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『「経済人」の終わり――全体主義はなぜ生まれたか』(Peter F. Drucker[著] 上田惇生[訳] ダイヤモンド社 1997//1939)

原題:The End of Economic Man: A Study of the New Totalitarianism (The John Day Company)
著者:Peter Ferdinand Drucker(1909-2005) 経営学
訳者:上田 惇生[うえだ・あつお](1938-2019) 経営学
NDC:311.8 全体主義ファシズム
NDC:335.08 企業.経営


「経済人」の終わり | 書籍 | ダイヤモンド社


【目次】
新版への序文(一九九四年一〇月 カリフォルニア州クレモントにて ピーター・F・ドラッカー) [i-v]
  チャーチルの評価
  全体主義の起源についての最初の本
  特殊ドイツ的現象ではない
  社会そのものの分析ではない
  今世紀前半における最大の社会現象
一九六九年版への序文(一九六九年元旦 ニュージャージー州モンクレアにて ピーター・F・ドラッカー) [vii-xxvii]
  絶望の果ての熱狂
  ヒトラースターリンと手を結ぶ
  人間疎外
  政治信条の喪失がもたらしたもの
  キリスト教の役割
  マルクス主義革命
  悪夢の歳月の景色
  ヒトラーの卓見
  「しくじった神」としてのマルクス主義
  マルクス主義の知的破産と大衆化
  小粒な政治家たち
  チャーチルがいた
  一九三九年の状況
  恐るべき静寂
  昨今の悪夢
  すでに免疫はあるか
  成熟とは
  もう一つの「最終解決」
  若者たちへ
目次 [xxix-xxviii]


はじめに 001
  妥協はありえない
  社会と経済の分析
  私の分析と現実の動き


第1章 反ファシズム陣営の幻想 005
1 ファシズムへの誤解 006
  民主主義と共産主義の後退
  臆病に非ず
  三つの謬説
  革命の残虐性
  歴史の改竄
  プロパガンダ
  枠外からの革命
  価値の変化
2 ファシズムの諸症状 013
  ファシズム特有の三つの諸症
  革命先行
  否定の綱領
  正当化の必要
  ヨーロッパの伝統
3 大衆心理の不思議 018
  約束への不信
  ボックスハイム・ペーパー事件
  公約の矛盾
  公然たる嘘
4 「背理ゆえに信ず」 022
  代用としての否定
  信条の欠如
  信じられないものを信ずる
  「背理ゆえに信ず」


第2章 大衆の絶望 027
1 マルクス主義の失敗 028
  マルクス主義の約束
  教義と現実
  神なき教権階級
  中間階層の出現
  『資本論』未完の原因
  労働組合主義への変質
  マルクス社会主義革命が起こらなかった理由
  プロレタリアに対するプロレタリア独裁
  万国の労働者
2 資本主義の債務不履行 038
  資本主義の約束
  利潤動機
  経済的自由の恐怖
  信認の喪失
  大衆の窮乏化
  アメリカの意味
  アメリカへの移民の変遷
3 「経済人」の破綻 047
  偽りの神々
  「経済人」の概念
  経済学の成立
  経済学の隆盛と失敗
  経済よりも重要なこと
  自由と平等
  マルクス主義における二律背反
  その精密性と脆弱性
4 合理の喪失 056
  秩序の解体
  社会の混沌
  合理と魔物
  機械論的世界観の限界


第3章 魔物たちの再来 061
1 世界大戦と大恐慌が明らかにしたもの 062
  二つの破局
  世界大戦の意味
  大恐慌の意味
  それまでの戦争の意味
  大戦の大義
  「持てる国」と「持たざる国」
  それまでの恐慌の意味
  大恐慌の無意味性
  人工の魔物たち
2 魔物たちの追放 070
  悲しいまでの努力
  対独強硬論と宥和論
  恐慌の絶滅
  大衆の変化
3 自由の放棄 076
  経済発展への抵抗
  農業保護
  安定の優先
  民主主義の凋落
  経済的自由の放棄
  自由そのものの放棄
  自由とは何か
4 ファシズムの誕生 085
  「真正民主主義」
  形態と標語の維持
  自由の廃止
  虚言こそ真理
  魔法使いの壮大な奇跡


第4章 キリスト教の失敗 089
1 キリスト教の戦果 090
  教会への期待
  教会の時代認識
  キリスト教政党の誕生
  教会内の新しい勢力
  キリスト教の成果――工場法社会保護・最低賃金
  キリスト教社会の復活
2 知的エリートとキリスト教 098
  知的エリートのキリスト教への回帰
  カトリックへの傾斜
  ドストエフスキーとヘンリー・アダムズ
  キルケゴールニーチェ
  転向
3 教会の無意味性 103
  反動的夢想
  全体主義の味方
  個人にとっての価値
  社会的失敗
  教会に非ざる教会
  教会内の多数派と少数
4 ファシズムキリスト教 110
  言葉と概念
  逃避と防衛
  破壊のあとの創造


