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『自民党長期政権の政治経済学――利益誘導政治の自己矛盾』(斉藤淳 勁草書房 2010)

著者:斉藤 淳[さいとう・じゅん] (1969-) 政治学(日本政治、比較政治経済学)。元・衆議院議員。英語塾の代表。
NDC:315.1 政党(日本の)
件名:自由民主党
件名:公共事業--日本
件名:日本--政治--歴史--1945-


自民党長期政権の政治経済学 - 株式会社 勁草書房


【目次】
序 [i-ii]
目次 [iii-vii]


第1章 自民党長期政権の謎:政治不信にもかかわらず政権が続いたのはなぜか 001
I. はじめに:民主主義と自民党 001
II. 長期政権に関する従来の説明 003
  1. 日本の政治文化 
  2. 世論の支持 
  3. 日本型恩顧主義 
III. 逆説明責任体制としての自民党 007
  1. 恩顧主義と説明責任 
  2. 戦後政治と日本国憲法 
IV. 分析を進める上での仮定 010
  1. 再選誘因の死活的重要性 
  2. 企業としての自民党:集票組織の均質的集合体 
  3. 官僚機構に対する自民党の優位 
  4. 多元的政治体制における自民党への集中 
V. 本書の概略:利益誘導政治の自己矛盾 016


第2章 自民党型集票組織と投票行動 021
I. はじめに:民主主義と競争 021
II. 利益誘導:便益と票の交換ゲーム 023
  1. 利益誘導ゲーム 
  2. 無限繰り返し囚人のジレンマと利益誘導:票田のミクロ的基盤 
  3. 与党の監視能力と利益誘導の効果 
  4. 便益配分手段と報復措置の信憑性 
  5. まとめ:利益誘導と集票組織 
III. 自民党型集票マシーンと利益誘導ゲーム 033
  1. 日本的住民共同体と長期的取引関係 
  2. 集票マシーンと監視能力 
  3. 公共財と私的財:便益供給の問題 
  4. 票の価値と買収費用 
IV. 自民党以外の政党を支援した政治運動集団 047
V. 結語 050


第3章 人口動態と選挙戦略:長期的趨勢への政治的対応 053
I. 戦後経済と人口動態 053
  1. 経済成長の趨勢 
  2. 人口の都市化 
  3. 産業構造の変化と政治的提携関係 
  4. 少子高齢化の進展 
II. 選挙結果 063
III. 人口統計による説明の限界 066
  1. 制度的保護装置 
  2. 選挙戦術上の対応 
  3. 政策的反応 
IV. 結語 076


第4章 支持率の変動と選挙循環 079
I. はじめに:政治危機と公共政策 079
II. 政治危機と補償 081
  1. 中位投票者と支持率変動 
  2. 便益配分による中位投票者の買収 
  3. 日本のマクロ経済循環と選挙 
III. 政治危機と解散時期の選択 084
  1. 解散はどのようなタイミングで起こってきたか 
  2. 最適停止問題としての解散総選挙タイミング設定 
  3. グラフを用いた分析 
  4. 解散総選挙時期選択の生存時間解析 
IV. 政治的予算循環 092
V. 結語 100


第5章 集票のための補助金 103
I. はじめに:分割支配のための補助金 103
II. 分配政治と地方自治制度 105
  1. 選挙制度と分配政治 
  2. 政権維持のための地方自治 
  3. 自民党の集票戦略 
III. 選挙区間配分の計量分析 114
  1. 分析単位:選挙区 
  2. 従属変数:人口一人あたり補助金受取額 
  3. 説明変数 
  4. 制御変数 
  5. 分析結果 
IV. 選挙区内配分 121
  1. 寡占競争モデルと自治体単位の分析 
  2. 変数の定義 
  3. 分析結果 
V. 結語 124


第6章 利益誘導と自民党弱体化:我田引鉄の神話 125
I. はじめに:インフラと票田の荒廃 125
II. インフラ整備と自民党得票:事例研究 127
  1. 新幹線と高速道路の戦後史 
  2. 新潟の逆説 
  3. 島根の自民党王国 
  4. 全国自治体での自民党勢力図 :記述的分析
III. インフラ投資が票田を荒らす理由:理論的説明 137
  1. 選挙財としてのインフラと補助金 
  2. インフラ投資と後援会ゲーム 
IV. インフラ完成までの生存時間解析 142
  1. 比例ハザードモデル 
  2. 共変量 
  3. 推計結果 
V. インフラ投資の得票への影響 145
  1. 固定効果法による推計 
  2. 従属変数 
  3. 説明変数と制御変数 
  4. 推計結果 
VI. 結語 148


第7章 利益誘導と政界再編 151
I. はじめに:政界渡り鳥現象とインフラ 151
II. 1990 年代の離党・復党行動 152
  1. 離党・復党による政界再編成 
  2. 自民党はなぜ分裂したのか? 従来の説明とその限界 
III. インフラ整備による説明 156
  1. インフラと集票 
  2. 所属政党選択のゲーム理論モデル 
IV. 高速交通インフラと選挙:比較事例研究 161
  1. 繁栄と停滞:小山と足利 
  2. 地方組織の反乱:八戸と弘前 
  3. 派閥領袖の選択:羽田孜〔はた つとむ〕と加藤紘一 
V. 地図分析:議員の地盤と離党行動 170
VI. 計量分析 172
  1. インフラ貧弱指標 
  2. 離党・復党者の特徴:記述統計と平均差の検定 
  3. プロビット回帰分析 
VII. 結語 180


第8章 選挙制度改革と政策変化:政権交代への道のり 181
I. はじめに:細川政権が打ちこんだ楔 181
II. 選挙制度改革と政権維持戦略 182
  1. 定数格差是正 
  2. 誘因の変化 
III. 政権維持のための適応 190
  1. 選挙対策としての連立 
  2. 政策変化 
  3. 市町村合併 
IV. 政権交代へ向けての変化 198
  1. 小泉政権郵政選挙 
  2. 無期限囚人のジレンマに終わりが見えたとき 
  3. 衆院選挙2007 
  4. 総選挙2009 
V. 結語 204


第9章 同時代史としての自民党長期政権:逆説明責任体制の帰結 207
I. 政治学自民党 207
II. 政権維持動機と政府支出 208
  1. 土木事業の分野別配分 
  2. 高齢者福祉支出 
III. 自民党と地域経済 213
IV. 結語 218


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