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『心理学の名著30』(サトウタツヤ ちくま新書 2015)

著者:サトウ タツヤ[佐藤 達哉/さとう たつや] (1962-)  質的心理学、社会心理学、心理学史。


筑摩書房 心理学の名著30 / サトウタツヤ 著


【目次】
目次 [003-006]
はじめに [007-011]


第1章 認知・行動領域――「ヒト」としての心理学 013
01 ジェームズ『心理学について』――近代心理学の土台となる思想 014
William James, Talks to Teachers on Psychology: and to Students on Some of Life’s ideals, 1989
  哲学者西田幾多郎にも影響を与えた心理学者/意識は不断に流れている/心理学への様々な影響/『心理学原理』の余波/人間への飽くなき興味


02 ルリヤ『偉大な記憶力の物語』――記憶力が良ければ幸せか 023
А. Р. Лурия, Маленькая книжка о большой памяти (Ум мнемониста), 1968
  同窓会でその当時に戻れるのはなぜ?/記憶の分類/特殊な記憶の持ち主/忘れることも立派な能力


03 スキナー『自由と尊厳を超えて』――新たな行動主義 030
Burrhus Frederic Skinner, Beyond Freedom and Dignity, 1971
  行動を分類する/行動主義の誕生/罰に対して反対する/ジェームズからの影響/価値と文化の行動分析/死ぬという行動はオペラント行動


04 ノーマン『誰のためのデザイン?』――アフォーダンスの応用 039
Donald A. Norman, The Design of Everyday Things, 1988
  ギブソンアフォーダンス理論/デザインは記号の配置である/アフォーダンスをいかに応用するか/知覚の心理学を実社会で活かす/


05 セリグマン『オプテミスィトはなぜ成功するか』――無力感の研究から始まる楽観主義 046
Martin E. P. Seligman, Learned Optimism, 1990
  無力感を学習するとは?/ポジティブ心理学の誕生/社会からも必要とされるポジティブ心理学


06 カバットジン『マインドフルネスを始めたいあなたへ』――自分らしく生きるための思考 054
Jon Kabt-Zin, Wherever You Go, There You are: mind fullness Meditation in Everyday Life, 1994
  行動療法その第三世代の波/自分を深く知り世界と調和するために/いまここを重視する


07 ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』――脳のなかの意識ではないもの 060
Vilayanur S. Ramachandran, The Emerging Mind, 2003
  脳の中の混線と断線/数字に色がついて見える/ペンフィールドによる脳地図/言葉によって失った知覚


08 ダマシオ『デカルトの誤り』――身体と精神は別ではない 069
Antonio Damasio, Descarter’s Error/Emotion, Reason, and the Human Brain, 2005
  「我思う故に我有り」は本当か?/神経心理学における有名な参加者たち/感情が欠落すること/有機体としての人間


09 トマセロ『コミュニケーションの起源を探る』――人は協力するために他人を理解する 078
Michel Tomasello, Origins of Human Communication, 2008
  トルコと日本の協力関係/人は九カ月から社会の一員となる/子どもの心理学の歴史/「異なる視点」は人しかもたない


第2章 発達領域――「ひと」としての心理学 089
10 ビネ、シモン『知能の発達と評価:知能検査の誕生』――教育のための適切な検査 090
 (Alfred Binet, Théodore Simon, Development and of Evaluation of Intellignence: The Birth of Intelligence Test 邦訳:中野善達・大沢正子訳、福村出版、一九八二)
  知能検査と知能指数は違うもの/当時のフランスの状況/総合的判断を重視する知能検査/誤用される知能検査/検査することの権力性


11 フロイト精神分析入門』――心理学と精神分析のつながり 097
Sigmund Freud, Vorlesungen zur Einfu hrüng in die Psychoanalyse, 1917
  フロイトの前半期の総まとめ/独創的な発想/神経症の理解と治療/フロイト理論の魅力/新しい人間観としての精神分析


12 ユング『心理学的類型』――対立を乗り越えて 106
Carl Gustav Jung, Psychologische Typen, 1921
  ユングフロイトとの対立/フロイトアドラーの違いから理論を見出す/タイプ論/単純であるがゆえに複雑なものを引き出す


13 ヴィゴーツキー『教育心理学講義』――心理学が教育にできること 116
Lev Vigotskiy, Educational Psychology, 1926
  人間にのみある固有の機能/教育と心理学の関係/発達心理学ピアジェ/手助けを借りながら学ぶ


14 ロジャーズ『カウンセリングと心理療法』――カウンセリングの可能性を開く 125
Carl Ransom Rogers, Counseling and Psychotherapy: Newer Concepts in Practice, 1942
  誤解を受けやすいロジャーズ/児童相談所で多くの子どもと接する/あくまで援助するカウンセリング/グループワークを開発する


15 エリクソンアイデンティティとライフサイクル』――人間の発達の可能性 134
Erik H. Erikson, Identity and the Life, 1959
  エリクソンの不思議な生い立ち/児童分析が結実した『子ども期と社会』/「後漸成」という画期的な考え/「心理・社会的」発達の可能性


