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『科学アカデミーと「有用な科学」――フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ』(隠岐さや香 名古屋大学出版会 2011)

著者:隠岐 さや香[おき・さやか] 科学技術史。
装丁:夫馬デザイン事務所
NDC:402.35 自然科学 >> 科学史・事情(フランスの)


科学アカデミーと「有用な科学」 « 名古屋大学出版会


【目次】
目次 [i-v]


序章 「アカデミーの時代」と科学の制度化 001


第 I 部 18世紀前半までのパリ王立科学アカデミー

第1章 学者の社会的地位とアカデミー構想 011
1 17世紀初頭までにおける学者の社会的地位 011
  十七世紀における学者のパトロネージと私的アカデミーの抱える問題
2 王の庇護を求めて 019
  ホイヘンスの提案とコルベールのアカデミー設立計画
3 科学アカデミーと学者の役割 028
  一六九九年以後の科学アカデミーにおける階層構造と相対的な自律性
  科学アカデミーの社会的地位とその表象
  会員の身分構成と学者モデルの変遷
  科学アカデミーと言説生産――同僚評価、検閲、普及啓蒙


第2章 「有用な科学」の追求と18世紀前半における一定の達成 049
1 終身書記フォントネルの言説と「有用な科学」の追求 049
  想定された読者層と効果的な言説、隠れたプログラム
2 「専門性」を生かした副業の模索――レオミュルの嘆願 058
  学者と産業技術――産業監督官、発明、機械の審査
3 政府と科学アカデミーの関係 069
  科学アカデミーにみられる外部からの諮問――形式と頻度
  一七五〇年以前における政府からの諮問事例とその特徴
  会員達の二重性と科学アカデミーの二重性――行政機構と科学の共和国


第3章 「科学の共和国」と外界に対する距離感 081
1 政治・文化における分水嶺としての18世紀中葉 081
  グルネー・サークルと行政へ浸透する政治経済論・政治算術
  高等法院と王権の対立――問い直される政治的正統性
2 技術・産業における変化との関わり 094
  七年戦争の敗戦と技師達の躍進
  「エコノミー」の時代と科学アカデミー


第II部 啓蒙のフィロゾーフ達と問い直される科学の「有用性」 

第4章 再定義される科学の「有用性」 109
1 啓蒙のフィロゾーフ達とその科学観 109
  フィロゾーフの「征服」
  ビュフォン派とダランベール派の対立――科学の確実性における数学の役割
  確率論とその可能性をめぐる対立
  科学アカデミーにおける「解析の制度化」とダランベール
2 啓蒙期の科学観における理論研究の位置と「実利主義」 129
  十八世紀における「有用」概念の位置とその射程
  ビュフォンの科学観における実利主義と生活世界に基づく人間中心主義
3 コンドルセの科学観と「有用性」 136
  ダランベール派としての主張
  理論研究と技術の関係――ヴォーカンソンとその「機械学」の擁護
  終身書記コンドルセの描く技術と数学の可能性――位置の幾何学と機械、普遍言語
  啓蒙のフィロゾーフと科学と「有用性」


第5章 政治改革と「科学の共和国」 163
1 テュルゴーの改革と学者達の挑戦 163
  啓蒙のフィロゾーフ達からみた学者の社会的役割
  テュルゴーの改革と科学の「動員」(1)――家畜の疫病と医師ヴィック・ダジー
  テュルゴーの改革と科学の「動員」(2)――火薬硝石廠とラヴォワジエ
  テュルゴーの改革と科学の「動員」(3)――数学者達と運河・国内水運 
    (1) ピカルディー地下運河計画
    (2) 調査委員達の活動と報告書の謎

2 大臣ネッケルの政策と監獄調査 195
  大臣ネッケルの接近
  監獄についての報告書と科学アカデミーの自己検閲(一七八〇年)
  「覚え書き」にみる科学アカデミーの監獄論


第III部 統治のための科学とコンドルセユートピア

第6章 1780年代における「エコノミー」研究主題群の展開 213
1 「エコノミー」分類と旧字綴りの謎 213
  主題群(A)と輪廻の家政術的「エコノミー」
  「政治経済学」としての主題群(B)および(C)
2 宮内大臣ブルトゥイユと科学アカデミーの接近 224
  一七八〇年代における宮内省の変化
  科学アカデミーに対するブルトゥイユの諮問とその経緯
  気球委員会
  メスメリスムと反科学アカデミー
  調査と成功、科学アカデミーによる名声の奪取
3 「政治経済学」としての病院改革問題 240
  オテル・デューと病院改革問題
  ブルトゥイユによる科学アカデミーの動員
  改革への情熱と手探りの病院調査
  新病院の図面と英国への視察旅行
  第三報告書とパビリオン複数配置型プランの由来
  病院委員会の成功とブルトゥイユの失脚


第7章 コンドルセの社会数学と科学アカデミーの改革 263
1 《政治算術》とコンドルセ 263
  統治のための科学と学者の役割
  「道徳政治諸科学への計算の応用」構想の発表と確率論に対する沈黙
  「道徳政治諸科学への計算の応用」と確率論の展開
  ダランベールの懐疑とコンドルセによる形而上学的解決
2 新しい言語としての科学と科学アカデミーの改革 277
  十八世紀後半における科学と言語――自然誌、化学、数理物理学
  模索される道徳政治諸科学のための言語と科学アカデミーの役割
  体制改革の機運と「政治算術」研究発表の同時性(一七八四〜八五年)
3 人口・保険・公共事業――「統治の科学」を介した学者と行政官の遭遇 292
  エコノミーと《政治算術》――人口問題
  科学アカデミーと「政治経済学」との間における微妙な距離――富くじ・保険・年金
  公共土木事業と政治算術
  技術の政治と専門権威としての科学アカデミー
  政治の季節


第8章 フランス革命と科学のユートピア 319
1 革命と科学アカデミー 319
  科学アカデミーの廃止
2 「有用な科学」をめぐる闘争 333
  「アカデミー批判」の文脈と会員達の応答
  コンドルセの公教育論にみる大アカデミー構想
  ラヴォワジエと科学アカデミーの「有用性」
3 コンドルセの『人間精神進歩の歴史表』と夢の終焉 351
  『人間精神進歩の歴史表』と「科学の普遍的な共和国」
  アトランティスと科学の「間接民主制」
  革命後に生き延びた実践――大調査委員会


終章 「アカデミーの時代」が遺したもの――制度・ユートピア・忘却 365
1 科学技術史上における科学アカデミー像の再解釈 365
2 フランス啓蒙思想研究と科学アカデミー史の関わり――「有用性」と科学 369
3 「エコノミー」と経済学史 372
4 むすび――「有用な科学」と啓蒙の専制 373


あとがき(二〇一〇年十一月 隠岐さや香) [379-384]
注 [42-135]
参考文献 [11-41]
索引 [1-10]




【メモランダム】
[追記 2019.03.01]幾つかの項タイトルに私のタイプミスが残っていたので、遅ればせながら修正を行った。