第5章 全体主義の奇跡――ドイツとイタリア 115
1 ドイツ人とイタリア人の国民性 116
  なぜドイツとイタリアなのか
  親ファシズム的性向
  問題は国民性ではない
  原因は大戦なのか
2 与えられた民主主義と獲得した民主主義 120
  民主主義と国家統一
  手段としての民主主義
3 ムッソリーニヒトラー 124
  ムッソリーニの誤算
  ドイツの民主主義
  ヒトラーの誤算
4 ドイツのナチズムとイタリアのファシズムの違い 128
  伝統による形式の保持
  本物と真似


第6章 ファシズムの脱経済社会 133
1 産業社会の脱経済化 134
  緊急の課題
  ファシズムを権力の座につけた者は誰か
  全体主義とは何か
  「誇示的浪費」
2 社会有機体説 138
  経済的不平等
  農民の社会的地位――「民族の背骨」
  労働者の社会的地位――『民族の精神』
  突撃隊、親衛隊ヒトラー青年団
  妬みによるいじめ
3 軍国主義 143
  不平等の補償で十分か
  軍国主義
  軍事の経済的、社会的役割
  国皆兵
  軍需産業
  国全体が軍隊
  経済の全体主義
  資本主義ではない
  農業の組織化
  農民の地位
  自由業の地位
4 全体主義の経済 156
  古典派経済学への回帰
  ソ連の模倣
  共産主義経済との違い
  労働者階級の所得
  他の階級の犠牲
  個人献金
  公債の強制購入
  財産没収と強制労働
  デフレ政策
  非生産的投資
  軍拡は浪費か
  輸入代替産業への投資
  どこまで耐えられるか
  問題は別のところに
5 資源の輸入問題 172
  ドイツとイタリアの問題
  輸出入の悪循環
  輸入代替産業の一人立ちはあるか
  輸入問題の深刻化
  貿易収支の悪化
  状況はさらに悪い
  食糧問題
  棉花を唱えて革命を
  バルカンの征服
  農業の産業化
  経済学を超えた問題


第7章 奇跡か蜃気楼か 185
1 戦争と平和 186
  戦争の位置づけ
  犠牲の昇華
  「英雄人」の概念
  社会の否定
  歴史の循環
2 聖なる戦い 191
  敵の存在が必要
  脅威の絶滅
  共産主義への憎しみ
3 反ユダヤ主義の原因 194
  北欧人とユダヤ人との対決
  ユダヤ
  反ユダヤ主義の経済的動機
  ユダヤ人の反ナチズム
4 ブルジョア資本主義の化身としてのユダヤ人 199
  与えられた民主主義
  ブルジョア階級の社会的地位
  ドイツのユダヤ人の特殊な地位
  ユダヤ人とブルジョア階級の一体化
  ユダヤ人の富と力
  人種差別の必然性
  「シオンの議定書
  本当の敵
  悪魔の化身
  ユダヤ人問題の「最終解決」
  東ヨーロッパのユダヤ
  反フリーメーソンから反ユダヤ主義へ――イタリアの場合
  なぜ冷酷になれるのか
  大衆の意思
  悪循環
5 組織がすべて 214
  組織が秩序となる
  「乞食がいない」
  コミュニティの破壊
  組織過剰
  権力闘争と内務官僚
  マルヌの戦い
  不満なるがゆえの支持
  地下抵抗運動の不発
  夢幻と忘却を求める麻薬患者
  神秘のうちの実体
6 指導者原理 224
  無謬の存在
  カリスマ性
  信仰としての全体主義
  後継者問題
  崩壊の道筋
  ウィーンの転向
  悪夢のように消え去る
  歴史の継続と断絶
  いずこからともなく
  自由と平等の追求
  歴史の原動


第8章 未来 237
1 独ソ開戦への期待 238
  道は二つに一つ
  対独「宥和政策」の根本思想
  独ソ同盟の危険
2 独ソの利害 241
  ナチズムの敵は西にあり
  共産主義の放棄
  スターリンヘの個人崇拝
  貧しいバルカン
  バルカンへの持ち出し
  独ソ間の利害の一致
  ソ連が租界から学んだこと
  日本の脅威
  不可侵条約の必然性
  スターリンの道
  ローゼンベルクの弟子
  ゲーリングのブレーントラスト
  ラーテナウの門下
3 新しい社会 255
  暗黒と絶望の時代に入るのか
  「経済人」を超えて
  第三の道
  イギリスの経験
  個人の自由と尊厳
  社会政策の費用


年表――あの頃の歴史(第一次大戦から第二次大戦) [263-270]
人名索引 [272-276]
訳者あとがき(一九九七年四月 上田惇生) [277-278]




【メモランダム】
・続編。 The future of industrial man, (The John Day Company, 1942)。
 邦訳『産業人の未来』(未來社、1965年)は、ダイヤモンド社から1998年に復刊。
産業人の未来 | 書籍 | ダイヤモンド社