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目次とメモを置いとく場

『21世紀の文化人類学〈ワードマップ〉』 (前川啓治ほか 新曜社 2018)

著者:前川 啓治[まえがわ・けいじ](1957-) 文化人類学。グローバリゼーション論、地域開発。
著者:箭内 匡[やない・ただし](1962-) 文化人類学映像人類学
著者:深川 宏樹[ふかがわ・ひろき](1981-) 社会人類学。人格論。
著者:浜田 明範[はまだ・あきのり](1981-) 医療人類学。アフリカ地域研究。
著者:里見 龍樹[さとみ・りゅうじゅ](1980-) 文化人類学メラネシア民族誌
著者:木村 周平[きむら・しゅうへい](1978-) 文化人類学(日本、トルコ)。科学技術社会論 、災害研究。
著者:根本 達[ねもと・たつし](1975-) 文化人類学。南アジア地域研究。
著者:三浦 敦[みうら・あつし](1963-) 農村開発研究、協同組合研究。
装幀:加藤 光太郎[かとう・こうたろう] ブックデザイナー。
photo:fbxx / PIXTA


21世紀の文化人類学:世界の新しい捉え方 - 新曜社



【目次】
はじめに [003-006]
目次 [007-012]


序章 「人類学的」とはどういうことか[前川啓治] 013
超越的・超越論的  「文化」の客体化 015
  民族誌と批評
  超越論的な文化相対主義
  フィールドワークと文化の客体化
  個別の文化と文化一般


[コラム]「超越的」と「超越論的」の変遷 030


超越論的展開  過去から未来へ生成する人類学 032
  出来事と出会いの構造
  文化戦争とそれ以降――構造からイメージへ
  パラダイム・シフトと生成する人類学

[コラム]クック船長の死 047


   I 部 自然・存在・イメージの生成 051


1章 人格と社会性[深川宏樹] 053

人間の概念  変容可能性 056
  地図
  カメレオン的フィールド・ワーカー
  変容


構造と機能  人間社会の自然科学 065
  構造機能主義
  祖先崇拝
  社会を「発見」する


身体とサブスタンス  生殖=再生産の「事実」からの解放 074
  生殖=再生産の「事実」
  サブスタンス
  「発明」する記述


社会性  切断=拡張する思考 083
  「我々/彼ら」の内化
  人格化と物化
  展開


[コラム]マリリン・ストラザーンとの対話――研究現場での「部分的つながり」[前川啓治] 093


2章 アクターネットワーク理論以降の人類学[浜田明範] 099

アクターネットワーク理論  科学と政治が絡まり合いながら変化する世界を探る 102


存在論的  具体的なものを通して反・自文化中心主義を深める 108


ポストプルーラル  二つ以上のものが互いに別個に存在していると言えないこと 114


疾病/病い  文化の複数性からポストプルーラルな自然へ 120


生物学的市民  生物学的なステータスが駆動する政治 126


3章 「歴史」と「自然」の間で――現代の人類学理論への一軌跡[里見龍樹] 133


歴史人類学  「文化」を問い直す 136
  人類学における歴史の問題
  歴史人類学
  「海の民」の歴史人類学
  歴史人類学とその後


カーゴ・カルト  〈新しいもの〉をとらえる 146
  「カーゴ・カルト」とは
  マライタ島のマーシナ・ルール運動
  カーゴ・カルトをどうとらえるか
  ストラザーンのカーゴ・カルト


[コラム]想起されるマーシナ・ルール 156


景観  「歴史」と「自然」の間で 159
  景観人類学の登場
  オセアニアにおける景観人類学
  忘れっぽい景観


「自然/文化」をめぐる人類学  南アメリカにおける展開 168
  問い直される「自然/文化」
  デスコラ『自然と文化を超えて』
  ヴィヴェイロス・デ・カストロの「パースペクティヴィズム」論


「人間」を超える人類学  可能性の探究 177
  コーン『森は考える』
  マルチスピーシーズ民族誌
  コスモポリティクス


   II部 実践――生成する世界へ 187


4章 公共性[木村周平] 189

「表象の危機」その後  『文化を書く』からの展開 192


公共性  関与・介入・貢献 198


災害  脆弱性レジリエンス 204


リスク  未来の予測可能性をめぐって 210


エスノグラフィ  知の創造と活用 216


5章 運動と当事者性――どのように反差別運動に参加するのか[根本達] 223

アイデンティティ・ポリティクス  不確実な世界における暴力的な対立 223


被差別者と人類学  差別に抗する、差別から逃れる 233


生活世界の声  動態的で輻輳的なそれぞれ 239


寛容の論理  等質でないものの繫がり 245


生成変化の政治学  当事者性を拡張する 251


  III部 社会科学と交差する人類学 259


6章 持続可能性と社会の構築――ハイブリッドな現実の社会過程の多元的な分析の必要性[三浦敦] 261

合理的個人  合理的には見えない個人の行動を、合理的に説明する 264
  個人の行為と合理性
  未開人と合理性
  人間の合理性
  RCT


家族制生産とグローバル経済  なぜ資本主義経済において小規模家族制生産は維持され続けるのか 274
  家族制生産をめぐる問題
  チャヤノフ理論
  小商品生産論
  「世帯」概念のあいまいさ


多元的法状況における所有  「ものを所有する」ということは、自明なことではない 282
  所有の重要性
  法とは何か
  土地所有
  所有のイデオロギーと政治過程


コモンズ  自然環境を守ること、それはわれわれの生活を守ること 290
  コモンズの悲劇
  オストロムのコモンズ論
  情報のコモンズ
  コモンズと文化人類学


開発  大資本の手先か住民の味方かという、不毛な二元論を超えて 298
  開発と社会科学
  戦後の開発の歴史
  開発と文化人類学
  開発分析の枠組み


アソシエーションと社会的連帯経済  連帯はどのように可能なのか、連帯は人々を救えるのか 306
  アソシエーションの歴史
  アソシエーションと文化人類学
  社会的連帯経済の現状
  社会的連帯経済における理念と現実


[コラム] 十九世紀のフランス農村と文化人類学の前史 316


終章 過去・現在・未来[箭内 匡] 319

文化人類学の現在と過去  人類学は今、どこにいるのか 320
  一九九〇年代以降の人類学
  一九九〇年代以降の社会状況


「外」  人類学的思考を貫く本質的要素とは何か 326
  人間と社会に関する理論を「外」に引き出す
  (広義での)自然人類学


不可量部分  人類学者がフィールドで出会うものとは? 330
  マリノフスキ主義の遺産
  不可量部分の現在
  不可量部分をめぐるジレンマ
  

イメージ  フィールドの現実を新たな目で捉えなおす 336
  イメージ的な雑多さ、イメージ的な結び合い
  映像人類学の可能性


時間  未来の人類学に向かって思考の軸をずらしてみる 342
  可能性の人類学へ
  時間のなかでの「外の思考」


あとがき(二〇一八年四月 前川啓治) [348-351]
引用文献 [352-370] ([12-30])
事項索引 [371-377] ([5-11])
人名索引 [378-381] ([1-4])





【メモランダム】
・60頁5行目に登場する空白二つは、本来は二倍ダッシュにするはずだったのだろう。
・三浦「合理的個人」(pp. 264-273)は、経済学の概念について文化人類学から評価している点が興味深い。
・また、三浦「アソシエーションと社会的連帯経済」では、マイクロファイナンスについての記述(p. 312)がある。
・事項索引に「ホーリスティック」が無い。何故だ。