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『リバタリアンはこう考える――法哲学論集』(森村進 信山社 2013)

著者:森村 進[もりむら・すすむ](1955-) 法哲学


リバタリアンはこう考える - 信山社出版株式会社 【伝統と革新、学術世界の未来を一冊一冊に】


【目次】
序文(二〇一二年師走 森村進) [i-v]
目次 [vi-xvii]
初出一覧 [xviii-xix]


◇第1部 リバタリアニズムの理論的基礎◇

1 リバタリアニズムの人間像 003
一 現実の人間像と理想的人間像との区別 003
二 現実の人間像 005
三 理想的人間像について 009


2 コミュニタリアニズムの批判的検討 018
一 序 018
二 『美徳なき時代』の主張 020
三 コミュニタリアニズム道徳理論の意義と欠陥 025


3 リバタリアンな正義の中立性 039
一 善についてのとらえ方に対する中立性と自由主義 039
二 リバタリアンな正義への批判 044
  1 結果の平等 045
  2 共同体としての国家 048
三 結語――自由主義的帝国の擁護 055


4 リバタリアン福祉国家を批判する理由 058
一 序 058
二 福祉国家批判の論拠 060
  1 「福祉への権利」否定論 060
  2 福祉国家は一層多くの貧困を作り出すという議論 062
  3 福祉国家は自発的な相互扶助や援助を妨げるという議論 063
  4 自発的な援助の可能性に関する問題 065
  5 福祉国家は人々の自助努力を妨げるという議論 066
  6 福祉国家はインセンティヴや知識の問題のため(自助努力や相互扶助よりや市場よりも)非効率的であるという議論 067
  7 福祉国家は政府の権力を強化してしまうという議論 071
  8 福祉国家は移民の自由(外国人が入国する自由)と両立しないという議論 072
三 リバタリアンがある程度の社会保障を認める論拠 073


5 「みんなのもの」は誰のもの? 078
一 公共財とは何か 078
二 市場の失敗 082
三 政治による再配分と市場における交換 084
四 公共財の供給は過小にならざるをえないか? 085
五 市場と政府と公共性 087
六 市場経済的公共性観への批判 088
補論 政府の擬似公共性と市場の公共性 091


6 自己所有権論を批判者に答えて擁護する 096
一 序 096
二 高橋の身体所有論批判 101
  1 身体所有権の自明性 102
  2 自己支配が先か、介入排除が先か? 104
  3 規範道徳的議論における直観の位置 106
  4 身体の所有権か、用益権か? 110
  5 「自己」とは何か? 113
三 立岩の労働所有論批判 117
  1 立岩の「自由」はリバタリアンの言う「自由」ではない 117
  2 正当化されていない平等主義 123
  3 身体への権利と労働の産物への権利 127
  4 帰結主義的議論 140
四 橋本の「成長論的自由主義」からの批判 143
  1 自己所有権リバタリアニズム対成長論的自由主義 144
  2 臓器と四肢と労働 146
  3 自己奴隷化契約は難問 148
五 結語 149


7 分配的平等主義を批判する 153
一 序 153
二 「平等」の中心性先取りの誤謬 155
  1 「何の平等か?」が根本問題か? 155
  2 平等に重きを置かないさまざまの正義論 156
三 相対的な平等と絶対的な生活水準 160
  1 等しからざるを憂えずして、貧しきを憂う 160
  2 優先性説 161
  3 十分性説 164
  4 分配政策の実際の受益者は誰か? 169
四 規範的デフォルト状態としての平等? 170
  1 運の平等主義と無羨望 170
  2 ロールズの「補償原理」 171
  3 代替的出発点 174
五 分配されるものの量は一定だという前提 175
  1 序 175
  2 直接的費用 176
  3 間接的費用 177
  4 強制的分配の反生産性 179
六 結語 180


8 ナーヴソンの契約論的リバタリアニズム 185
一 ナーヴソンとは誰か 185
二 ナーヴソン理論の位置づけ 190
  1 契約論 190
  2 リバタリアニズム 197
三 ナーヴソン理論へのさまざまな批判と疑問 200
  1 契約論自体に関するもの 200
  2 契約論からリバタリアニズムを導出する議論に関するもの 209
  3 労働所有論の正当化に関するもの 217
四 結語 223
補論 ナーヴソンの近著二冊 226
  1 両書の概要 227
  2 「社会契約」 230
  3 契約論道徳からのリバタリアニズムの導出 231
  4 私有財産 234


