監修:宮台 真司[みやだい・しんじ] 社会学。評論。
編者:現代位相研究所
執筆:
堀内 進之介[ほりうち・しんのすけ](1977-) 社会学(政治社会学、批判的社会理論)、応用倫理学。
神代 健彦[くましろ・たけひこ](1981-) 教育学。
山本 宏樹[やまもと・ひろき](1982-) 教育社会学。
高宮 正貴[たかみや・まさき](1980-) 教育学(教育哲学、道徳教育学)。
鈴木 弘輝[すずき・ひろき](1970-) 社会学。
保田 幸子[やすだ・さちこ](1980-) 政治哲学。
濱沖 敢太郎[はまおき・かんたろう](1987-) 教育学(教育行政学、教育社会学)。
石山 将仁[いしやま・まさひと](1986-) 政治学(現代政治理論)。
NDC:311.13 政治学 >> 政治哲学 >> 政治社会学
【目次】
目次 [003-006]
序論 悪の擁護、あるいは民主主義についてのノート〔神代健彦〕 007
1 悪の魅力――自由、力、可能性 007
悪を為しうるということが、人間の自由の表徴であること/歴史における悪のちから/より善さの可能性としての悪
2 悪とともに在ることの希望と困難 028
悪の擁護とその限界/より小さな悪/悪を排除するという悪
3 本書の構成 046
註 051
文献一覧 053
第I部 抗いと甘受の閾 055
第一章 悪とは何か――デューイの倫理学から考える〔高宮正貴〕 057
はじめに 057
1 善とは何か 058
2 義務とは何か 063
3 徳と標準とは何か 072
おわりに 077
註 078
文献一覧 079
第二章 災害の分配的正義論――リスクと責任〔保田幸子〕 081
1 問題の所在 081
2 運の平等主義 084
3 選択と状況の区別 090
4 批判 093
5 優先すべき原理 097
6 結論 100
註 101
文献一覧 102
第三章 ジョセフ・ラズにおける二つの正統性〔石山将仁〕 105
はじめに 105
1 ラズにとって「権威」とは何(であるべき)か 109
(1) 権威のモデル
(2) 依存テーゼ・先取りテーゼ
(3) 通常正当化テーゼ
(4) 権威のサービス構想
2 ラズにとって「正統な」権威とは何(であるべき)か 123
(1) ラズにおける「正統性」の定式化
(2) 正統性のための二条件
(3) 通常正当化テーゼの柔軟性から導かれるラズの正統性論の二つの特徴
(4) 政治的権威が主張する正統性と名宛人に承認される正統性との量的差異
3 「正統性」の二つの構想 138
(1) 正統性への個別論的アプローチと全体論的アプローチ
(2) ラズの理論に隠されたもう一つの「正統性」
(3) 二つの正統性の構想の必要性と意義
4 二つの正統性の構想から明らかになる政治(哲学)的問題 148
おわりに 153
註 154
文献一覧 159
第四章 道具的理性批判の現在――啓蒙のプロジェクトの今日的課題について〔堀内進之介〕 161
はじめに 161
1 道具的理性批判 165
主観的理性の成立
近代社会特有の両義性
2 政治的共同体の基礎としての感情的連帯 177
ホッブズ――人間本性に根ざす運動
ホッブズ――秩序構築の掛金としての利己心
ホッブズ――動機の源泉としての強制権力
ホッブズ――小括
トクヴィル――アメリカの教訓
トクヴィル――弱い国家と強い社会
トクヴィル――感情的連帯
トクヴィル――小括
3 「である」と「させる」の落差 199
「感情の政治学」再考
望ましい社会に向けての好ましからぬ動員合戦
小括――道具的理性による感情的動員
4 よりましな悪の選択――啓蒙のプロジェクトの根本に立ち返る 213
理性と感情を抑制する〈環境〉とその過剰
意志するように仕向けられる環境
新たな〈環境〉の構築に向けて
付記 229
註 230
参考文献 231
第II部 共生の身悶え 235
第五章 政治科学の進化論的展開――保守闘争の遺伝子文化共進化について〔山本宏樹〕 237
1 政治闘争のアポリア 237
政治闘争の日常と「悪の循環」
分析枠組みとしての進化政治学
2 政治闘争の脳器質的基底 239
争点としての「保守/革新」
政治性向と認知情動特性
脳の器質と政治傾向
脳の可塑性
3 政治闘争の遺伝的基底 246
分子生物学における革新遺伝子の発見
行動遺伝学における遺伝率の推定
政治闘争をめぐる生物学的基底論の射程
4 進化生物学的成果をめぐる政治闘争 255
規範的基礎づけに召喚される進化論
現代のダーウィン進化論の内部対立
進化論という「闘技場」
5 政治闘争の遺伝子文化共進化 260
「保守/革新」の社会的機能
政治性向の遺伝子文化共進化
6 おわりに 266
註 267
文献一覧 276
第六章 宗教という「排除できない悪」〔鈴木弘輝〕 283
はじめに 283
1 「ひきこもり」経験者の自己意識 285
「ひきこもり」の悪循環
スティグマ化とトラウマ化
2 スティグマ化とキョウヨウ主義 288
自己意識の循環的なあり方
教養主義からキョウヨウ主義へ
キョウヨウ主義の自己意識システム
3 トラウマ化と社会人基礎力 293
社会人基礎力の普及
社会人基礎力の自己意識システム
4 現代社会における「人間性」という宗教 297
「人格」や「人間」への信仰
5 現代社会における「人間性」のあり方(その1) 298
「人間」と「人間にあらざる者」
宗教的普遍主義の自己意識システム
6 現代社会における「人間性」のあり方(その2) 300
「自分自身の神」という宗教観
キョウヨウ主義のヴァージョンアップ
7 「公共的に生きていくための術」を支える「他者」の存在 306
新しいコミュニケーションの可能性
自己愛と他者
他者から社会へ
おわりに 310
文献一覧 310
第七章 教育と責任〔濱中敢太郎〕 313
はじめに 313
1 法外な教育 316
2 平等の欺瞞 322
3 教育的挑発 327
おわりに 333
註 338
文献一覧 341
第八章 悪を歓待する――民主主義的な集団の(不)可能性について〔神代健彦〕 343
はじめに 343
1 二度目の歓待、あるいは悪を歓待する 348
集団というトポス
学級集団づくりのプロセスと歓待の条件
集団を与える=教えることの苛烈さ
悪を歓待するための悪の技術、あるいはトポスの高み
2 共和国の主人の〈ちから〉 361
よりマシな悪の選択
〈ちから〉について
民主集中制
共和国の二級市民
3 親密圏公共圏という(不)可能性 375
消えゆく悪と新たな異邦人
親密圏×公共圏
哀れむことが〈できない〉という他者
法、ケア、正義
おわりに 392
註 395
文献一覧 398
解題――「感情の劣化」への抗いを全体主義のリスクを回避して進める手だてはあるか?〔宮台真司〕 401
「反知性主義」か「感情の劣化」か
善のために悪は不可避である
「本質疎外論」と「受苦的疎外論」
パターナリズムだが本来性否定
音楽から概念言語が分出された
音楽的な先取りが言葉を可能に
反世俗主義で揺らぐ自明な主権
概念言語では維持不可能な手打ち
あとがきに代えて――遠近法主義、あるいは力への意志としての〈悪〉(二〇一五年 十一月 著者を代表して 堀内進之介) [415-426]
執筆者紹介 [428-429]