contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『不死身の特攻兵――軍神はなぜ上官に反抗したか』(鴻上尚史 講談社現代新書 2017)

著者:鴻上 尚史[こうかみ・しょうじ] (1958-) 劇作家。
NDC:210.75 日本史(太平洋戦争 1941-1945)
NDC:916 記録.手記.ルポルタージュ


『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』(鴻上 尚史):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部


【目次】
はじめに [003-004]
目次 [005-006]


第1章 帰ってきた特攻兵 007
生き残った特攻隊員
振武寮という地獄
第一回の特攻隊
旅の始まり
テレビ取材
佐々木さんに会いたい
札幌の病院で


第2章 戦争のリアル 023
『陸軍特別攻撃隊』から読み解く
生い立ち
飛行機乗りへの道程
岩本益臣隊長
3本の槍
艦船を沈める難しさ
妻・和子との別れ
万朶隊の結成
特殊任務
特攻は努力と技術の否定か
死への飛行
巧妙な仕掛け
父の教え
神風特別攻撃隊の「成功」
フィリピンへ
儀式好きの冨永司令官
岩本隊長の作戦
理不尽なマニラ行き
残された者
出撃の夜
レイテ湾の戦い
突入
割り増しされる「戦果」
消された存在
2回目の出撃
急襲
軍神の家
一機だけで
5回目の出撃
6回目の出撃
嘘の戦死報告
不時着
「臆病者」
適材適所とは真逆の作戦
8回目の出撃
9回目
マラリアの苦しみ
レイテ戦の敗北
処刑飛行
無能なリーダー
アメリカ軍の上陸が迫る中で
司令官の逃亡
“軍神”は死なねばならない
全軍特攻
敗戦へ
殺害命令
帰国の途
雪の北海道
戦後を生きる


第3章 2015年のインタビュー 169
2015年10月22日
特攻と聞いて
死なない強さ
2回目のインタビュー
生き残った者として
3回目のインタビュー
4回目のインタビュー
佐々木さんを支えたもの


第4章 特攻の実像 209
特攻隊とはなんだったのか
『神風特別攻撃隊』の欺瞞
「命令した側」の物語
集められた遺書
守られたエリート
洗脳
すり替えと責任逃れ
「熱望する 希望する 希望せず」
偽善の姿
未熟で若いパイロット
特攻の有効性
嘘で塗り固めて
本当の命中率
現実を見る能力
特攻を続けた本当の理由
天皇と特攻
国民の熱狂
売れるから書く
精神主義の末路
リーダーとしての器
特攻を拒否した美濃部少佐
非常事態はしょうがない?
日本人の性質と特攻
思考の放棄と「集団我」
特攻前夜の暗い瞳
現代の「所与性」の形
当事者ではない人間の怖さ


おわりに(鴻上尚史) [290-292]





【抜き書き】
・責任の所在

上官が止めても、「私を」「私を」と志願が殺到したのなら、上官には「特攻の責任」は生まれません。が、命令ならば、戦後、おめおめと生き延びていたことを責められてしまいます。
 戦後自刃しなかった司令官達は、ほとんどが「すべての特攻は志願だった」と証言します。


・精神論。

「精神」で撃ち落とすと最高責任者が言ってしまったら、撃ち落とせない時その理由は、高射砲の性能の限界でも、アメリカ機の高性能でもなく、「精神」になってしまいます。「精神」さえあれば、という論法が出てくるのです。

陸軍の爆弾では、体当たりどころか、通常の爆撃でも、そして跳飛爆撃でも艦船には効果がなかったのだ。
 鉾田飛行師団の研究部の岩本大尉と福島大尉は、効果的な爆弾、つまり海軍のような徹甲爆弾を作るようにと再三、陸軍の航空本部と三航研(第三陸軍航空技術研究所)に求め続けた。けれど、三航研は効果的な爆弾を作る代わりに体当たり攻撃を主張し始めた。

【メモランダム】
・本書の前提にある本。2018〜2019年に復刊。
『陸軍特別攻撃隊』(高木俊朗 文藝春秋 1974年)