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『こころの病に挑んだ知の巨人――森田正馬・土居健郎・河合隼雄・木村敏・中井久夫』(山竹伸二 ちくま新書 2018)

著者:山竹 伸二[やまたけ・しんじ] (1965-) 作家。評論家。

 

 

筑摩書房 こころの病に挑んだ知の巨人 ─森田正馬・土居健郎・河合隼雄・木村敏・中井久夫 / 山竹 伸二 著

こころの病に挑んだ知の巨人 (ちくま新書)

こころの病に挑んだ知の巨人 (ちくま新書)

 

 【目次】
目次 [003-008]

序章 日本の心の治療を支えてきた人々 009
1 日本における心の治療の歩み 011
  黎明期の日本の精神医療
  戦後日本の精神病理学
  精神医療現場の変化
  心理学から生まれた心理臨床の専門家
2 人間存在の本質的解明へ 022
  心の治療の現場はどのように変わるのか?
  五人の心理的治療者の人間論に学ぶ

第1章 森田正馬――思想の矛盾を超えて 029
1 心の病はなぜ起きるのか?――森田理論の原理 031
  森田正馬の生涯
  神経質とヒポコンドリー性基調説
  精神の交互作用
  森田理論の核心――“思想の矛盾”
  「あるがまま」に生きる
  〈気分本位〉と〈事実本位〉
2 森田療法の実践 051
  森田療法の治療プロセス
  神経質の治療法
  強迫観念の治療法
3 森田正馬の人間論 063
  生の欲望と死の恐怖
  森田理論の問題点
  自己観察と自己了解
  森田療法の可能性

第2章 土居健郎――「甘え」理論と精神分析 075
1 精神療法と精神分析 077
  「甘え」理論はいかにして生まれたか?
  精神療法(精神分析)の目的
  治療者の感情を活かす
  抵抗の解釈
  洞察と「甘え」の問題
  土居健郎の治療例
2 「甘え」理論と治療への応用 095
  『「甘え」の構造』を読む
  甘えと現代社会の病理
  「わかる」患者と「わからない」患者
  「甘え」理論から見た治療論
3 土居健郎の人間理解と治療論 108
  自然科学的な枠組みを超えて
  なぜ患者の感情を感知できるのか?
  一般存在様式としての「甘え」

第3章 河合隼雄――無意識との対話 119
1 日本人の心の深層 121
  臨床心理学からの挑戦
  日本社会の中空構造
  ユング派の昔話論
  『昔話と日本人の心』を読む
2 カウンセリングとそのプロセス 133
  初期のカウンセリング論
  若き日の事例
  事例の検討――心理臨床家の役割
  成熟モデルと自然モデル
3 深層意識の構造と心理療法 150
  深層意識と自己
  自己実現と物語
  治療者の態度と逆転移
4 日本人論と治療の本質 160
  日本人への心理的治療
  クライエントは自分で治るのか?
  心の治療の本質

第4章 木村敏――現象学から生命論へ 173
1 自己と「あいだ」の思想 175
  思想家と臨床家のあいだ
  「あいだ」の思想の原体験
  うつ病の罪責感から見た日本人
  統合失調症と“自己”
  現象学的直観診断
  「あいだ」の病としての統合失調症
2 精神病理の時間論 192
  統合失調症の時間意識
  うつ病の時間意識
  精神病理における二つの存在構造
  永遠の現在を生きる祝祭の精神病理
  時間と自己
3 生命論と人間論 208
  生命論と医学的人間学
  共通感覚とアクチュアリティ
  「時間」と「自己」からみた人間論
  生命論の問題点と可能性

第5章 中井久夫――「世に棲む」ための臨床 221
1 統合失調症の病理論 223
  臨床の着地点
  統合失調症
  発病から寛解、あるいは慢性化へ
  慢性化の危険性
2 治療者の態度と精神療法 234
  「心の生ぶ毛」とベース・チェンジ
  「あせり」から「ゆとり」へ
  風景構成法の考案
3 統合失調症の治療プロセス 245
  治療的合意と信頼関係 発病の論理」と「寛解の論理」
  急性精神病状態の治療原則
  治療の終結と社会復帰
  発達論と思春期問題
4 治療の背景にある人間像 259
  治療者の主観性と対人関係
  中井久夫の人間論
  人間存在と心理臨床

終章 文化を超えた心の治療へ 271
1 治療論と人間論の共通性 273
  心の治療と人間理解
  人間の欲望と不安
  〈自己了解〉は生じているか?
  治療者の内面性
2 日本人論から見た心の治療 289
  日本人論を超えた関係性の原理
  人間論から治療論へ

あとがき(二〇一七年一二月 山竹伸二) [299-302]