16 ギリガン『もうひとつの声』――他者への配慮の倫理 145
Carol Gilligan, In a Different Voice: Psychological Theory and Women's Development, 1982
  道徳性心理学と発達心理学/ハインツのジレンマにいかに答えるか/ギリガンによる発想の転換/道徳的問題に対するジェンダーの違い/脳に還元せずに考える


17 ブルーナー『意味の復権』――意味から物語へ 156
Jerome Bruner, Acts of Meaning, 1990
  認知革命の旗手/意味のない世界からの脱却/積極的に意味づけしていく存在としての「ひと」/ナラティブから文化へ/物語重視への転換(ナラティブ・ターン)の立役者


18 ハーマンス、ケンベン『対話的自己』――自己はたった一つではない 169
H. J. M Hermans. & H. J. G. Kempen, The Dialogical self: Meaning as Movement, 1993
  自己とは自分のことではない/自己は複数存在する/箱庭療法コンポジション・ワーク


第3章 社会領域――「人」としての心理学 177
19 フロム『自由からの逃走』――人間の本質とは何か 178
Erich Fromm, Escape From Freedom, 1941 (翻訳[新版]日高六郎訳、東京創元社、一九六六)
  悪についての洞察/近代における人間とは/社会的性格という新たな概念/権威主義的パーソナリティの本質/自由とは何か


20 フランクル『夜と霧』――人生の意味を問いなおす  188
Viktor Emil Frankl, Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager, in trotzdem Ja zum Leben sagen, 1977
  圧倒的な価値の源泉/人生の意味を見出す力/「私にしかできない何か」を問う/旧版と新版の違い


21 レヴィン『社会科学における場の理論』――ゲシタルト心理学の流れ 194
Kurt Lewin, Field Theory in Social Science, 1951
  ゲシタルトの概念を取り入れる/動きのゲシタルト:なぜ光が動いて見えるのか/ゲシタルト心理学の展開/子どもには場の構造をとらえるのが難しい


22 マズロー人間性の心理学』――動機づけを与えるために 204
A. H. Maslow, Motivation and Personality, 1954
  よりよい生活を送るためのヒント/ピラミッド型の欲求段階/自己実現/心理学における手段と目的の取り違え


23 フェスティンガー、リーケン、シャクター『予言がはずれるとき』――人は都合よく出来事を解釈する 210
Leon Festinger, Henry W. Recken and Stanley Schacher, When Prophecy fails, 1956
  終末予言と認知的不協和理論/社会心理学者の奇妙な人生


24 ミルグラム服従の心理』――誰もが悪になりうる 217
Stanley Milgram, Obedience to Authority An Experimental View, 1974
  アッシュの集団圧力の実験/人は致死量の電気ショックを与えるのか?/悪の凡庸さを実験によって証明する/倫理的問いを抱える


25 チャルディーニ『影響力の武器』――ダマされやすい心理学者による提案 225
Robert Cialdini, Influence; Science and Practice, 1988
  心理学は役に立つ?/勧誘のプロを研究する/心理学は悪用できるか?/どれだけ真剣に読めるか


26 ラザルス『ストレスと情動の心理学』――単純な因果関係を乗り越える 231
Richard S. Lazarus, Stress and Emotion: A New Synthesis, 1999
  生理学からはじまる/各方面から研究されるストレス/ストレスとトラウマ/物語(ナラティブ)アプローチによるストレス理解/


27 ミシェル『マシュマロ・テスト』――性格は個人の中には無い 240
Walter Mischel, The Marshmallow Test: Mastering Self-Control, 2014
  性格および性格を知るということ/性格理論が訴えることをひっくり返す/マシュマロ・テストとは何か/ホットシステムとクールシステム


第4章 心理学の展開 251
28 ロフタス『目撃者の証言』――記憶はどこまで信用できるか 252
Elizabeth F. Loftus, Eyewitness Testimony, 1979
  目撃者の証言はどれくらい使えるか/記憶はいつも不安定/心理学の応用は法の現場からはじまった/記憶による証言をどこまであてにするか


29 ヴァルシナー『新しい文化心理学の構築』――普遍と個別を架橋する概念としての文化 262
Jaan Valsiner, Culture in Minds and Societies, 2007
  文化と心理学の関係とは/「比較」文化心理学/「一般」文化心理学から見た文化/ディスコミュニケーションと自己の三層モデル/文化を扱うことの困難さ/複線経路等至性アプローチ


30 カーネマン『ファスト&スロー』――行動経済学の基本にある心理学的考え 272
Daniel Kahneman, Thinking, Fast and Slow, 2011
  経済学者か心理学者か/分かりやすさを重視した二項対立/速考としてのヒューリスティックの発見/プロスペクト理論/ファスト思考(速考)も合理的な判断/自己・人生・物語・幸福


あとがき [282-286]




【メモランダム】
・第2章第10節のビネ&シモン『知能の発達と評価――知能検査の誕生』は、元になる論文・書籍がどれか明示されていないので、(上記の目次でも)表記が異なったまま。
・日本心理学会のホームページで、サトウタツヤ執筆の記事(『心理学ワールド』第28号(2005年1月15日刊行)掲載)が公開されている。 知能検査100年 ビネ | 日本心理学会