著者:松井 茂記[まつい・しげのり] (1955-)
著者:松宮 孝明[まつみや・たかあき] (1958-)
著者:曽野 裕夫[その・ひろお] (1964-)
装幀:デザイン集合ゼブラ + 坂井 哲也
【メモランダム】
・2020年に〈第6版〉が刊行された。
【目次】
épisode 1 一瞬のできごと 001
第1章 なぜ罪を犯すと処罰されなければならないのか――刑法の基礎 004
1 「犯罪」は処罰されなければならないか? 004
Hはどのような罪を犯したのか?
「犯罪」とは?
則金と罰金は違う
2 刑罰の意味 009
犯罪を処罰しないわけ
何のために処罰するのか
刑罰は「当然の報い」
刑罰には「目的」がある
人々が罪を犯さないようにするため
犯人が罪を繰り返さないようにするため
応報の範囲内で予防を
刑罰は規範意識を維持・覚醒するための手段
罪を犯す意思がなくても刑罰を受けることがある
3 罪刑法定主義という大原則 018
「人の支配」と「法の支配」
自由主義と国民主権(民主主義)
犯罪と刑罰は法律で決めなければならない
あとから法律を作って処罰してはいけない
似ているからといって処罰してはいけない
刑の種類と程度についても法律で決めなければならない
刑罰法規は明確でなければならない
刑罰法規の内容は適正でなければならない
4 犯罪の構造 024
どのような場合に犯罪が成立するか
「構成要件」というもの――犯罪成立の要件
「違法」と「責任」の区別――犯罪不成立の要件
違法性と違法性阻却
責任と責任阻却
Hの場合
被害者が「脳死」だったら
第2章 罪を犯したHの裁判――刑事訴訟法の基礎 036
1 刑事裁判の進め方 036
Hを処罰するには裁判をしなければならない
有罪判決までは無罪と推定される
捜査,公訴,公判
2 捜査――まず証拠を集める 039
未決と既決
逮捕
勾留
身柄の拘束と無罪の推定
取調べ
3 公訴と公判準備——裁判の前にしなければならないこと 047
公訴
犯罪の嫌疑が十分でも起訴されないことがある
交通事故はあまり起訴されない
公判の準備
4 公判手続――いよいよ裁判が始まる052
冒頭手統
証拠調べ
証拠能力の制限
証言すれば処罰されない証人
判決
刑はどうやって決まる?
5 裁判は1回限りではない――上訴と再審 061
上訴
再審と非常上告
épisode 2 許せない 073
第3章 事故を起こしたHの民事責任――民法不法行為法の基礎 076
1 私人間の紛争解決 076
仇討ちは認められない
民事と刑事
民事紛争の収め方いろいろ
不法行為法の影の下の交渉
2 不法行為制度と保険 080
責任保険という制度
何のための不法行為制度か① 損害填補
何のための不法行為制度か② 制裁と抑止
故意でも過失でも同じことか
3 加害者に責任を負わせるのをどう正当化するか 084
不法行為法のしくみ
過失なければ責任なし
社会の無慈悲な選択
過失責任主義でよいのか?
運転はくれぐれも注意深く
因果関係がなければならない
違法でなければならない
違法性の判断方法
4 被害者は何を請求できるか――人身損害の賠償を中心に 095
損害賠償はお金でする
Jの人身損害の種類
弁護士費用はとれるか――積極的損害の例
私の値段?――消極的損害について
女性の逸失利益は安い?
損害賠償額の調整
母親には損害はないのか?
Jが死亡すれば?
判決は紙切れ?
第4章 病院と旅行会社の責任――民法契約法の基礎 110
1 私的自治という大原則①――契約は守らなければならない 110
契約なしでは社会は維持できない
なぜ国家は契約を保護するのか
合意したから拘束される
意思に基づいた合意だといえるためには
契約書は必要か
国家は選り好みする
国家が禁止する契約もある
2 私的自治という大原則②――契約の自由 116
国家は干渉しない
契約の穴を埋める
パック旅行はだめ?
3 私的自治の尽きるところ①――保護される人々 118
人でなければ契約できない(権利能力)
自分で契約できない人たち(意思能力)
契約を取り消せる人たち(行為能力)
頭を冷やして考える時間
不当な勧誘の禁止
4 私的自治の尽きるところ②――契約自由の制限 124
約款とは何か
約款のこわさ
民法は私法の一般法
5 契約は当事者だけを拘束する 126
当事者だけが拘束される
代理人で世界が広がる
所有権は誰にでも主張できる
所有権は1粒で2度おいしい?
6 債務不履行を救済する 130
契約を解釈しなければならない
人を危険な目にあわせてはならない
病院は最善を尽くさなければならない
何が起きたのか知りたい!
債務不履行の方が気長?――消滅時効
債務不履行の方が証明が楽?
第5章 Jと家族の物語――民法家族法の基礎 139
1 親であるということ,家族であるということ 139
親がいなくても子は育つ?
義務なのに親権
ふさわしくない親
父母は共同して親権を行使する
両親が離婚した場合には?
