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『スケープゴーティング――誰が,なぜ「やり玉」に挙げられるのか』(釘原直樹[編著] 有斐閣 2014)

編著者:釘原 直樹[くぎはら・なおき] 
著者:阿形 亜子[あがた・あこ] 
著者:吉川 肇子[きっかわ・としこ] 
著者:岡本 真一郎[おかもと・しんいちろう] 
著者:村上 幸史[むらかみ・こうし] 
著者:植村 善太郎[うえむら・ぜんたろう] 
カバーデザイン:北田 進吾[きただ・しんご] グラフィックデザイン。(キタダデザイン
カバーイラスト:田渕 正敏[たぶち・まさとし] イラストレーション。
NDC:361.44 社会心理学(集団力学)


スケープゴーティング | 有斐閣


【目次】
はじめに(2014年10月 釘原直樹) [i-iii]
執筆者紹介 [iv-v]
目次 [vi-ix]


序章 スケープゴーティングとは 001
1 スケープゴーティング,スケープゴートという言葉について 001
  (1) 汚れと美学
  (2) スケープゴートの心理学的定義

2 本書の構成 005
  (1) 第I部「スケープゴーティング=「やり玉」 現象とは何だろうか」
  (2) 第II部「非難報道に見るスケープゴーティング」
  (3) スケープゴーティング現象に対する向き合い方と報道内容分析方法


  第I部 スケープゴーティング=「やり玉」 現象とは何だろうか


第1章 スケープゴーティングの心理――そのメカニズムを探る 013
1 スケープゴーティングの発生過程と動機 013
  (1) スケープゴーティング発生過程のモデル
  (2) スケープゴーティングの動機に関する理論
    (a) 精神分析理論 vs. 欲求不満攻撃理論
    (b) 精神分析理論からのアプローチ
    (c) 欲求不満攻撃理論からのアプローチ
      i) ボヴランドらの研究
      ii) 触発置き換え攻撃
      iii) 敵対対象とコントロール
      iv) 擬人化によるコントロール感の向上
    (d) 罪悪感の抑圧・投影 vs. 欲求不満の解消

  (3) スケープゴーティングの促進要因
    (a) スケープゴーティングの有効性と同調
    (b) スケープゴーティングの対象
    (c) スケープゴーティングとパーソナリティ

2 マスメディアの報道特性 030
  (1) ニュースの価値判断と選択基準
  (2) ニュース選択の偏向

3 時間経過とスケープゴーティング対象の変遷 035
  (1) マスメディアの報道対象の変遷
  (2) 波紋モデル
    (a) 波紋の広がり
    (b) 災害の種類と波紋の形状


第2章 誰がスケープゴートになるのか――原因・ 責任帰属のプロセス 041
1 はじめに 041

2 原因帰属の発達 043

3 原因推測の過程 045
  (1) 成功と失敗の帰属
  (2) 因果帰属の条件
  (3) 原因帰属の「癖」

4 ステレオタイプ的判断 051
  (1) 性別ステレオタイプ
  (2) 外見によるステレオタイプ

5 責任 非難の帰属 055

6 スケープゴーティングの背景としての原因・ 責任帰属 060


第3章 スティグマ化と非難・ 責任追及 063
1 リスクの社会的増幅とスティグマ 064
  (1) スティグマとは何か
  (2) リスクの社会的増幅
  (3) スティグマ

2 風評被害スティグマ化 071
  (1) 風評被害とは何か
  (2) 用語の意味の変化
  (3) スティグマ化と風評被害
  (4) 避難対象を暗示する語としての「風評被害

3 スティグマ化の解消に向けて 078
  (1) 記憶への配慮
  (2) 参加的なプロセスを考慮したコミュニケーション


第4章 言葉によるレッテル貼り 081
1 コミュニケーションはいかに行われるか 082
  (1) コミュニケーションの構造
  (2) 意図明示的伝達と意図非明示的伝達

2 言語表現が伝える微妙なニュアンス 084
  (1) 言語的カテゴリー・モデル
    (a) 述語の抽象性
    (b) 使い分けの効果
    (c) コミュニケーションへの影響
    (d) 名詞で表すこと
    (e) スケープゴーティングとの関連
  (2) 非近接性と関与権限
    (a) 非近接性
    (b) 関与権限
  (3) 非言語チャネルによる伝達
  (4) 皮肉と当てこすり
    (a) 皮肉
    (b) あてこすり

