緑の政治学的立場からの批判
    〈N・カーターからの批判的論点(環境政治学的・環境政策論的視点)〉
    〈R・エッカースレイの批判的論点(環境政治学的・緑の政治学的視点)〉
  持続可能な発展(開発)
  エコロジー的近代化論
  産業エコロジー論 


第3章 環境思想の登場 087
1 初期環境思想(1) ――伝統的環境思想の浸透(一八 - 一九年代) 088
2 初期環境思想(2) ――近代環境思想の登場(一九 - 二〇世紀) 092
3 中期環境思想(1) ――現代環境主義思想の萌芽(一九六〇 - 七〇年代) 095
4 中期環境思想(2) ――ラディカルな環境主義思想の出現(一九七〇 - 八〇年代) 097
  「成長の限界」論から派生した警告
  樹木の当事者資格と「自然の権利」思想
  「ディープ・エコロジー」思想の出現
5 後期環境思想(1) ――環境主義思想の政治化(一九八〇 - 九〇年代) 101
  国際的な環境政策への取り組みと各国政府の環境政策の形成と推進
  環境政策スペシャリスト集団の勃興
  フェミニズム思想との融和による政治化
6 後期環境思想(2) ――環境主義思想の緑化(一九九〇 - 二〇〇〇年代) 105
  エコロジズム思想の登場と展開
  環境運動のグローバル化
  「エコロジー的近代化論」の登場
7 後期環境思想(3) ――制度的変化のための環境思想(緑の思想)への転換(二〇〇〇年以降) 110
  地球環境危機への対応
  環境思想の有機的な統合化
  緑の国家論――オルタナティブな環境国家思想


第4章 変革思想としての環境思想―その五つの潮流 117
1 人間と自然との関係を変革していく思想(1) ――「ディープ・エコロジー論」 118
  A・ネスの生態系中心主義思想
  浅薄なエコロジーと深遠なエコロジー
  自己実現と生命中心的平等

2 人間と自然との関係を変革していく思想(2) ――「自然の権利」思想 127
  「自然の権利」思想
  「超絶主義」思想(R・W・エマソン、H・D・ソロー)
  「土地倫理」思想(A・レオポルド)
  「動物の権利(解放)」思想(P・シンガー、T・レーガン
  「自然物の権利」思想(C・D・ストーン)
  環境思想における「人間中心主義」から「生態系中心主義」への転換

3 人間と自然との関係を変革していく思想(3) ――「環境的正義」思想 140
  「環境的正義」思想の登場と展開
  「正義論」から「環境的正義論」へ
  環境的正義の視点と課題

4 産業社会を変革していく思想――「持続可能な発展(開発)論」と「エコロジー的近代化論」 149
  「持続可能な発展(開発)論」の影響力
  「エコロジー的近代化論」 の登場と展開
  社会システムにおけるエコロジー的領域の役割
  二つの「エコロジー的近代化論」
  「エコロジー的近代化論」 の役割と限界

5 社会制度を変革していく思想――「ラディカル・エコロジー思想」 170
  制度変革のための「ソーシャル・エコロジー思想」
  「ソーシャル・エコロジー思想」における「支配−服従」関係
  「リバータリアン的地域自治主義」とは何か
  「エコソーシャリズム思想」(エコ社会主義思想)の視点と課題
  エコソーシャリズム思想の登場と意味
  エコソーシャリズム思想とマルクス主義との関係
  資本主義社会の二つの矛盾
  「エコフェミニズム」の登場
  「エコフェミニズム」の特質と類型
  「エコフェミニズム」の位置


第5章 環境思想の現代的展開 199
1 政治的な変革思想としての「環境政治思想」 200
  新しい政治理論としての「環境政治思想」の登場
  環境政治思想から、緑の政治思想へ

2 経済的な変革思想としての「環境経済思想」 206
  公害・環境問題による経済思想の変容――環境経済思想の誕生
  環境経済学の視点と考え方
  環境経済学と異なる立場の、エコロジー経済学の視点・考え方・役割

3 文化的な変革思想としての「環境文化思想」 213
  環境文化思想とは何か
  環境倫理思想の進化とディープ・エコロジーの役割
  内面的変革から、外面的変革への転換
  
4 法的な変革思想としての「環境法思想」 222
  環境破壊と「自然の権利」の位置
  「自然の権利訴訟」の意味――「自然の権利」思想の法的萌芽
  アメリカにおける自然の権利訴訟の成果
  日本における自然の権利訴訟
  「自然の権利」論の今後の視点と課題

5 政策的な変革思想としての「環境政策思想」 229
  「エコロジー的近代化論」 の登場と環境政策の転換


第6章 現代環境思想は何をめざすべきか 235
1 環境思想の源泉と目標 235
2 転換期の環境思想への視点と方向性 237
3 環境思想の現代的位相と新しい環境社会への視点・条件 238
  現代環境思想への多元的アプローチの可能性
  「緑の国家」への転換のための基礎的な条件
  「環境的持続性指標」(ESI)の内容と評価結果
  「環境パフォーマンス指標」(EPI)の内容と評価結果
  ESIとEPIによる環境ガバナンスの今後の方向性
4 「緑の福祉国家」への政策転換――スウェーデンを例に 248
5 新しい環境社会のための「緑の福祉国家」構想と展望 254
  緑の政治思想の萌芽
  「緑の国家論」構想の視点と考え方
  「緑の国家論」の段階的発展
  「緑の国家論」の政策構想
     〈A 「環境的多国間主義」の発展〉
     〈B 「環境的危害に対する国家の責任」〉
     〈C 「開発の権利:経済的正義対環境的正義」〉
     〈D 「エコロジー的安全保障」〉
     〈E 「環境的危害・環境的介入にエコロジー的に応答する国家の必要性」〉
  「緑の憲法」の視点と考え方
     〈A 「緑の憲法」の前提と主要条項〉
     〈B 「緑の憲法」構想における主要な政策規定〉
  「緑の国家論」構想への展望


おわりにかえて――「ヘッチヘッチ論争」再考 273


あとがき(平成二一年一〇月一日 松野 弘) [277-281]
資料 現代環境思想の潮流 [282-289]
引用・参考文献 [290-300]