原題:La mort volontaire au Japon
著者:Maurice Pinguet (1929-1991)[モーリス・パンゲ] 哲学。日本研究。
訳者:竹内 信夫(1945-)[たけうち・のぶお] フランス文学。空海研究。
NDC:361.5 文化.文化社会学:文化変容,社会進歩,社会解体
NDC:368.3 自殺.自殺防止
『自死の日本史』(モーリス・パンゲ,竹内 信夫):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部
【目次】
学術文庫版への訳者まえがき(二〇一一年四月一六日 竹内信夫) [003-006]
日本版への序(一九八六年二月 モーリス・パンゲ) [007-019]
〈意志的な死〉
パリサイ的偽善
歴史と哲学、歴史と社会学
いじめ自殺
選ぶ自由
凡例 [021-022]
第一章 カトーの《ハラキリ》 029
自死のコード
諦めと憤り
隷属者の自由死
奴隷の絶望
隷属から倫理へ
賢者の尊厳
形而上学の優位
不幸な意識
内在の国、日本
有は時なり
第二章 自殺の統計学 059
自殺の波
戦争の傷跡
自殺死亡率の低下
自殺死亡率の変移
意志のただなかに
第三章 自殺社会学の歩み 072
心正しき人と心やさしき人
医学愚行集
個人主義からニヒリズムへ
ニヒリズムの治療法
社会主義の未来像
〈意志的な死〉の尊厳
フロイトとデュルケーム
自殺類型学の試み
デュルケームの心配
第四章 兆候としての自殺 092
階級闘争と企業闘争
コンクリートと森
老人の自殺
青年の自殺
もっとも気がかりな兆候
未来という重荷
挫折の償い
超自我の目覚め
オイディプスの転調
母親とのきずな
超越する善、内在する善
役割ナルシシズム
責任をめぐるかけひき
宿命感
親子心中
自殺兆候説のかなたへ
第五章 歴史の曙 141
死と《神道》
供物と生贄
殺される生贄から意志的な生贄へ
献身的自殺
三日目の復活
愛に死す
古墳時代
埴輪の発明
殉死
第六章 暴力の失効 172
殉死の禁止令
暴力の後退
加持祈祷と迷信
死者の復讐
〈意志的な死〉の衰退
自殺未遂、二重の成功
満ち足りた生活の憂愁
第七章 武芸そして死の作法 199
皆殺し
合理的な死
敗北のなかの栄光
夫に殉じる妻
幼帝安徳の死
死の演出法
腹と真実
切腹の制度化
機略
集団切腹
〈意志的な死〉の饗宴
《切腹》批判
生きることへの義務
第八章 捨身 237
戦いの人、宗教の人
「中」なる道
キリスト教による自殺の排斥
希望と絶望の狭間で
不動の中心
自己埋葬
犠牲の回帰
禁欲の修行
仏教の両義性
阿弥陀信仰の慰め
不動の慈悲心
狂言入水
ある強情な男の話
皮と芯
苦行者と竜
第九章 残酷の劇 290
暴力から意志へ
腹を切るという特権
新しい秩序
名誉と奉仕
自己処罰
儀式
非公開の舞台
剣の扱い方
刑罰の恐ろしさ
支配者階級を支配すること
君主の報復
城下の暮らし
太平の矛盾
《武士道》とは死ぬことなり
死は武士道なり
殉死の衰退
忠臣たちの仇討ち
我ら、人殺しにあらず
四十七士批判
死と演劇空間
武家体制の衰退
絶対主義の動脈硬化
蒸気船と大砲
理性の策略
「サムライ」は死に同意する
「サムライ」の死
第十章 愛と死 355
嫁いびり
悲嘆と同情
父権の絶対主義
色を好む男
快楽の組織化
幻影と真実
愛と記憶
遊女の愛
悔恨と亡霊
虐げられた者たちの最後の手段
紙屋治兵衛の悲嘆
一切廻向
姦通の苦難
擬装心中
愛欲から解脱へ
第十一章 自己犠牲の伝統 432
ナショナリズムの高揚
万世一系の
武士階級の終焉
天皇万歳、政府打倒
末期の痙攣
偉大なる西郷
暴力と政治
軍隊の屈従と偉大
ある兵士
反戦の歌
やがて彼らは死ぬ、彼らはそれを知っている
第十二章 奈落の底まで 479
テロリズムの正統
テロと徳義
〈意志的な死〉の悪用
越権問題
暗殺者の時代
青年将校
中国戦争
思想の最前線で
虚無への跳躍
自己犠牲の歯車装置
秘密兵器
〈意志的な死〉の三段論法
二十歳の死
ある公正な殉教者
奈落を前に
民族自殺の期限
天皇の意思表明
いかに死ぬか
嵐は去った
第二の波
歴史の審判
第十三章 ニヒリズム群像 549
思想の論理的帰結
理性という名のガードレール
あるロマン主義者の運命
青春の躍動
自殺という社会問題
高貴なる行為
ある上流名士の絶望
何も本気にしないこと
虚無の郊外にて
ブルジョア病
熱情の人
第十四章 三島的行為 592
薄明のとき
生への目覚め
悲嘆と困惑
だいなしの人生
我思う、ゆえに我もはや生きてはあらじ
才能にめぐまれた青年
太陽と夜
悲劇への意志
楯の会の誕生
精神の贖罪
計画と準備
実行
存在とはすべて迷宮なり
時代精神
カタルシス、そして至上性
原註 [641-679]
典拠一覧 [681]
訳者あとがき(一九八六年四月 訳者識) [683-690]