contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『〈法と自由〉講義――憲法の基本を理解するために』(仲正昌樹 作品社 2013)

著者:仲正 昌樹[なかまさ・まさき] (1963-) 政治思想史、社会思想史、社会哲学。

※Hatenaダイアリーでは、フランス語やドイツ語の文字の一部が表示されないのであしからず。


【目次】
[前書き] そもそも「法」とは何なのか、哲学的に考えてみることが必要ではないか? 憲法と言う装置を生み出した古典をきちんと読む意義 [001-004]
  「憲法論議の盲点
  「憲法」を考えるのに、なぜこの三人を取り上げるのか?
図 [006-007]
目次 [009-013]
凡例/前置き(編集部) [014]


第I部 なぜ、社会契約を知らなければいけないのか? ――ルソー『社会契約論』を読む 015
[講義]第一回 私たちの「社会」をつくるものとは何か?――“社会契約”という発想 017
かなりポジティヴな役割を持つルソーの「法」
「社会」の理想的なあり方
「自由なものとして生まれた」vs.「いたるところで鎖につながれている」
「約束 conventions」が社会を、秩序をつくる
生まれたときから「奴隷状態 l'esclavage」に置かれると……
ルソーの二分法とヒュームの法則
猿山のボスは、なぜ偉いのか?――物理的な「力」とは別の「権利」「義務」「正当性」の根拠
「権威 autorité」は必要なのか?
“自由意志”を持たない動物と契約することは可能か?
人々はいつ一つの人民となる約束をしたのか?――「多数者 multitude」VS.「社会 société」
「多数決」――人民の名において独立宣言する、ということはどういうことなのか?
「社会契約」の根本問題とは?
みんな、溶け合って“一つ”になれるの?
一般意志と共同の自我
自由と自律、そして「ダダのり」〔フリーライダー〕問題
◆質疑応答 062


[講義]第二回 とっても便利な「一般意志」! ――秩序と自由は両立可能か? 068
自由の二つの概念――「市民的自由」と「道徳的自由 liberte morale」
「一般意志」と「全体意志」
「一般意志」とは、はたして「数学的存在」か?
「コミュニケーション communication」に、過剰な意味を込めるな!!
国家でも個人でもなく、徒党を組む――「団体 association」とは何か?
「私たち=人民」が「私たち=人民」自身を縛っている
一般意志の現れとしての〈法〉と「共和国 république」
「立法者」――はたして、私たちは「立派な法」をつくれるのか?結局つくるのは誰?
じゃあ、どんな「政府 gouvernement」が? 独裁は、気持ちいいのか?
市民宗教――“困った人たちには出て行ってもらうことで、社会を安定させる”
◆質疑応答 124


第II部 罪と罰、そして刑法の根本を知る――ベッカリーア『犯罪と刑罰』を読む 127

[講義]第三回 社会契約から刑法へ 129
ルソーからベッカリーアヘ
「一般意志」を刑法に応用する一ベッカリーアとはそもそもどういう人?
ルソー+モンテスキュー=ベッカリーア?
“いろいろ気を使う必要があった時代”に、「公共の福祉(幸福) la pubblica felicità」に適う新しい刑法
みんなのための、社会の取り決め
「正義」は一義的には決まらない、社会にとって利益か損失であるか?
法は、少数の権力者の「欲望の道具」なのか?
刑罰と感情
「刑罰」の限界――権力と正義について
第一の帰結――罪刑法定主義
第二の帰結――司法の独立
第三の帰結――「残虐な刑罰」の禁止
法を解釈できるのは誰か?――「文理解釈」とアーキテクチャ
◆質疑応答 176


[講義]第四回 思想としての刑法 178
人間の幸福のために“人間自身”の手による合理的な法体系
法律用語の難しさ
どのように法の中身をみんなに知らせるのか?
「証拠 indizio」とは? 普通の人の「常識 senso」が裁くのか?
「汚辱」と「拷問」で、魂は救えるのか?
時効って何?
刑罰の哲学
死刑について
法を愛することが「自由」に繋がる?
◆質疑応答 229


第III部 法と自由の根本を知るために――カント「啓蒙とは何か」「世界公民的見地における一般史の構想」「理想と実践」を読む 231

[講義]第五回 世界史のなかで“自由”を考えてみる! 233
カントの道徳哲学
「啓蒙とは何か」――“自分で考えることに慣れていない民衆が、「啓蒙」に反逆する”という、西欧の思想史の重要なテーマ
「公共性」、「理性」の「公的使用 der öffentliche Gebrauch」と「私的使用 der Privatgebrauch」
寛容とは?
「公民的自由die bürgerliche Freiheit」と「精神の自由 die Freiheit des Geistes」
もし、カントが歴史を書いてみたら!――「世界公民的見地における一般史の構想」
第一命題――人間と自然に共通の法則はあるのか?
第二命題――幸福は二の次にすぎない!
第三命題――人《類》の発展
第四命題――自己チューでいいんです!……非社交的社交性
第五命題――はたして、自己チューたちは「公民的社会」を創れるのか?
第六命題――やっぱり支配者が必要か?
第七命題――未来は? グローバルな公民的秩序
第八命題――では国家はどうあるべきか?
第九命題――結論。カントが描いた世界史は、コレだった!
◆質疑応答 290


[講義]第六回 現実の世界では「自由」と「法」は両立するのか? 293
実践とは何ぞや?
現実主義を撃って!
“幸福”を題材にして考えてみる
「善い」、「良い」、そして「悪い」――個人のレベルにおける道徳的自律
「法と自由」を社会契約から考える
なぜ、自由な人間は、「法」に縛られるのか?
幸福を追求する権利(日本国憲法第一三条)は、パターナリズムにならないのか?
平等と「支配者」
「理性」に理念はあるのか?――「原本的契約」
抵抗と言論の自由
カントの夢――「世界公民的状態」
◆質疑応答 340


[後書き]憲法改正の議論をする“まえ”に、“法学”的末人の生態について考えてみる(二〇一三年九月 金沢市平和町公務員宿舎にて 仲正昌樹) [343-351]
  サンプル1――《法学部》的文化!?
  サンプル2――「ネ申」(ねもうす)が践雇する末“法”の世に、阿“法”の集合痴を見る

「法」と「自由」をめぐる哲学系ブックガイド [352-360]