編者:砂野 幸稔[すなの・ゆきとし](1956-) アフリカ文学。
装幀:山野 麻里子[やまの・まりこ]
NDC:802 言語史・事情.言語政策
NDC:804 論文集.評論集(言語)
件名:言語政策
【目次】
目次 [001-009]
序論 多言語主義再考〔砂野幸稔〕 011
1 「多言語主義(multilingualism)」という価値 011
2 「人間」「国民」「国語」 020
3 多言語主義を再考するために 028
4 本書の構成 030
注 041
第1部 理念と現実の狭間で―ヨーロッパの経験と「多言語主義」を再考する
第1部 (1) ヨーロッパの多言語状況管理の歴史と〈少数言語〉の現実
第1章 すべての言語は平等である。しかしある言語は、ほかの言語よりさらに平等である――ヨーロッパの「多言語状況/多言語主義(Multilingualism)」と少数言語〔佐野直子〕 050
はじめに――フランス的多言語観? 050
1 ヨーロッパの「エコ言語革命」とヨーロッパ近代の「多言語主義」 053
2 「第三次エコ言語革命」へ?――「少数言語」の誕生 062
3 第三次エコ言語革命における「多言語状況」の進展とヨーロッパの「多言語主義」政策 068
おわりに 074
注 076
第2章 少数言語として切り取られることは言語多様性保全につながるか――ヨーロッパ最周縁を起点として〔寺尾智史〕 084
1 イベリア半島の弱小少数言語の位相――ピレネーを越えれば…… 084
2 ミランダ語を成立させる眼――「むくつけき田舎なまり」から「ポルトガル唯一の少数言語」へ 088
3 アラゴン語を葬る眼――「王家の言語」から〈僻地の俚言〉へ 098
4 まとめにかえて 110
参考文献 114
注 115
第1部 (2) ヨーロッパ外の多言語状況とヨーロッパ型多言語主義
第3章 ヨーロッパ発「多言語主義」とアフリカの多言語状況〔米田信子〕 118
1 はじめに 118
2 アフリカの言語政策に見るヨーロッパの影響 119
3 アフリカにおける母語教育 121
4 アフリカにおける「多言語主義」の現実 127
5 ヨーロッパ的視点とのギャップ 132
6 おわりに 137
参考文献 139
注 139
第4章 パラグアイ――言語政策の移植は可能か〔塚原信行〕 142
はじめに 142
1 カタルーニャ自治州における言語政策の概略 145
2 パラグアイの言語状況――現在 147
3 パラグアイの言語状況――歴史 149
4 ストロエスネル時代から現在まで 152
5 言語法案作成の経緯 154
6 言語法における権利と義務 157
7 移植されたものはなにか? 159
おわりに 161
注 162
第1部 (3) 少数言語復興運動の経験から
第5章 少数言語運動とは何か――個人的体験から〔原 聖〕 167
はじめに 167
1 一九八〇年代、地域的少数言語復興の開始 168
2 一九九〇年代、多言語主義と言語権 169
3 二〇〇〇年代、文化的多様性と文化資源 170
4 うちなあぐちとアイヌ語の復興 172
5 二〇〇八年の経験 175
6 研究戦略 182
注 188
第2部 社会主義国の「多言語主義」の経験を振り返る
第2部 (1) 旧ソ連の経験と現在
第6章 ソ連の言語政策――その歩みと特徴〔渋谷 謙次郎〕 194
1 はじめに 194
2 若干の諸概念をめぐって 195
3 ウクライナ化の紆余曲折 197
4 民族的領土体を持たない少数者 200
5 中央集権化と言語政策 201
6 二言語主義 203
7 国勢調査と母語 206
8 ペレストロイカと言語法 210
9 まとめにかえて 210
注 212
第7章 ロシア・ブリヤーチアに於ける多言語状況の諸相――ブリヤート標準文章語をめぐる言語政策とその変容〔渡邊日日〕 215
1 ロシアの多言語状況の概略史 216
2 ブリヤート共和国に於ける言語政策の変容とその背景 220
3 終わりに 235
注 237
第2部 (2) 中国――多言語主義の理念の変容と言語支配
第8章 朝鮮族の二言語使用と中国の多民族政策――中国の萎縮する多言語状況〔李 守〕 243
はじめに 243
1 朝鮮人の移住と中国の民族政策 246
2 朝鮮語の構築、言語条例の制定まで 250
3 中国の双語教育(二言語教育) 255
むすびに 260
注 262
第9章 新疆におけるオイラド・モンゴル人の文字改革問題――オイラドの「モンゴル族」化と文字、書きことばの喪失〔フフバートル(Huhbator)〕 266
はじめに 266
1 オイラドと新疆のモンゴル人及びその「モンゴル族」化 269
2 新疆におけるホドム文字の全面的導入とトド文字教育の停止 275
3 文字改革の成果と問題をめぐる両論の主張 284
4 難航する文字改革推進についての複雑な思い――新疆ウイグル自治区民族語文文字工作委員会バルジャーへのインタビュー 291
おわりに 298
参考文献 303
注 304
第3部 アジアの多民族・多言語国家の経験
第3部 (1) インド亜大陸の多文字・多言語状況
第10章 インド近現代における文字論争――多言語・多文字・限定識字社会の歴史経験〔藤井 毅〕 310
