著者:真野 俊樹[まの・としき](1961-) 医師。博士(医学)、博士(経済学)。
件名:医療--日本
件名:医療制度--日本
NDC:498.1 衛生学.公衆衛生.予防医学 >> 衛生行政.厚生行政
【目次】
はじめに――問題点は何か [i-iv]
目次 [v-ix]
第一章 現在の医療の政策課題 001
医療政策とは何か
どこまで政府が関与するのか
医療政策を誰が判断、決定するのか
医療の政策課題
医療サービスが高額なわけ①――技術の要素
医療サービスが高額なわけ②――サービスの要素
五つの政策課題
①国民皆保険をどのようにして維持するか
②公定価格である医療の価格決定をどう考えるか
診療報酬とは
③公的な要素がある規制に対する緩和問題をどう解決するか
混合診療問題とは
病床規制とは
④医師数の問題をどう解決するか
⑤医療費の財源問題をどう解決するか
自由か平等か
普遍主義か選別主義か
第二章 日本の医療の歴史と特徴 035
ドイツ医学の導入
ドイツの医療制度の導入
医療に関する法律の変遷
医療の変化
医療提供体制の変化
社会保障とは
社会保障の歴史
日本での医療保険の歴史
国民皆保険の成立
高齢者医療の変遷
混合診療の制限と緩和
近年の社会保障の潮流
社会保険の本質
受診抑制行動
第三章 医療政策を支える学問――医療経済学 071
真理を求める学問か相対化された学問か
医療にとって誰が専門家なのか
学問の重要性
医療に対する経済学的分析
正当な価格とは
資本主義の芽生え
医療に対する金銭の考え方
対価としての医療
医療経済学の役割
医療経済学の手法―― HTAとは
費用効果分析
費用効用分析
費用便益分析
費用最小化分析
経済学の限界
第四章 医療を支える学問 ――経済学以外の学問 093
社会学と医療
倫理・公共哲学と医療
政治学と医療
公共政策学と医療
公衆衛生学と医療
経営学と医療
経営学を流れる思想
①戦略
②組織
③マーケティング
④オペレーションの革命
第五章 諸外国の医療政策と医療の実態 121
社会保障と医療の枠組み――アンデルセンの三分類
WHOによる三分類
社会保障におけるパワーバランスの変化と今後
医療保障に関する大まかな動向
支払い方式による分類
自由主義の国の医療政策
イギリスにおける福祉思想の歴史
ベヴァリッジ報告とイギリス医療
アメリカの医療
保守主義の国の医療政策
ドイツの医療
その後の変革
最近のドイツの動き
フランスの医療
社会民主主義の国の医療政策
新興国の医療政策
シンガポールの医療
アメリカを範とするようになった韓国
日本を範としたタイ
中国の医療と市場原理――もうひとつのアメリカ
インドの医療
医療における類型化
第六章 日本の医療政策のプレーヤーとスタンス 173
自民党政権下での医療政策
医療を考えるモデルの再整理
小泉政権下の医療政策
政権交代以後の医療政策
税と社会保障の一体改革と医療
各プレーヤーの分析
①国民
②患者
③日本医師会
日本医師会のスタンス
④医療提供者
⑤その他の業界団体
⑥政府に対峙する団体
⑦保険者
⑧政府
⑨厚生労働省
⑩文部科学省
⑪財務省
⑫経済産業省
⑬政治家
審議会の役割
中医協と医療の値決め
TPPと医療
第七章 日本の医療政策における対立の本質 203
ニーズの変化にともなう軋轢
プレーヤーの対立分析
医療(者)vs. 保険(者)
保険(者)vs. 患者
患者 vs. 医療(者)
医療界 vs. 小泉政権――財界主導の産業主義志向と財政主導の市場原理主義志向の混乱
日本医師会 vs. 民主党――医療を産業とみる産業政策と医療をコストとみる財政至上主義の混同
民主党の産業政策の概要
内閣府 vs. 厚生労働省――産業主義とかかりつけ医のふたつの方向性
議論の百家争鳴
安い日本の医療 vs.年に何十万円もの自己負担がある患者たちの出現
医療界vs.経営学
民主党vs.官僚
第八章 日本の医療の今後と政策への提言 227
問題提起に対して
規制改革の問題
産業政策と社会保障の衝突はあるのか?
医療の雇用創出効果
産業連関による分析
地域主権が可能か
医師数の不足と実際の増加との矛盾
専門分化の悪い面
診療科目ごとの偏在
医師の地域偏在
女性医師の働き方
財源の問題
医療のふたつの方向性
家族の役割をどうするのか
企業の役割をどうするのか
医療でイノベーションを起こすべき
「創造的破壊」を受け入れる医療改革
医療政策学の確立を
日本医療の今後
治療(キュア)モデルかケアモデルか――ありうる究極の選択
あとがき [262-263]
参考文献 [264-277]