3 受容と記憶の過程 093

4 伝達の過程 095
  (1) 誰に話すかによる使い分け
  (2) 系列的な伝達
    (a) 系列再生
    (b) 集団内の情報分布の影響

5 コミュニケーションとスケープゴーティング 098


  第II部 非難報道に見るスケープゴーティング


第5章 事故報道でのスケープゴーティング 103
1 JR福知山線脱線事故の概要 103

2 全体的な記事数の変化 107

3 スケープゴーティングとしての事故報道 112
  (1) 記事内容とその推移
  (2) 非難対象とその累計
  (3) スケープゴーティングと非難対象のレベル
  (4) 非難の程度
  (5) 雑誌と新聞の差異

4 まとめ――事故報道でスケープゴーティング現象を生み出す要因とは 123


第6章 感染症報道でのスケープゴーティング 127
1 さまざまな感染症 127
  (1) 感染症の流行と報道
  (2) 対象となる感染症が日本社会に及ぼした影響
    (a) SARS重症急性呼吸器症候群
    (b) O157
    (c) 口蹄疫
    (d) 新型インフルエンザ

2 SARSO157に関わる報道の分析 132
  (1) 分析の方法
  (2) 報道量とその変化
  (3) 非難対象とその累計
  (4) 個人や集団などレベル単位の変遷
  (5) SARSO157の報道の違い

3 口蹄疫新型インフルエンザに関わる報道等の分析 139
  (1) 口蹄疫に関する報道の分析
  (2) 新型インフルエンザの流行に関するインターネット上の掲示板でのやりとりの分析

4 まとめ――感染症報道でスケープゴーティング現象を生み出す要因とは 152

注 155


第7章 東日本大震災報道でのスケープゴーティング――ブログの「不謹慎」 記事の分析から 157
1 「不謹慎ブーム」と「自粛ブーム」 157
2 状況的不謹慎という現象 159
3 ブログ記事から「不謹慎ブーム」を解く 160
  (1) ブログデータの収集
  (2) 非難記事の特徴
  (3) 非難記事数の推移
  (4) 非難対象とその内容
  (5) 「探し出される」不適切な行為
  (6) 非難対象の変遷は見られたか

4 まとめ――「不謹慎ブーム」とスケープゴーティング現象の原因と特徴 172

注 175


第8章 帰属過程としてのスケープゴーティング――2つの事例分析から 177
1 原因,責任,非難の帰属はどのように生じるか 177
2 JR福知山線脱線事故報道に関する帰属過程――道義的非難と認知者の有能感を中心に 179
  (1) 調査の概要
  (2) 原因,責任,非難の帰属
  (3) 帰属と自尊感情仮想的有能感,精神的健康との関連
  (4) 報道に対する認知と自尊感情仮想的有能感,精神的健康との関連
  (5) スケープゴーティングの動機
3 口蹄疫蔓延に関わる帰属過程とマスコミ接触頻度――帰属の時間的変動 186

4 スケープゴーティングの動機と進行過程 190
  (1) スケープゴーティングの動機
  (2) スケープゴーティングの進行過程


第9章 記憶バイアスとスケープゴーティング 195
1 JR福知山線脱線事故の新聞記事における非難対象の変遷 195
  (1) 非難対象の変遷と視覚探索課題
  (2) 新聞記事における非難対象の変遷の図式化
  (3) 新聞記事数と想起数

2 新型インフルエンザについてのリアルタイム評価 201
  (1) 発生から終息までの出来事
  (2) 新型インフルエンザ報道に関するリアルタイムの意識調査
  (3) 不安と非難記事の想起数の関連

3 頻度判断に関する実験 205
  (1) 無意味綴りを用いた実験
  (2) 嫌悪刺激(写真)を用いた実験
  (3) 刺激(記事)の生起順序と反実仮想


終章 スケープゴーティング現象にいかに向き合うか 215
1 正当な非難と不当な非難 215

2 スケープゴーティングと同調行動 217

3 マスメディアの問題 219
  (1) 報道する側の信頼性向上
  (2) 視聴者・読者の批判的思考能力の向上


補章 報道におけるスケープゴーティング現象をとらえる方法 225
1 人による分類 225
2 機械による分類 227
3 機械による分類の課題と可能性 231


引用文献 [235-248]
事項索引 [249-252]
人名索引 [253-254]