0 はじめに――問題の設定 310
1 一九世紀前半における言語と文字 315
2 一九世紀後半の言語・文字論争 330
3 二〇世紀前半の文字問題――文字圏構想の可能性 335
4 独立運動における言語と文字 345
5 二〇世紀のローマ字論――進歩性と科学性の象徴 351
6 政府と言語運動団体による文字改良と統一文字創出の試み 356
まとめにかえて――二一世紀における文字問題 362
文献目録 365
注 371
第11章 ネパール領ビャンスのランを巡る言語状況の変遷と文字使用の諸相〔名和克郎〕 379
1 はじめに 379
2 「伝統的」多言語使用 380
3 国境と書記言語(1)―― 二〇世紀中葉まで 383
4 国境と書記言語(2)―― 二〇世紀後半以降 385
5 文字使用 388
6 ラン語を書く 393
7 おわりに 399
引用文献 402
注 403
第3部 (2) インドネシアにおけるインドネシア語普及と多言語状況
第12章 インドネシアにおける多言語状況と「言語政策」〔森山幹弘〕 407
はじめに 407
1 インドネシアにおける多言語状況と言語政策の変遷 411
2 地方分権化と多言語状況の問題点 415
3 多言語政策の新たな展開と問題――憲法改正と成立しなかった言語法 420
おわりに 424
注 426
第13章 バリ語の政策の変遷と今後の可能性〔原 真由子〕 430
1 はじめに 430
2 バリ語の伝統的文字文化 432
3 オランダ植民地時代のバリ語の政策 436
4 独立後のバリ語政策 438
5 バリ語の出版物とマスメディア 454
6 おわりに 458
注 459
第14章 インドネシアにおける少数民族語地域の言語使用と実態――北スラウェシ州の例〔内海敦子〕 465
1 概要 465
2 北スラウェシ州の少数民族言語 468
3 北スラウェシ州における少数民族の人々の言語使用と言語意識 474
4 ポスト・スハルト時代における民族語復興――北スラウェシ州の場合 485
5 民族語の消滅がもたらす社会の変化 490
6 まとめ 492
注 493
第15章 都市国家シンガポール――英語支配の中の多言語主義〔大原 始子〕 497
1 はじめに 497
2 シンガポールの多言語状況――構成民族と諸言語 499
3 言語政策と言語計画 505
4 英語支配のもとで 514
5 まとめにかえて 521
参考資料 524
注 524
第4部 アフリカのオーラルな多言語空間と文字
第4部 (1) オーラルな多言語空間で起こっていること
第16章 二〇一〇年憲法施行後のケニア都市部の多言語状況〔品川大輔〕 530
はじめに 530
1 ケニアの言語状況の概略 531
2 言語政策の変遷と新憲法 536
3 教育現場における言語状況 541
4 都市的公共圏とKCS 546
5 ケニア・スワヒリ語の展望 554
注 556
第17章 標準語を持たないリンガ・フランカ――ガーナ、アカン語〔古閑恭子〕 564
1 はじめに 564
2 多言語国家ガーナ 565
3 エリートのシンボルとしての英語 570
4 アカン語と他部族語およびアカン語諸方言間の関係 573
5 おわりに――アカン語の未来 588
参照文献 590
注 590
第18章 多言語使用による一言語状態――ウガンダ、ホイマ市における社会言語学的アンケート調査から〔梶 茂樹〕 595
1 始めに 595
2 ホイマ市、そしてウガンダ全体の言語状況 596
3 質問票 599
4 調査分析――個人例 603
5 調査結果のまとめ 608
6 考察 626
7 終わりに 630
文献 631
注 632
第4部 (2) 文字化/書記化とは何か
第19章 ウォライタ語の文字化/書記化をめぐる諸問題〔若狭基道〕 634
0 エチオピアおよびウォライタの概要 634
1 一度目の失敗――ウォガゴダ語事件 636
2 二度目の失敗―― 二一世紀のウォライタ語識字運動 642
3 ウォライタ語文字化/書記化の可能性 650
4 結び 656
注 658
第5部 日本における多言語主義/多言語状況を考える
第20章 多言語状況はいかにとらえられてきたか――近代日本の言語政策史の視点から〔安田敏朗〕 664
1 はじめに――多言語状況と言語政策 664
2 多言語状況の平面的把握――「図書館」「博物館」としての多言語状況 667
3 多言語状況の層的把握――「二語併用」としての多言語状況 673
4 まとめにかえて――「多文化共生」と日本語 682
注 683
第21章 「言語権」からみた日本の言語問題〔木村護郎クリストフ〕 687
1 日本の言語問題への視点としての言語権 687
2 日本における言語権の受容 689
3 日本における言語権論の特徴 696
4 日本の言語問題 703
注 706
第22章 日本の多言語状況に関するいくつかの研究課題〔山下 仁〕 710
はじめに 710
1 単一言語主義の問題 713
2 多言語主義の問題 719
3 日本の多言語状況に関するいくつかの研究課題 727
4 まとめ 739
注 741
あとがき(二〇一一年一〇月 砂野幸稔) [745-749]
執筆者紹介 [750-755]