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『集中講義!アメリカ現代思想――リベラリズムの冒険』(仲正昌樹 NHKブックス 2008)

著者:仲正 昌樹[なかまさ・まさき] (1963-) 政治思想史、社会思想史、社会哲学。


NHKブックス No.1120 集中講義!アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険 | NHK出版


【目次】
目次 [003-008]


序 アメリカ発、思想のグローバリゼーシ 009
  「アメリカの思想」の一般的イメージ
  プラグマティズムの特徴
  プラグマティズムマルクス主義
  日本におけるプラグマティズム受容
  哲学・思想のアメリカ化傾向
  第一の経路:アメリカ版ポストモダン思想
  第二の経路:分析哲学の潮流
  第三の経路:リベラリズムをめぐる議論
  リベラリズムの多様な展開
  本講義のねらいと構成


I リベラルの危機とロールズ
第一講 「自由の敵」を許容できるか――戦後アメリカのジレンマ 032
  「自由」の目標転換
  自由主義の逆説
  全体主義への誘惑
  「自由ゆえの孤独」をいかに克服するか
  市場の純粋性か、計画経済か
  アーレントの「自由」擁護論
  自由と複数性
  公的領域と私的領域――複数性を担保する二分法
  第三世界をめぐる米ソ攻防
  解放の論理――もう一つの「自由」
  「リバティー」と「フリーダム」
  フランス革命アメリカ革命の違い
  「自由」の二つの伝統
  ハイエクによる設計主義批判


第二講 自由と平等を両立せよ!――「正義論」の衝撃 064
  揺らぐ「平等」のイメージ
  黒人の権利拡張への反発
  公民権運動のクライマックス
  ウーマン・リブの登場
  アメリカ的な「リベラル」とは何か
  「古典的自由主義」vs.「弱者に優しいリベラル」
  ベトナム戦争新左翼
  マルクーゼとミルズ――「リベラル」への挑戦
  リベラルのアイデンティティ危機
  「リベラルな政治哲学」登場!
  規範倫理学とメタ倫理学
  アメリカの「正義感覚」を再定義する
  ロールズ的な「正義」の射程
  「市民的不服従」正当化の論理
  「正義」の二つの原理
  格差原理――弱者の効用を最大化する
  「無知のヴェール」の効力
  「正義の原理」を定着きせる戦略

【間奏曲I】日本にとっての一九六〇年代 103


II リベラリズムの現代的展開

第三講 リバタリアニズムコミュニタリアニズム――リベラルをめぐる三つ巴 110
  功利主義からの反論
  政治学・法学へのインパク
  「反省的均衡」とは何か
  「法」から「正義」へ――ドゥウォーキンの歩み
  全ての基本は「平等への権利」
  リバタリアンのリベラル批判
  「最小国家」の役割
  「守護国家」と「生産国家」
  アナルコ・キャピタリズムの発想
  国家は犯罪者集団である!
  コミュニタリアンのリベラル批判
  「共通善」の喪失
  「負荷なき自己」批判
  ウォルツァーの多元論的前提
  多文化主義コミュニタリアニズム


第四講 共同体かアイデンティティか――文化をめぐる左右の戦争 146
  カーター政権の「人権」外交
  レーガン政権の「反動」政策
  ネオコンから宗教右派まで――保守派の台頭
  「価値中立性」というジレンマ
  主流派の危機意識
  保守派による「リベラルな専制」批判
  「伝統的教養」擁護論
  「保守主義」vs.「差異の政治」


第五講 ポストモダンとの遭遇――リベラルは価値中立から脱却できるか 165
  「市民社会の論理」を拒絶する
  ポストモダン左派の隆盛
  「差異の政治」と「コミュニタリアニズム」の相違点
  フーコーをめぐる論争
  闘争か承認か――コノリーとテイラー
  アメリカ人であるとはどういうことか
  「公/私」二分論とリベラリズム
  「私的なものは政治的である」――ラディカル・フェミニズム
  噛み合わない議論
  ポルノグラフィをめぐるすれ違い
  私的領域における「正義」
  「公/私」境界線の再編に向けて

【間奏曲II】日本のポストモダン思想 190


III ポスト冷戦期のリベラリズム
第六講 講政治的リベラリズムへの戦略転換――流動化する「自由」 198
  ローティの挑戦
  重なり合う合意
  ローティのロールズ解釈――基礎付け主義からの脱却
  リベラル・アイロニストの特性
  「文化左翼」批判
  ロールズの戦略転換
  「公共的理性」はいかに発動するか
  コミュニケーション的理性と公共的理性
  民主主義の問い直し――ラディカル・デモクラシーと共和主義的民主主義論
  討議か闘技か
  「リベラリズム」と「デモクラシー」の相性


第七講 〈帝国〉の自由――「歴史の終焉」と「九・一一」 224
  自由民主主義の勝利?
  「西欧」の限界
  「衝突」をいかに回避するか
  「万民の法」――“グローバルな正義論”の試み
  「良識ある階層社会」カザニスタン
  正戦論の導入
  〈帝国〉とは何か
  「マルチチュード」の可能性
  〈帝国〉論とロールズの接点
  「九・一一」後の言論状況
  リベラル左派の右転回
  「リベラリズム」の黄昏


第八講 リベラリズムから何を汲み取るべきか 252
  グローバル・スタンダードとしてのリベラリズム
  センの「潜在能力」アプローチ
  思想業界を圧倒する「アメリカの影」
  戦後日本の「ねじれ」とアメリ
  「アメリカの影」を払拭できるか
  「自由の逆説」から学ぶべきこと


あとがき(二〇〇八年七月七日 金沢大学角間キャンパスにて 仲正昌樹) [266-270]
関連年表 [271-281]
あらまし [282-283]
索引 [1-9]