著者:砂原 庸介[すなはら・ようすけ](1978-) 政治制度、行政学、公共政策(都市・住宅政策)。
NDC:318.263 政治 >> 地方自治.地方行政 >> 地方行政史・事情 >> 大阪
大阪―大都市は国家を超えるか -砂原庸介 著|新書|中央公論新社
【目次】
はじめに [i-viii]
大都市「大阪」の来歴
「大阪都構想」と大都市の役割
本書の構成
目次 [ix-xiv]
第 I 章 大都市の成立と三つの対立軸――問題の根源 003
1 自治の確立―― 三市特例から六大都市へ 003
大都市のイメージ
市制施行と有力者による支配
三市特例とその廃止
市長の役割をめぐる論争
都市官僚制の成立
国家事業から都市計画へ
2 国家への挑戦――特別市運動と東京都制 016
拡張する大都市
「大大阪」へ――全国最大の都市に
特別市運動の論点――府県監督への不満
東京の特殊性
東京都制の成立と特別市運動の挫折
3 挫折と埋没――「特別」でない都市へ 028
特別市制と残存区域問題
府県と大都市の対立――政令指定都市制度へ
財政調整制度の導入――都市から農村への分配
伸長性を持つ財源の喪失
全国計画のなかの大都市
大阪市の位置づけ
第II章 都市問題と政治――先進地域としての縮図 041
1 大都市が抱える宿痾 041
都市の改造と「貧民」の排除
釜ヶ崎形成の起点
戦前の産業公害
公害の激化――府と市の権限争い
先頭を走った大阪市――都市計画と都市官僚制
権限と財源の制約
2 革新勢力の台頭と退潮 052
革新勢力の源流
統一戦線の挫折
一九五五年体制下の停滞
革新自治体の時代――黒田了一の府知事就任
革新の衰退――社共共闘の瓦解
都市官僚制との距離
3 自民党長期政権下の大都市――進む多党化 064
「保守の危機」と自民党の対応
「都市政策大綱」という提案
多党化とその影響
大都市は「搾取」されてきたか
選挙制度の歪みと「自民党システム」
第III章 未完の再編成――拡張の模索 079
1 大阪市域の固定化と都市基盤の整備 079
揺らぐ都道府県境界
広域行政と府県合併
大阪市域拡張の試み――中馬馨の挑戦
大阪府による「機能分担」の主張
戦災復興から万博へ
臨海部への拡張
2 行き詰まる大阪 093
府による開発――大阪府企業局
開発事業の重複
人口流入の終焉
再開発事業の過剰な競合
リーダーシップ欠如の象徴
「スラム」から貧困問題へ
整理できない密集市街地
3 浮上する大都市―― 二〇〇〇年以降の都市回帰 107
「世界都市」への挑戦と挫折
都市への回帰
「自民党システム」の動揺
地方分権改革――溶解する自民党の基盤
補助金削減と財源移譲
顕在化する都市と農村との対立
第IV章 改革の時代――転換期に現れた橋下徹 123
1 遅れてきた改革派 123
「相乗り」と「無党派」
「納税者の論理」による行政改革
大阪府の転落
無党派知事横山ノック
大阪府政の安定と継続
チェック機能の弱体化
橋下徹の登場
2 「橋下改革」――論点と対立構図の推移 139
圧勝からの改革
国への働きかけ
水道事業統合問題
WTC庁舎移転問題
府議会自民党の分裂
大阪府と大阪市の再編構想
「大阪都構想」
3 「大阪維新の会」結成――地方政党という戦略 156
新党結成と府市議会議員の参加
対立構図の確定――既存政党と大阪市長
統一地方選挙の戦略
大阪維新の会の圧勝
ダブル選挙という手法
高投票率での勝利
ローカル・ポリティクスの“全国化”
第V章 大都市のゆくえ――ふたつの論理の相克 173
1 制度改革の条件 173
市長対議会
大都市の位置づけ
革新自治体との比較
都市の政党というポジション
政党再編成の可能性
ふたつのハードル――参議院と東京都政
2 大都市制度の設計――争点とその対応 185
都市への配慮は可能か
現行制度下の限界
都市の自律――府県と政令指定都市の統合
地域限定の分権改革
大きすぎる大都市
3 都市をめぐるふたつの論理 198
企業体としての大都市
フロンティアは残っているか
もうひとつの「大阪都構想」
「都市官僚制の論理」と「納税者の論理」
ふたつの論理のトレードオフ
「大阪都構想」が浮き彫りにするもの
終章 「大阪」の選択に向けて 211
「大阪都構想」を支えた状況変化
都市における政党政治の創出を
国家と大都市
政治的な寓話との訣別
あとがき(二〇一二年一〇月 砂原庸介) [223-228]
註記 [229-240]
参考文献・図表出典一覧 [241-247]
歴代大阪府知事・市長 [249]
大阪関連年表 [250-254]