著者:竹内 啓[たけうち・けい](1933-) 統計学、経済学、科学技術論。
NDC:417.1 確率論.数理統計学 >> 確率論:マルコフ過程
【目次】
はじめに [i-vii]
目次 [ix-xi]
第1章 偶然と必然
1 偶然をどう考えるか 002
対語としての偶然/必然
必然とは何か
定言的偶然
論理的必然
仮説的偶然
2 偶然の意味 013
偶然との出会い
アニミズムの世界
古代宗教の世界
神の意思と偶然
くじの「公平性」
因縁と運命
3 近代科学の決定論 022
ニュートンの宇宙
アリストテレスの四原因
心身二元論
さまざまな因果論
4 決定論の中の偶然性 029
ラプラスの偶然論
必然性と情報量
偶然を発生させるメカニズム
複数の原因の交差
第2章 確率の意味
1 確率とは何か 038
偶然性と確率
確率の定義
客観確率と主観確率
確率の数学的定義
数学的定義と現実を結びつける
客観確率と頻度
主観確率と感覚
2 大数の法則と中心極限定理 050
大数の法則
中心極限定理
偶然の積み重なり
賭博者は必ず破産する
破産を避けるには
偶然の結果生じる偏り
3 ランダムな事象 062
頻度と確率
ランダムな現象
ランダムネスの効用
統計力学とエントロピー
情報量を増大の法則と偶然
4 主観的確率と賭けの論理 075
主観確率の定義
主観確率の合理性
主観確率と効用
5 確率の意味 082
確率のいろいろな解釈
論理的確率論
偶然と確率
コラム 地獄行きは誰か? 087
第3章 確率を応用する論理
1 保険と大数の法則 090
保険の論理
生命保険
2 統計的推測の論理 096
大数の法則と昨日論理
偶然性の評価
統計的仮説検定
3 ランダム事象の積極的利用 103
農業実験の条件
ランダム化の効果
無作為抽出
「無作為」の特徴
信頼区間
フィッシャー・ネイマン論争
事後確率と主観
統計的方法の使い方
コラム 予言ダコの引退 120
第4章 偶然性の積極的意味
1 生物の進化と偶然 124
無限に変化しない宇宙
変化し生成する宇宙
ダーウィンの進化論
進化と偶然
進化と進歩
進化と進歩史観
強め合う偶然性
進化における偶然と必然
生命の起源
2 歴史における偶然と必然 140
歴史とは何か
歴史に「もし」は禁物か
歴史の必然性とは
英雄史観
歴史に起きる偶然の役割
ニ十世紀の歴史
近代化の課題
偶然と責任
歴史認識と偶然
3 人間の自由意志と偶然 154
心の必然性
心の法則と自由意志
内面的必然性
脳科学は内面的必然性を解明するか
第5章 偶然にどう対処すべきか
1 「運」「不運」と人間の主体性 162
「合理的な」意思決定
結果としての「運」「不運」
「運」「不運」を分け合う
人生の不条理
偶然と自己責任
2「不運」の分配 169
事故の責任
「不運」の分配
怒ってはならない大事故
不運の事後処理
3 偶然と想像力 177
想像力に依存する偶然
「不確実性の下での意思決定」の限界
神についての賭け
主観確率測定の限界
偶然が刺激する想像力
偶然の専制に対抗
第6章 歴史の中の偶然性
1 大数の法則の時代 188
ケトレー[Adolphe Quételet]の社会物理学
確率論的解釈の過ち
正規分布とは限らない特性値
ケトレーのドグマ
2 大量技術の時代 194
規格化された大量
大数の法則の支配
統計的方法の発展
3 量から質への転換 199
情報技術と大量技術の時代の終わり
きわめて稀な現象
巨大隕石衝突に備えるべきか
小さい確率の事象は起こらない
4 確実性の追求の時代 206
確率の乗法法則
金融工学
リスクの「ヘッジ」
バブルとその崩壊
戦争と偶然
5 偶然の再発見 216
偶然と必然を結ぶカオス
偶然と芸術
むすび
あとがき(二〇一〇年八月) [221-222]
参考文献 [223]