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『ドラッグ・コート――アメリカ刑事司法の再編』(James L. Nolan, Jr.[著] 小沼杏坪[監訳] 妹尾栄一,小森榮[訳] 丸善プラネット 2006//2001)

原題:Reinventing Justice: the American Drug Court Movement (Princeton University Press, 2001)
著者:James L. Nolan Jr. 社会学
監訳:小沼 杏坪[こぬま・きょうへい](1941-2015) 精神科医。薬物依存の予防・社会復帰に関する臨床的研究、薬物乱用の需要削減に関する行政的研究。
訳者:小森 榮[こもり・さかえ](1949-2017) 弁護士。薬物事件の弁護など。
訳者:妹尾 栄一[せのお・えいいち] 医学博士。
装釘:(有)クリエイティブ・ビーダッシュ
NDC:327.953 合衆国の刑事訴訟手続法




【目次】
colophon [ii]
はじめに(2006年初夏 小森榮 妹尾栄一) [iii-iv]
目次 [v-vi]


序章 001
刑罰と文化 003
アメリカのドラッグ・コート寸描 004
方法論に関する注意 013
本書の概要 015
出典と原注 017


第1章 薬物と法律:その歴史的展望 021
医学による社会的コントロール 024
法律による社会的コントロール 028
階級政策と反薬物法 030
フォスター法案 032
ハリソン法 036
ジョーンズーミラー修正案 039
麻薬診療所と病院 042
アンスリンガー時代 044
変動の兆し 047
出典と原注 052


第2章 ドラッグ・コート運動 061
構造的要因 068
文化的要因 072
間違った二分法 078
ドラッグ・コート運動の正当化 086
出典と原注 090


第3章 治療の劇場 097
運動のドラマツルギー 098
法廷という名の劇場 110
再定義された裁判所の役割 117
ドラッグコートの弁護人 119
ドラッグコートの検察官 126
他の登場人物たちのドラッグ・コートへの適応 130
出典と原注 137


第4章 非コモン・ロー 141
司法積極主義 148
思いやりのある司法 155
司法における便宜主義 167
司法的な熱狂 171
出典と原注 174


第5章 ドラッグ・コートの物語 177
「ホラー物語」 180
「戦記物語」 185
「ハッピーエンドの物語」 189
適切な物語ということ 197
物語とドラッグ・コートの評価 202
出典と原注 210


第6章 病理モデルへの移行 215
治療に対する司法の適応 217
中心的要素としての自尊心 222
罪を問わない司法 225
他の犯罪への拡大 229
薬物以外の犯罪に対する法廷での治療 237
プロセスのパートナーたち 240
出典と原注 245


第7章 司法のもつ意義 249
司法とは何か 250
社会の変化と司法 262
社会復帰思想の時代 266
少年司法 270
応報への回帰 276
治療的思想 280
出典と原注 288


第8章 司法の再構成 299
治療的法学 300
ドラッグ・コート;理論を実践すること 305
適切な治療のもたらすもの 310
司法の行く末 327
出典と原注 332


あとがき(2006年初夏 監訳者 小沼 杏坪) [341-343]
索引 [345-347]





【抜き書き】




・「あとがき」より。

  本書は、薬物依存という疾患に焦点を当てて、その治療・回復に精通した裁判官が検察官、弁護士、治療共同体の治療責任者などの協力をえながら、「ドラッグ・コート」という劇場において主役として、薬物事犯者の回復を丹念に長期に支援して行こうとする治療的司法に関する調査・研究成果の報告である。本書の真に公正な内容を関係者に提供できることは、今後、わが国における薬物事犯者に対する刑事司法の歩むべき姿を検討して行く上で、大きな貢献をもたらすと思われる。




【メモランダム】
・著者の意図(単なる紹介ではなく、民族誌的な調査と解釈)と翻訳陣の意図(ドラッグコートの紹介)とは、重点を置く場所が異なっている(または、やや食い違っている)ようだ。が、それ自体を翻訳陣が織り込み済みであること、日本語版の意義が大きいことを考慮すれば、この点に問題はない。