著者:國分 功一郎[こくぶん・こういちろう] (1974-) 近世哲学(17世紀の)、現代フランス哲学。
NDC:311.1 政治哲学。
【目次】
目次 [003-006]
第1章 近代政治哲学の原点――封建国家、ジャン・ボダン 013
近代国家と封建国家
封建国家における王権
封建国家という地方分権社会
領土なき人的結合
日本の封建国家体制
宗教的秩序の問題
封建国家を揺るがした宗教戦争
新しい国家体制の構想
主権概念の誕生
主権とは何か?
疑われなかった主権の概念
第2章 近代政治哲学の夜明け――ホッブズ 039
自然状態の理論
能力の平等から希望の平等へ
希望の平等は戦争状態を生む
自然権の登場
二つの自然法と自然権の放棄
ホッブズは何を擁護しようとしたのか?
〈設立によるコモン‐ウェルス〉と〈獲得によるコモン‐ウェルス〉
〈獲得によるコモン‐ウェルス〉というリアル
自然権は放棄できるか?
自然状態からは逃れられない
〈設立によるコモン‐ウェルス〉という建国神話
ホッブズの主権の定義
統治の手段
統治が抱く欲望
第3章 近代政治哲学の先鋭化――スピノザ 071
法則・規則としての自然権
『エチカ』の構想
スピノザ的自然権の具体性
恐怖による信約からは逃げればいい
自然権の保持
反復的契約論
民衆の隷属
認識がもたらす自由
貴族制と議会制民主主義
君主制
権力集中はむしろ統治を害する
立憲主義への道
第4章 近代政治哲学の建前――ジョン・ロック 103
一貫性を欠く自然状態論
所有とは何か?
立法権としての主権
行政は単なる執行機関か?
立法の限界と強大な行政権
建前論と近代国家の欺瞞
行政国家の問題
ロックの描いたリアリティー
「抵抗権を認める」?
合法ではないが正当な抵抗
野生動物としての自然状態
自然権
第5章 近代政治哲学の完成――ジャン=ジャック・ルソー 137
人が心穏やかに自由に生きる自然状態
自然状態には支配がない
自己愛と利己愛
なぜホッブズとルソーで自然状態の記述が正反対なのか?
ルソーにおける社会契約
自分自身と結ぶ契約
一般意志という謎
立法者という謎めいた人物
重大な誤解
一般意志の実現=法の制定
一般意志はあらかじめ確定できない
主権と統治の関係
ルソー=直接民主制論者という俗説
第6章 近代政治哲学への批判――ヒューム 175
ヒュームの社会契約論批判
社会契約論が忘れていたもの
人間は共感しあう存在である
黙約による共感の拡張
社会の起源に禁止を置かない
自然権概念への概念
一般規則とその個別化
不正義をめぐる感覚、規則をめぐる空想
制度の功利性はその制度の存在理由を説明しない
服従と忠誠の違い
第7章 近代政治哲学と歴史――カント 201
進歩の強制
自然の目的と文化の目的
人類に強制された目標
個々人は進歩しない
なぜ人間の寿命は短いのか?
カントの平和論
法の支配への反抗は許されない
常備軍という問題
共和的であるとはどういうことか?
「全員ではない全員」による決定
民主制の欺瞞
再び三段論法について
政治体制は代表制でなければならない
現代の民主主義の問題点
結論に代えて――近代政治哲学における自然・主権・行政 237