9 自由市場グローバリゼーションと文化的繁栄 236
一 序 236
二 グローバリゼーションはなぜ文化の発展を助けるのか 241
  1 金銭的報酬と名声への欲求 241
  2 生活の保障 243
  3 技術的進歩 244
  4 他の社会との接触による文化の変容 246
  5 消費者の豊かさ 248
  6 ロングテール化とニッチの存在 250
三 文化的ペシミズムの原因 251
  1 画一性か多様性か? 252
  2 趣味の低下・通俗化 256
  3 悲観主義者がなぜこんなに多いのか? 258
四 楽観論の部分的留保 260
  1 同時代性の崇拝 260
  2 個性の崇拝 262
五 結語 264


◇第2部 自由の法理◇

10 アナルコ・キャピタリズムの挑戦 275
  ・警備保障会社 276
  ・公共財 278
  ・無政府社会における法 280
  ・無政府市場社会における刑罰制度 283
  ・公的福祉について 292
  ・結論なき終末 293


11 国家と宗教の分離 299
序 299
一 信教の自由 300
二 政教分離 306
  1 判例理論 306
  2 政教分離の意味 313
  3 政教分離の根拠 317
三 中立性の限界 320


12 政府の活動はどこまで民間に委ねられるべきか 327
序 327
一 政府の果たすべき役割 328
二 政府活動の「公共性」の意味 337
三 政府活動の必要性と無用性 341
四 教育の公共性と私事性 348
  1 教育はいかなる意味で公的なのか 348
  2 教育権者と教育の目的 352


13 サンスティーンとセイラーのリバタリアンパターナリズム 358
序 358
リバタリアンパターナリズム」へのコメント 360
  1 STの「リバタリアンパターナリズム」は本当はパターナリズムでない 360
  2 STの提案のリバタリアンな要素 361
  3 柔らかいパターナリズムも許されてはならないとき 363
  4 不合理だとされる行動が合理的でありうるとき 365
  5 結語 368
補論 サンスティーンの回答など 368


14 「大地の用益権は生きている人々に属する」 ――財産権と世代間正義についてのジェファーソンの見解 375
一 序 375
二 ジェファーソンの四通の手紙とマディソンの一通の手紙の翻訳 376
  1 フォンテヌブロー、一七八五年一〇月二八日 ジェイムズ・マディソンあて書簡(書簡1) 377
  2 パリ、一七八九年九月六日 ジェイムズ・マディソンあて書簡(書簡2) 379
  3 ニューヨーク、一七九〇年二月四日 ジェイムズ・マディソンからジェファーソンあて書簡(書簡3) 386
  4 モンティセロ、一八一三年八月一三日 アイザック・マクファーソンあて書簡(書簡4) 390
  5 モンティセロ、一八二四年六月五日 ジョン・カートライト少佐あて書簡(書簡5) 394
三 ジェファーソンの財産権観、特に労働所有論 395
  1 自然権としての労働所有権 395
  2 相続と無体財産権は自然権でない 398
  3 左翼リバタリアン的要素 400
  4 農本主義的要素 402
四 ジェファーソンの世代間正義論、特に定期的憲法制定論 404
  1 原理とその諸帰結 404
  2 マディソンの批判 406
  3 ジェファーソンの憲法観 408
  4 硬性憲法の存在理由 413
  5 国家の時間を超えた同一性 415
  6 プリコミットメントとしての硬性憲法 418


15 権利主体としての子供 427
一 序 427
二 ロックの見解の概観 429
三 ロック的子供の権利論の検討 432
  1 子供はいかにして権利主体でありうるのか? 432
  2 なぜ親が養育の義務と権利を持つのか? 438
  3 子供はいつ十分な権利を持つのか? 440
  4 子供は不完全な人間でしかないのか? 443
  5 「狂人や白痴」には権利がないのか? 444
四 結語 446


16 リバタリアニズムから見た犯罪への責任 448
一 序 448
二 刑罰制度なしの純粋損害賠償 449
三 リバタリアニズムと修復的司法の比較 453
四 不法行為法における「共同体的正義」・「個人的正義」・「全体的正義」と刑事責任 457


17 リバタリアニズムと刑罰論 462
一 序 462
二 刑罰の目的 463
  1 犯罪の抑止 464
  2 教育刑 466
  3 処罰感情の満足 467
  4 表明的効果 471
  5 応報的正義 473
  6 刑罰廃止論 474
三 リバタリアンの刑罰論――特にオーツカの主張をめぐって 475


索引 [i-v]