著者:山口 厚[やまぐち・あつし](1953-) 刑法学。最高裁判所判事(2017年~)。
【目次】
はしがき [i-iv]
目次 [v-vii]
第一章 犯罪と刑罰とは何なのか 001
1 罪と罰 002
犯罪となんだろうか
日本の刑罰とは
死刑
自由刑――懲役・禁錮・拘留
刑の執行を猶予する
刑事施設から仮に釈放する
財産刑――罰金・科料・没収
刑罰の意義
刑法とは
準刑法
2 刑事手続のあらまし 025
どのような手続で犯罪とされ刑罰が科されるのか
捜査機関による捜査
検察官による訴追
裁判所における審理・判決
検察官による判決の執行
3 法的な禁止の対象――犯罪 032
何を禁止するのか――刑法の役割
倫理違反としての犯罪
利益侵害としての犯罪
二つの考えはどこが違うのか
処罰は法益保護の最終手段
後見的な保護
これからの課題
4 法的な禁止の手段――刑罰 044
禁止の手段としての刑罰
刑罰は何により正当化されるか
応報としての刑
犯罪予防のために処罰する――特別予防の視点
犯罪予防のために処罰する―― 一般予防の視点
刑罰目的を統合する
どのように国家刑罰権を限定するか
第二章 犯罪は法律で作られる 057
1 罪刑法定主義とは 058
罪と刑は法律で定める
罪刑法定主義の内容、それを支えるもの
2 法律で罰則を定める 062
法律以外では罰則を決められない?
命令で罰則を決める
猿払事件
条例で罰則を決める
売春勧誘事件
裁判所が罰則の内容を決める?
許されない刑法の解釈とは
条文のことばと解釈の限界
3 罰則は制定前に遡って適用できない 074
自由の保障
遡って処罰する
遡って刑を重くする
解釈(判例)の変更と遡及処罰
最高裁判所の立場
判例の不遡及的変更とその問題点
4 許されない罰則――内容の適正さ 085
実体的デュープロセス
無害な行為の処罰
不明確な罰則――明確性の原則
最高裁判所の立場
広すぎる罰則
福岡県青少年保護育成条例事件
罰と刑の不均衡
尊属殺規定違憲判決
第三章 犯罪はどんなときに成立するのか 099
1 犯罪の成立ち 100
犯罪の成立要件は何か
結果のない犯罪?
認識のない犯罪?
2 犯罪被害――結果 103
犯罪の結果とは
危険という結果
3 行為と結果の結び付き――因果関係 109
因果関係の必要性
因果関係とは
事実的因果関係
代替的原因と事実的因果関係
法的因果関係
因果関係の限定
大阪南港事件決定とそのインパクト
行為の危険性の現実化
法的因果関係判断の類型化
4 犯人の行為とは 126
行為が必要――作為と不作為
不作為の処罰
不作為処罰のあり方
作為と同価値であること
作為義務
放火罪の事例――不作為の放火(1)(2)
放火罪の事例――不作為の放火(3)
殺人罪の事例――不作為の殺人
保障人的地位とは
5 犯人の意思――故意・過失 149
故意とは
故意の限界はどこか――未必の故意
錯誤――認識と事実の食い違い
びょう打銃事件
法的な禁止に反するという意識
過失とは
6 犯罪のかたち――未遂と共犯 163
失敗した未完成な犯罪の処罰――未遂
何人かで犯罪を犯すとき――共犯
共同正犯
共謀共同正犯
教唆
幇助
第四章 犯罪はどんなときに成立しないか 173
1 犯罪の成立が否定される場合 174
犯罪が成立しなくなる
違法性と責任
責任阻却事由――責任を問う能力がない
違法とは知らなかった
2 違法性がなくなる理由 179
禁止が解かれる
正当な行為
医療行為
取材行為――外務省秘密漏えい事件
条文にない違法性阻却事由
違法性阻却に関する考え方
違法性についての別の理解
違法性阻却の根拠と判断の基準
緊急避難
3 正当防衛 204
正当防衛とは
正当防衛はいつできるのか
防衛行為であるためには
やむを得ずにしたこと
最高裁判所の判断
「武器対等の原則」の修正
正当防衛の限界
過剰な防衛
あとがき(二〇〇八年三月 山口 厚) [223-225]
索引 [1-3]