著者:須藤 時仁[スドウ・トキヒト](1962-) マクロ経済学、日本経済論。
著者:野村 容康[ノムラ・ヒロヤス](1970-) 財政学、租税論。
シリーズ:現代経済の展望
NDC:332.107 日本経済史(昭和時代後期.平成時代 1945-)
【目次】
はじめに [v-viii]
目次 [ix-xi]
第一章 縮小均衡に陥った日本経済 001
1 変貌を遂げた日本経済 002
高度成長、安定成長、そして低成長
何が経済の成長を決めているのか
経済対策の効果
経済の下支え要因ではなくなった輸出
2 循環要因としての設備投資 011
設備投資は何によって動かされるのか
主因は設備の過剰感・不足感
期待成長率の低下と進まない過剰設備の解消
企業は資金不足から資金余剰へと変貌
中堅・中小企業の設備投資にも効かない低金利
3 トレンド要因としての個人消費 022
何が個人消費の動きを決めるのか
低下し続けた家計所得の伸び率
4 拡大均衡から縮小均衡へ 027
長期停滞脱却の鍵を握る雇用者の所得
九八年前後に縮小均衡突入のシグナルが発生
アベノミクスは縮小均衡から脱却する契機となるのか
注 031
第二章 企業経営は効率的だったのか 033
1 経済のサービス化と生産性の格差 034
進む経済のサービス化
生産性の上昇率が低い第三次産業
2 低下する生産設備の生産性 040
設備の生産性は八〇年代初頭からすでに低下傾向へ
成長率が低下しても拡大を続けた建物と土地への投資
IT投資で生産費は上がったのか
3 報酬は生産性に応じて支払われているか 049
付加価値はどのように分配されているのか
資本へ分配された資金は何に使われているのか
付加価値分配の問題点
本当に抑制されていた労働分配率
従業員報酬を圧迫する福利厚生費の増加
誰が面倒をみるのか
注 065
第三章 産業構造の変化と所得格差問題 067
1 所得の伸びが低い成長産業 068
若年層に厳しい雇用環境
経済のサービス化が経済全体の所得の上昇を抑制
雇用吸収力の高いサービス業
雇用と所得のトレードオフ関係
サービス料金はなぜ引き上げられないのか
2 経済のサービス化が所得格差を拡大 078
所得格差は再び拡大へ
「真の格差」とは何か
クズネッツの逆U字仮説
所得格差はサービス業などでの雇用増加とともに拡大
3 所得再分配政策の強化が個人消費活性化の鍵 090
消費しない高所得層
階級別の消費構造と資産・負債構造
所得格差の縮小が全体の消費を押し上げ
注 098
第四章 金融政策のジレンマ 101
1 低下した日本企業の国際競争力と貿易構造の変化 102
為替レートの動き
高まらない輸出競争力
貿易収支を悪化させているもう一つの要因――資源エネルギー価格の上昇
国際競争力が劣る先端技術分野
2 物価上昇を抑える技術進歩と消費者行動 116
物価上昇率の日米英比較
生活必需品目が物価を押し上げる主因
物価の抑制要因――インターネットの普及と企業の過当競争
3 小括 125
注 128
第五章 財政構造の変化から考える日本経済 129
1 最近における財政構造の変化 130
税収はなぜ減ったか
税収改革の影響
歳出構造の変化
社会保障費拡大の原因は高齢化だけではない
2 公共投資の役割 145
景気浮揚効果はなぜ下がったのか
公共事業削減の地方への影響
国土強靭化と公共投資ののあり方
3 財政健全化とその方向性 156
国債費の問題
歳入基盤の強化を
注 164
第六章 再分配機能再生のための社会保障と税の改革 165
1 所得再分配機能の変容 165
社会保障と税による再分配効果
再分配効果があまりにも低い日本
所得税の累進性は大幅に低下
2 社会保障制度の正常化に向けて 178
日本の生活保護制度の問題点
スウェーデン方式に基づく公的年金
公的医療保険・介護保険の問題点
現物給付の重要性
3 再分配型租税構造への転換 192
消費ベース課税の再構築
資産課税の重要性
資産所得の分離課税化
勤労所得税の累進性強化
超過利潤税への転換
消費税をどう考えるか
①公平上の問題
②景気にマイナス
③課税ベースの拡大
④地方税としての意義
注 215
終章 縮小均衡離脱への処方箋――所得格差是正の視点から 217
1 なぜ縮小均衡に陥ってしまったのか 217
2 縮小均衡脱出のための提言 228
所得再分配機能の問題点
所得再分配機能の強化へ向けて
税制改革
現役層向けの再分配政策
年金・医療・介護保険制度の改革
注
参考文献 [239-245]
補注 所得格差の経済効果 [1-4]