著者:重田 園江[おもだ・そのえ] (1968-) 現代思想、政治思想史、フーコー研究。
NDC:311.1 政治学.政治思想 >> 政治哲学
筑摩書房 社会契約論 ─ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ / 重田 園江 著
【目次】
目次 [003-008]
はじめに 009
「社会契約論」とはどんな思想だろうか
国家vs.個人――戦後日本と社会契約論
いま社会契約論をどう読むか
市場の秩序と約束の秩序
約束から一般性へ
第1章 ホッブズ 025
ホッブズの生涯と著作
1 世界の運動論的把握とは 030
リヴァイアサン――ホッブズの社会契約論
機械論的無神論者ホッブズ?
すでにある秩序を拒否すること
世界は運動と関係からできている
熟慮とは何か
既存の秩序に依拠しないことの異様さ
自由意志は自由か
自由と必然性について
ホッブズとニーチェの世界観
2 政治社会の再構成とホッブズ問題 054
自己保存の自然権と自然状態
自然状態で人は自由か
ホッブズ問題と囚人のジレンマ
ホッブズはホッブズ問題を解いたか
三つの代表的解釈
政治社会が生まれる場所
3 約束の力 069
一つの契約が、結合と主権者を同時に生み出すこと
権利は一斉に譲渡されるのか
信約とは何か
信約は自然状態においても守られるのか
約束の力
リヴァイアサンの力は約束の力である
ホッブズの平等の強さと深さ
第2章 ヒューム 093
ヒュームの生涯と著作
1 秩序の起源はどこにあるのか 099
「原初契約について」――社会契約の批判
社会契約は無効か?
契約の存在を「事実として」否定したあとに、何が残るのか
2 コンヴェンションとホッブズ問題 106
ヒュームにおける約束の限定
情愛の関係と約束の関係は分けられるか
コンヴェンションの導入
社会契約とコンヴェンションの異同
ヒュームとホッブズ問題
「原コンヴェンション」の想定
3 政治社会と文明社会 121
統治の原理的な起源は約束ではない
「だが、やっぱり約束があったかもしれない」って、どっちなんだよ!?
商業社会の発展が文明化をもたらす
原理と史実の往復によって、ヒュームが秩序の危うさを消去すること
私は何のためにこの本を書いているのか。そして、ルソー
第3章 ルソー 135
ルソーの生涯と著作/ルソーをどう読み解くか
1 ルソーの時代診断――「政治経済論」 143
ヒュームとルソーの文明化への態度
「政治経済論」
国家の正統性への問い――ルソーの「ポリティカル・エコノミー」
富と商業についてのヒュームの見解
ルソーの企図は何だったのか
2 ルソーの歴史観――『人間不平等起源論』 160
ルソーの歴史描写――「6」の字の歴史
社会契約――歴史に楔を打ち込むこと
なぜ新しくはじめられるのか
3 契約はどんなものか――『社会契約論』 170
社会契約の条件――シンプルにして最強かつ自由
契約の条項はどんなものか
契約の一方の当事者が全体であること
4 一般性と特殊性―― 一般意志について 182
一般意志は特殊意志の総和ではない
個の視点と全体の視点
一般性と特殊性の対比
「一般意志」の概念史
モンテスキューからルソーへ
神学の反転
一般性と多様性、あるいは政治的自由について
一般意志は過たない
第4章 ロールズ 203
ロールズの生涯と著作
なぜロールズを取り上げるのか
1 ロールズのヒューム批判 211
功利主義とヒューム
「共感」への疑問
一般的観点と思慮ある観察者
「最大多数の最大幸福」と共感のつながり
一般は特殊の延長にはない――ヒューム、ロールズ、ルソー
2 正義の二原理 227
ロールズの狙いは何か――社会の基本ルールを定めること
原初状態と無知のヴェール
特殊なエゴイズムとその乗り越え
自由の保障――第一原理
機会均等原理――第二原理(1)
格差原理――第二原理(2)
エゴイズムの抑制が、なぜ二原理を選択させるのか(1)――第一原理
エゴイズムの抑制が、なぜ二原理を選択させるのか(2)――第二原理
3 ルソーとロールズにおける一般性の次元 253
『政治哲学史講義』における各思想家の評価
利己心と相互の尊重――ロールズはルソーをどう読むか(1)
文明化と社会契約――ロールズはルソーをどう読むか(2)
一般意志はなぜ過たないか――ロールズはルソーをどう読むか(3)
一般性の次元
おわりに 社会契約論のアクチュアリティ [269-279]
注 [280-284]
文献案内 [285-297]
謝辞 [298-299]