著者:岡 真理[おか・まり] (1960-) 現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界におけるフェミニズム思想の研究。
装丁:菊地 信義[きくち・のぶよし](1943-2022) "装幀者"。
NDC:367.1 男性・女性問題
・新装版(2019年)
【目次】
目次 [001-004]
序章 彼女の「正しい」名前とは何か 007
ある 「出会い損ね」 をめぐって
オリエンタリズムと二重のジェンダー化
女性であること、パレスチナ人であること
「サバルタン」 と表象の暴力
序章付記 他者の「名」を呼ぶ、ということ 033
1.1 「第三世界」と「西洋フェミニズム」 039
「西洋フェミニズム」の罠
第三世界の第三世界化
「先進的」 世界の野蛮さ
1.2 カヴァリング・ウーマン、あるいは女性報道 061
「支配」としてのクリシェ
語られる女たち
二重のプロジェクト
ホスケンによる「女性割礼」批判の植民地主義
「抑圧的なイスラーム」という抑圧的言説
「ことば」を聞き分けること
1.3 「女性割礼」 という陥穽、あるいはフライデイの口 089
他者を物語ること
自らの身体をめぐる抵抗
アリス・ウォーカー『喜びの秘密』の没歴史性
記号化される女性と抵抗の「文化」
他者に代わって語ることへの禁欲
フライデイ/ショアー ――表象不能の真実
第I部付記 文化という抵抗、あるいは抵抗という文化 127
II 発話の位置の政治学
2.1 「文化」をどこから語るか 143
「ニュートラルな語り」は存在するか
「『ナヌムの家』は日本人を糾弾してはいない」?
「女性割礼は文化ではない」?
2.2 「グローバル・フェミニズム」の無知 155
「普遍的人権主義」は普遍的か
私たちは何を知らないのか
「同じ女」であるということ
自己の加害性を問わずに「連帯」は語れるか
2.3 置き換えられた女たち 第三世界の女のエクリチュール ――トリン・T・ミンハを中心に 171
「第三世界の女のエクリチュール」と私たちの視線
位置を明確に意識しながら、差異を生みつづけること
置き換え=移動の戦略の可能性と危険性
他者にとどく声をもつ者ともたない者
第II部付記 ポジショナリティ 189
III 責任=応答可能性[レスポンシビリティ]
3.1 蟹の虚ろなまなざし、あるいはフライデイの旋回 199
なぜ刑事は引き金を引いたのか
被害者としての同一化
空虚さの回避
フライデイとともに
秘められた声
3.2 Becoming a Witness ――出来事の分有「共感」のポリティクス 221
二つの「共感」
「慰安婦」への共感と国家への共感
他者の苦痛に同化すること
アーレント――他者の苦しみの証人となること
非力さにおける共感
3.3 転がるカボチャ、あるいは応答するということ 231
小説という形式の植民地主義的欲望
カナファーニーとパレスチナ難民の実践的関係
テクストの誤配、そして対価なき応答としての贈与
不意うちのメッセージ
呼びかけられた者が書く主体になること
『ナヌムの家2』――「撮る/撮られる」関係の転倒
第III部付記 〈出来事〉の共振 267
終章 「他者」 の存在を想い出すこと 275
あとがき(二〇〇〇年八月 岡 真理) [305-309]
初出誌一覧 [310]
引用文献 [311-317]
【抜き書き】
[初出誌一覧]
彼女の「正しい」名前とは何か 『現代思想』一九九九年一月
序章付記 書き下ろし
「第三世界」と「西洋フェミニズム」 『現代思想』一九九六年五月(前半)
カヴァリング・ウーマン、あるいは女性報道 『現代思想』一九九五年三月
「女性割礼」という陥穽、あるいはフライデイの口 『現代思想』一九九六年五月(後半)
第I部付記 書き下ろし
「文化」をどこから語るか 『インパクション』一九九六年一〇月
「グローバル・フェミニズム」の無知 『インパクション』一九九七年二月
置き換えられた女たち 『現代詩手帖』一九九七年三月
第II部付記 『現代思想』二〇〇〇年二月増刊
蟹の虚ろなまなざし、あるいはフライデイの旋回 『現代思想』一九九六年一二月
Becoming a witness 『現代思想』一九九七年九月
転がるカボチャ、あるいは応答するということ 『現代思想』一九九七年三月
第III部付記 書き下ろし
「他者」の存在を想い出すこと 『みすず』一九九八年九月(大幅加筆)