著者:八代 尚宏[やしろ・なおひろ](1946-) 労働経済学。日本経済論。
NDC:332.107 日本経済史・事情
【目次】
はじめに――危機の時こそ市場の活用を [i-v]
目次 [vi-xii]
第1章 新自由主義の思想とは何か 003
基本的な考え方
誤解の蔓延
賢人政治と共同体主義
本来の新自由主義とは
市場と政府の役割分担
公共財の供給
道路公団民営化を例に
事前的規制と事後的規制
市場競争と「弱者保護」
談合は必要悪か
環境問題にも市場を活用
排出権取引市場の創設
景気対策の必要性
所得再分配
福祉という「保険」
「効率性」の概念
[コラム 四大思想家を読み直す]ジョン・ロールズ
第2章 資本主義の終焉? 037
1 サブプライム・ローン問題の本質 037
「一〇〇年に一度」は大げさ
サブプライム・ローンの失敗要因
リスクと不確実性
格付け機関の「利益相反」 システミック・リスク
セーフティー・ネットの罠
2 効率的な金融市場規制とは 051
四つの制度改革
資本主義は変わるか
野球とサッカーの審判の違い
[コラム 四大思想家を読み直す②]アダム・スミス 060
.
第3章 市場主義は日本の伝統 063
1 平清盛から「天下の台所」まで 064
信長を支えた「楽市・楽座」
貿易国家を目指した福原遷都
世界の先進商業都市・大坂
2 一九四〇年体制と一九七〇年体制 071
戦前は欧米型市場経済
戦時の一九四〇年体制
イラクと日本占領の対比
田中角栄の一九七〇年体制
3 分裂国家日本 080
産業政策の功罪
貿易自由化は「アメリカの圧力」?
「対日年次改革要望書」 分裂国家
国際主義と国内開発主義との対立
[コラム 四大思想家を読み直す③] フリードリッヒ・ハイエク 090
第4章 小泉改革で格差は拡大したか 095
1 所得格差拡大の真相 096
高齢化という要因
若年層が格差拡大している理由
自由貿易は行きすぎか
成功体験の弊害
2 規制緩和への誤解 104
「失われた一〇年」への挑戦状
タクシー参入規制は保護貿易
派遣法の規制緩和への誤解
司法試験改革の理想と現実
市場競争に代わる選択肢はあるか
選択的夫婦別姓
[コラム 四大思想家を読み直す④]ミルトン・フリードマン 117
第5章 小泉改革は「行きすぎ」だったか 121
1 郵政民営化の明暗 122
民営化の論理
政府の株式保有は必要か
真の目的は?
2 進まなかった地方分権化 130
市場主義と地域主権の共通点
あるべき「三位一体の改革」
人口減少時代の過疎対策
3 構造改革特区 137
モデルは米国州政府
全国展開への道筋
自治体の意欲
4 財政再建はなぜ成功しなかったのか 144
再び開いた「ワニの口」
カナダ型財政再建との対比
「埋蔵金」は無意味
社会保障費削減の失敗
社会保障目的税
公共投資の限界
所得再分配機能の強化を
第6章 社会保障改革 159
1 年金制度は何のためにあるか 160
給付と負担の均衡
世代内の所得移転に重点を
専業主婦年金の改革案
未納付問題の抜本的解決策
税方式にすれば大幅な増税が必要?
新自由主義で考える年金制度
2 質の高い医療を 175
医療費抑制はタブーか
開業医を家庭医へ
日本の医療制度の矛盾
第7章 労働市場改革 183
1 雇用格差を縮小する方法 184
企業の利益追求が問題?
日本企業は「労働者管理企業」
年功賃金は公平か
解雇ルールの策定を
2 新卒一括採用、定年制という悪習 192
企業が新卒一括採用にこだわる理由
人材ビジネスを成長産業に
「定年退職禁止」が先進国の大勢
公務員制度改革
3 女性が活きるために 200
少子化の要因
ワーク・ライフ・バランスはなぜ実現できないか
第8章 新産業の可能性 207
1 コメを輸出産業に 209
コメの可能性
もはや保護している時ではない
農業の活性化のために
2 医療・介護・保育をサービス産業へ 213
ドラッグ・ラグ
公的保険の範囲を見直す
混合介護
混合保育
3 都市の再開発とコンパクト・シティー 223
シャッター商店街は「商売放棄地」
都市空間の活用
固定資産税は都市の使用料
民間事業者の活用
混雑料金
新自由主義に基づく都市政策
終章 震災復興とTPP
復興財源は増税ではなく「増収」で
生産者利益の視点から
反対論の不思議な論理
TPPで農業の構造改革を
市場の活用による復興計画
おわりに(二〇一一年七月 八代尚宏) [249-252]
読書案内 [253-254]
①経済学の基礎を知る
②新自由主義の思想をさらに知る
③社会制度問題について知る