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『東アジア思想交流史――中国・日本・台湾を中心として』(黄俊傑[著] 藤井倫明, 水口幹記[訳] 岩波書店 2013)

著者:黄 俊傑[こう・しゅんけつ/Chun-chieh Huang] 東アジア儒学,教養教育,戦後台湾史。
訳者:藤井 倫明[ふじい・みちあき]
訳者:水口 幹記 [みずぐち・もとき]


東アジア思想交流史 - 岩波書店



【目次】
自序(二〇一二年秋 台湾人文社会高等研究院において) [v-ix]
目次 [xi-xv]
翻訳担当 [xvi]


第一部 理論編

第一章 地域史としての東アジア交流史――問題意識と研究テーマ
はじめに 003
一 方法論的思考 006
  1 
  2 「地域史」研究の新視野――「結果」から「過程」への転換
    構造という観点から発展という観点への移行
    「中心」から「周辺」への移行
    テキストより空気へ
  3 「地域史」と「国別史」、及び「全世界史」との関係
  4 「地域史」研究における「コンテクスト上の転換」の問題

二 問題意識 020
  1 東アジア文化交流史における「自我」と「他者」の相互作用
  2 東アジア文化交流史と権力構造との相互作用

三 研究テーマ 026
  1 人物の交流――「仲介者」及びその「他者」に対する観察
  2 物品(とくに書籍)の交流
  3 思想の交流
    中国思想の日・韓地区に与えた衝撃
    東アジアの文化交流に現れた「アイデンティティー」の問題
おわりに 031
注 033


第二章 東アジア文化交流史における「脱脈絡化」と「再脈絡化」――その現象と研究方法論上の問題
はじめに 043
一 東アジア文化交流史における「東アジア」と「中国」 044
  1 「文化的総体」としての「東アジア」
  2 東アジア文化交流史の中の「中国」
二 東アジア文化交流史における「脱脈絡化」現象及びその研究方法 046
  1 「脱脈絡化」現象と観念史研究の方法
  2 観念史研究法の限界性
三 東アジア文化交流史における「再脈絡化」現象及びその研究方法 052
  1 「再脈絡化」とは何か
  2 「再脈絡化」現象の研究方法
  3 「再脈絡化」における心情問題
おわりに 060
注 061


  第二部 中日交流編

第三章 一八世紀東アジア儒学者の思想世界
はじめに 069
一 一八世紀東アジア儒学の同調性(一) ――反朱子学と反形而上学によって 070
  1 『四書』の思想世界の脱構築及び朱子学に対する批判
  2 「之上」より「之中」まで――反形而上学論述の展開
二 一八世紀東アジア儒学の同調性(二) ――「存在」の中に「本質」を探る 077
三 一八世紀東アジア儒学の異なる傾向――中・日・韓儒学者の主体意識の比較 080
  1 中国主体意識の特徴
  2 日本と朝鮮の主体意識の中の「中国」概念
おわりに 088
注 089


第四章 中日文化交流史に見られる「自我」と「他者」――相互作用の四種の類型とその含意
はじめに 097
一 類型(一) ――「政治的自我」と「文化的自我」の張力 098
二 類型(二) ――「文化的自我」と「文化的他者」の張力 103
三 類型(三) ――「政治的自我」と「政治的他者」の張力 106
四 類型(四) ――「文化的他者」と「政治的他者」の張力 109
おわりに 111
注 113


第五章 中国儒家知識人の日本観――朱舜水と徐復親とを比較して
はじめに 117
一 朱舜水と徐復觀――二人の共通点並びに差異 118

二 日本人の心理と日本文化の特質 121
  1 日本人の性格
  2 日本文化の欠点
おわりに 129
注 131


第六章 中国儒家経典に見られる「中国」概念の意義と変容――近世日本及び現代台湾において
はじめに 135
一 「自己イメージ」としての「中国」――「文化的中国」と「政治的中国」の合一 136
二 近世日本の世界観における「中国」概念の再構築 138
三 現代台湾の世界観に見られる「中国」――「政治的アイデンティティー」と「文化的アイデンティティー」の合一と分離 143
おわりに 146
注 148


  第三部 台日交流編

第七章 一九世紀末期の日本人の台湾論——上野専一、福沢諭吉内藤湖南を中心に 
はじめに 153
一 三人の日本人とその台湾観の概要 154
  1 上野専一とその『台湾視察復命』
  2 福沢諭吉とその台湾描写
  3 内藤湖南とその台湾評論
二 三者の台湾観に見られる思想傾向帝国主義思想 161
  1 上野専一
  2 福沢諭吉
    台湾の土地に関する主張
    台湾人民に関する主張
    「平等」の価値とそれに対する反逆
    「自由」の価値とそれに対する反逆
  3 内藤湖南
    台湾人は日本人と同化すべきである
    台湾の施設は日本の植民が必要とすることである

三 「西洋文明を目的とする事」――近代日本の知識人の盲点 178
おわりに 182
注 183


第八章 二つの視野――戦後初期中国人の「光復返還経験」と日本政府の「終戦経験」
はじめに 189
一 中国人の目にした光復返還当初の台湾 191

二 中国人の「台湾光復返還経験」と日本政府側の「終戦経験」――二つの視野を比較して 200
  1 『臺灣統治終末報告書』の内容
  2 二つの視野の比較
    政権更迭の際の民情の動揺
    民族上の矛盾葛藤と省籍上の矛盾葛藤という二つの視野

三 台湾人と中国人の「光復返還経験」――「アイデンティティー」の文化的基礎と権力的要素 206
    台湾人の中国大陸に対する「アイデンティティー」は「文化的アイデンティティー」の上に築かれている
    光復返還後の国民党政府の台湾接収過程における腐敗、および権力分配上の不公平が、台湾人の中国に対する親近感を凍りつかせることになった

おわりに 209
注 211


訳者あとがき(二〇一二年冬 藤井倫明) [215-218]
初出一覧 [219]