嫡出でない子の親権者
身の丈にあった扶養
パンを分け合う扶養もある
2 親って誰?――血縁だけでない、法的な親子関係 147
この子の父親は?① 嫡出子の場合
嫡出推定の抜け穴
この子の父親は?② 嫡出でない子の認知
嫡出子と嫡出でない子の間の深い溝
親のない子に親を養子
生殖補助医療
3 結婚ということ 155
「家」が結婚するのではない
許されない結婚もある
「婚約しました。」「入籍は?」
法律婚は尊重される
内縁は自由設計
内縁でも保護される場合がある
4 別れの美学――離婚ということ 171
別れ方の美学
紙切れ1枚で離婚
「絶対にハンコは押しません!」
家族法と紛争処理
裁判離婚が認められる場合
踏んだり蹴ったり?
離婚したあと
épisode 3 さいごの願い 167
第6章 法を決めるのは誰か――憲法 統治機構の基礎 170
1 どうして勝手にさせてもらえないのか 170
ルールを決めるのは国会
ルールを決めるのは誰かを決めているのは「憲法」
日本で憲法が制定されたことには大きな意味がある
日本国憲法はどのような統治のシステム
を定めているのか
憲法は国民の決めた最終的ルール
国会も憲法に反する法律を制定することはできない
2 法律はどのように制定されるのか 178
国会とはどんな機関か
国会ではどのようにして法律が作られるのか
生命維持装置の取り外しはなぜできないのか
3 法律はどのように執行されるのか 186
法律を執行するのは内閣
実際に法律を執行するのは行政機関
法律の執行には広範な裁量が認められている
法律の執行を裁くのは裁判所
4 最終的に決めるのは国民 191
国会は国民の意思に従わなくてもよいのか
政治を最終的に決めるのは国民
憲法改正に最終的判断を下すのも国民
第7章 多数者でも侵害することのできない権利――憲法 基本的人権の基礎 207
1 「基本的人権」という考え方 207
どうして自分で決めさせてもらえないのか
憲法は基本的人権を保障している
基本的人権は、国際社会でも認められている
基本的人権とはどんな意味か
基本的人権であれば、どうなるのか
2 どのような権利が基本的人権か 215
どのような権利が保障されているのか
3 Jに死ぬ権利はあるのか 215
明文規定のない権利の可能性
自己決定権
生命・身体の処分に関する自己決定権と死ぬ権利
4 基本的人権であっても制約は受ける 222
基本的人権であっても制約は受ける
どのような制約であれば許されるのか
自己決定権の場合はどうか
生命維持装置の取り外しの禁止は憲法違反か
どのように訴訟で争うのかに問題が
母親に残された手段は
épilogue 239
Help 243
法律学を学ぶためのツール――基本的な参考書 (244)
法律学の学び方 (247)
法律や判例を調べるために (248)
ゼミの報告やレポートのために(250)
試験を受ける(251)
法律家をめざす方のために(253)
本書を読むために [256]
著者紹介 [257]
細目次 [258-264]
第4版あとがき(2014年 初春 著者一同) [265]
初版あとがき(2000年 春 著者一同) [266-267]
さくいん [269-273]
【フォーカス/ブレイク/コラム】
Focus ① 刑罰を受けない人々 032
[1]責任無能力者
[2]心神喪失者の場合
[3]少年の場合
[4]女性による売春の場合
Focus ② 刑務所と少年院 066
[1]交通刑務所の朝〔あした〕
[2]交通事犯受刑者の特徴
[3]一般の刑務所では
[4]分類処遇制度と累進処遇制度・開放的処遇
[5]少年院では?
[6]少年院における再入率
Focus ③ 民事裁判手続 103
[1]裁判とは何か
[2]民事訴訟における私的自治
[3]訴訟のプロセス
① 訴えの提起
② 口頭弁論の構造
③ 迅速で充実した審理
④ 訴訟の終了
[4]三審制度と上告制限
[5]少額訴訟手続・集団的消費者被害回復訴訟手続
Focus ④ 司法審査 199
[1]司法審査権とはどんな権限か
① 司法審査制度とはどんな制度か
② 司法審査権はどのような性質の権限か
[2]憲法訴訟はどのように争われるのか
① 事件がなければ裁判所は司法権を行使できない
② 憲法訴訟はどのように進められるか
[3]裁判所にふさわしい役割とは
Focus ⑤ 憲法上明文で保障されている諸権利 231
[1]包括的人権
① 幸福追求権
② 平等権
[2]精神的自由
① 思想・良心の自由
② 信教の自由
③ 表現の自由
[3]経済的自由
[4]人身の自由
[5]社会権
[6]そのほかの権利
[7]国民の義務
Break① 法とは何か 035
Break② 法の歴史 072
Break③ さまざまな法律の分類 109
Break④ 法と道徳 138
Break⑤ 法の解釈 166
Break⑥ 裁判の特質 206
Break⑦ 法律家 237
Column ① 死刑 016
Column ② 「危険運転致死傷罪」 028
Column ③ 脳死と人の死 030
Column ④ 国選弁護人制度 046
Column ⑤ 証拠開示 051
Column ⑥ 裁判員の参加する裁判 059
Column ⑦ 即決裁判手続 064
Column ⑧ 名誉・プライバシー 094
Column ⑨ 高齢社会と成年後見制度 122
Column ⑩ 製造物責任
Column 11 老親扶養と介護保険 146
Column 12 夫婦別姓 159
Column 13 もしJが外国人だったら 194
Column 14 国民投票の可能性 197
Column 15 憲法改正 198
Column 16 子どもの人権 214
Column 17 安楽死の権利 228