著者:山本 貴光
著者:吉川 浩満
装丁・造本:有山 達也+山本 祐衣
装画:ワタナベ ケンイチ
NDC:114.2 心身論.人性論.生死
脳がわかれば心がわかるか──脳科学リテラシー養成講座 - 太田出版
【目次】
目次 [003-008]
増補改訂版へのまえがき [009-011]
初版まえがき [012-016]
第1章 脳情報のトリック――カテゴリー・ミステイクとパラドックス 017
はじめに 018
脳とわたし――ジレンマ 020
「わたしがわかる本」の種明かし――「だから」と「じつは」
おばあちゃんをめぐるジレンマ
ジレンマの特徴
ジレンマを避ける二つの方便
「だから」の錯誤――カテゴリー・ミステイク 026
だから女はあたりかまわず泣きじゃくる?
脳心因果説のカテゴリー・ミステイク
「ナイスバーディー問題」
「じつは」の欺瞞――パラドックス 032
脳さえわかれば心がわかる?
脳の中で消える「意味」
脳還元主義のパラドックス
脳科学の本領
「週末の科学者」
ソクラテスの問いかけ
探究はここからはじまる
[間奏]頭がよくなる? 052
「頭がよくなる本」
命題知と方法知
どの程度役に立つのか
なぜ気になるのか
第2章 心脳問題の見取図――ジレンマと四つの立場 065
はじめに 066
心脳問題という難問――やさしい問いとややこしい議論 067
古くて新しい問題
前史としての心身問題
心脳問題の特質――「ある種の知的な気分」 070
「イージー・プロブレム」と「ハード・プロブレム」
心、脳問題の堂々巡り
「ある種の知的な気分」
回答集――四つの立場 077
なぜ回答集か
回答案は四種類
唯物論
唯心論
二元論
同一説
「クオリア」について
正解は確定されていない
[間奏]脳研究小史 087
はじめに
脳を可視化する
文献について
ただの昔話ではない
心の座は身体のどこにあるのか?
心の座=脳説――ヒッポクラテス
心を分類する――プラトン
心の座=心臓説――アリストテレス
実験で確認――ガレノス
文化の伝播と影響――イスラーム
解剖学の再開――モンディーノ
対象を見るということ――ダ・ヴィンチ
知識と対象のあいだで――ヴェサリウス
心と脳の関係に決着?――デカルト
頭蓋骨を見れば性格がわかる?――ガル
病いから脳の地図をあぶりだす――ブローカとウェルニッケ
損傷と手術――フィニアス―ゲージとロボトミー
顕微鏡で脳の地図をつくる――ブロードマン
電気刺激で脳の地図をつくるーーペンフィールド
脳をミクロに可視化するーーゴルジ VS カハール
生きた脳を可視化する――ブレイン・イメージング
ブレイン=マシン・インターフェイス
発展をつづける脳科学
「心」は可視化できるか?
なくならない問題
第3章 心脳問題の核心――アンチノミーと回帰する疑似問題 131
はじめに 132
心脳問題の争点――カントの第三アンチノミー 133
人間はモノに還元できるか
アンチノミーと四つの立場
アンチノミー=ジレンマの解毒剤――「重ね描き」 141
日常の経験はニセモノか?
「重ね描き」という処方箋
科学的世界像の越権
心脳問題の震源地
「重ね描き」の意味
権利問題と事実問題――ジレンマふたたび 154
理解はできても納得ができない?
権利問題と事実問題
解決されず解消あるのみ――回帰する疑似問題 156
心脳問題は解消あるのみ
「回帰する疑似問題」
探究を振り返る
心脳問題は社会へ向かう
[間奏]デカルトの神話 163
なぜデカルトか?
奇妙なねじれ――自然学と哲学
自然学者デカルト――哲学者デカルト
対決のゆくえ
乗り越えるというよりはともに身もだえる
第4章 心脳問題と社会――社会と科学、そして生 172
はじめに 172
科学の原理――同一性と一般性 174
同一性
一般性
科学の力――科学/技術とジレンマ 179
予測と制御
第二のジレンマの根
脳科学――「脳のスペック」
脳科学の営み
スペックの内と外
脳中心主義――現代社会の根本教理 186
「スペックこそすべて」
脳中心主義の盲点
本当の問題
脳科学と社会――バイオテクノロジーもコントロール型社会 194
脳科学のポテンシャル
規律型社会からコントロール型社会へ
コントロール型生政治と脳科学
脳科学がもたらす未来
リタリンに見るコントロール型制御
「美容薬理学」と「私的な優生学」
「すばらしい新世界」
コントロール型生政治+脳工学+脳中心主義
心脳問題の横滑り――「ある種の知的な気分」の政治性 214
生物学的情報の政治性
生物学的コントロールの全面化=コントロールにたいする政治的思考の脱落
「ある種の政治的な気分」
「ただなか」で考える
探究を振り返る
終章 持続と生――生成する世界へ 225
はじめに 226
科学の限界――持続と特異性 227
特異性とはなにか
経験論の考えかた
持続から出発する
持続の相の下で――構成物としての心脳問題 235
なぜ難問として構成されてしまうのか
持続としての心を見つめる
補章 心脳問題のその後 243
1 心脳問題のその後 科学 244
『カンデル神経科学』
脳研究プロジェクト
『意識と脳』
神経X学
BMI
2 心脳問題のその後 哲学 251
3 アンチノミーのさまざまな形 253
4 おわりに 254
作品ガイド [257-291]
索引 [293-310]
初版あとがき(2004年5月 山本貴光、吉川浩満) [311-315]
増補改訂版へのあとがき(2016年5月 山本貴光、吉川浩満) [316]