contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『脱アルコールの哲学――理屈でデザインする酒のない人生』(前田益尚 晃洋書房 2019)

著者:前田 益尚[まえだ・ますなお](1964-) 社会学、メディア論。
装画:北村 昭[きたむら・あきら](クオリアデザイン事務所・代表)
NDC:368.86 社会病理(アルコール中毒者)
備考:書名について注意。この本の中身は、依存症についての随筆・体験記であって、哲学の要素は含まれておらず、出版社・図書館的に分類するなら社会病理か社会福祉のはず。



【メモランダム】
 同著者と同出版社のタッグは、その後も『……政治経済学』『……心理学』『……の人文学』と名付けられた本を刊行しているため、著者が万学を修めた博覧強記であることが分かる。
 なおこの著者に限らず、日本の出版物においては、たとえ専門家の書いた本であっても、「……の哲学」「……の社会学」という書名だけでは内容が分からないことがざらにある(タイトル通りこともあれば、まったく関係ないこともある)。この怪現象はほぼ人文系に偏っている。



脱アルコールの哲学 - 株式会社晃洋書房


【目次】
はじめに [i-iii]
目次 [iv-v]


プロローグ 001
 超病の発端、がん
 赤くなる恐怖の毒素
 難しいアルコール依存症の啓蒙法
 アルコール依存症超克への取り組み
 余談:道化としてのゾンビ像(案) 


I  (天国のような)地獄 017
 誰にでもなる病
 心を癒すアルコール
 万能感の時代
 良くも悪くも、巻き込む病
 天国に一番近い病
 みんな知らない脳の病気
 最初のワーカーは誰だ?
 回復につながる! 最前線の野戦病院 


II 回復(蘇り) 037
 真横にいるケースワーカー
 サバイバル集団
 ポスト・アルコホリズムの構築(回路の上書き)
 自助グループは、ハイスクール
 酒は「命の恩人」の意味
 贖罪のステップを踏んで
 回復は、ゴールではない


III 成長(日常) 061
 愉しみとしてのポスト・アルコホリズム
 偏見を解く授業
 教育現場の最前線
 断酒をデザインする
 教壇のポスト・アルコホリズム
 世間のポスト・アルコホリズム
 逆風も、生きがいにできてこそ、成長
 成長も、ゴールではない


IV (達観を経て)超人の域へ 083
 AIにはなれない依存症
 AIに代わられるかもしれない支援者
 メディアの思い込みを正す
 影響力のある依存症者、募集!
 模範解答では終わらせない
 問題のあるメディア表現には、"CRAFT"に準じた対応を
 そして、納得できる授業を
 やめ続ける地平
 やっぱり、みんな知らない否認の病
 科学のゆくえ
 そして、ポスアルの哲学を、AIが可視化できるか
 ブレイクスルー


エピローグ 111
 大学への提言
 実業界への提言
 それでも、最も危険な病気
 未開の依存症
 パラレルワールドを《選択》するすすめ


謝辞 [122]
あとがき [123-124]
参考文献 [125-129]
出席記録一覧表 [130-140]