著者:待鳥 聡史[まちどり・さとし] (1971-) アメリカ政治、比較政治学。
NDC:313.7 民主制:共和制,議会政治
【目次】
目次 [iii-viii]
序章 代議制民主主義への疑問――議会なんて要らない? 001
目に余る惨状
高まる議会批判
熟議民主主義
住民投票・国民投票
「一般意志2・0」
代議制民主主義とは何か
本書の関心
第1章 歴史から読み解く――自由主義と民主主義の両輪 017
1.1 近代議会の成立と発展 017
議会と民主主義が結びつくという「常識」
古代民主主義から近代民主主義へ
議会と君主権力
共和主義と民主主義
1.2 大統領制と議院内閣制 027
アメリカの共和主義者の苦悩
大統領制の誕生
マディソン的自由主義――権力分立と多元的政治観
アメリカ政治の民主化
民主主義の不足か、行きすぎか
議院内閣制の確立
労働者の政治参加
1.3 拡大する代議制民主主義 045
ヨーロッパにおける政党政治の確立と「凍結」
後発近代化諸国の立憲君主政
大統領制の広がりと多様化
代議制民主主義の確立
全体主義による挑戦
ファシズム諸国の崩壊と再建
1.4 代議制民主主義の黄金期 060
戦後和解体制と福祉国家
行政国家化
利益集団自由主義
異議申し立ての噴出
ガヴァナビリティの危機
新興諸国の政治的不安定
凍結の終焉
第2章 課題から読み解く――危機の実態と変革の模索 077
2.1 動揺の時代 077
決定的変化点としての一九八九年
日本の政党政治への影響
個人レヴェルの変化
2.2 変革の試み 084
制度改革への志向
新自由主義と代議制民主主義
既成政党の変化
新党ブーム
激変するメディア環境
政治の「大統領制化」
2.3 目立つ機能不全 098
日本の「失われた二〇年」
アメリカ政治の「分極化」
ユーロ圏の危機と負担
グローバル化の光と影
扇動政治家の台頭
新興民主主義国の混迷
2.4 危機への対応 115
自由主義と民主主義の不整合
失望と反撥
焦点としての議会
一時的な答えだったのか
第3章 制度から読み解く――その構造と四類型 123
3.1 代議制民主主義の基本構造 123
委任と責任の連鎖
誘因から考える
委任の誘因構造
責任の誘因構造
3.2 代議制民主主義を分類する 134
権力分立は何を目指したか
制度はなぜ重要なのか
二つの基幹的政治制度――執政制度と選挙制度
執政制度の分類――大統領制・議院内閣制・半大統領制
執政制度と政官関係
選挙制度の分類
「比例性」への注目
3.3 制度と政党 150
代議制民主主義における政党 選挙制度と政党システム
選挙制度と政党組
織執政制度と政党
3.4 四類型を考える 164
レイプハルトの分類
代議制民主主義の四類型
多数主義型
コンセンサス型
中間型1
中間型2
国政と地方政治の不整合
日本の執政制度と選挙制度
参議院と地方政治制度の影響
第4章 将来を読み解く――改革のゆくえ 191
4.1 三つの「症状」 191
円滑さを欠く連鎖関係
国政の「決められない政治」と「決めすぎる政治」
地方の「過剰な制約としての議会」と「無駄な議会」
広すぎる裁量と実現困難な公約
改革の方向性
4.2 執政制度の改革 204
執政制度の収斂か
なお残る違い
新しい専制か
官僚の統制と政治任用
日本の執政制度改革
より優れた執政制度は存在するか
4.3 選挙制度の改革 220
改革の意味
小選挙区制の改革
比例代表制の改革
混合制の流行
汚染効果
日本の選挙制度改革
マルチレヴェルミックスの課題
理想の選挙制度の探求
終章 代議制民主主義の存在意義――バランスの観点から 241
批判の論理
懐疑論に根拠はあるか
制度改革の効果
代議制であることの意味
代議制民主主義を使いこなすために
あとがき(二〇一五年一〇月 待鳥聡史) [257-261]
参考文献 [262-267]