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目次とメモを置いとく場

『ワーキングメモリ――思考と行為の心理学的基盤』(Alan Baddeley[著] 井関龍太, 齊藤智, 川﨑惠里子[訳] 誠信書房 2012//2007)

原題:Working Memory, Thought, and Action (Oxford University Press)
著者:Alan D. Baddeley (1934-) 心理学。
訳者:井関 龍太[いせき・りゅうた](1977-) 認知心理学言語心理学教育心理学
訳者:齊藤 智[さいとう・さとる](1965-) 認知心理学実験心理学
訳者:川崎 惠里子[かわさき・えりこ](1950-) 認知心理学
装幀:山本 太郎[やまもと・たろう] ツヅリ・ワークス。
件名:記憶
NDLC:SB85
NDC:141.34 心理学 >> 普通心理学.心理各論 >> 学習.記憶 >> 記憶.記憶術
備考:240頁と241頁の間にカラーページが1枚(2ページ分)


ワーキングメモリ - 株式会社 誠信書房


【目次】
献辞 [i]
目次 [iii-vii]
凡例 [viii]
まえがき [ix-xiii]
謝辞 [xv-xvi]


第1章 イントロダクションと概観 001
  1.1 いくばくかの歴史 002
    1.1.1 何種類の記憶があるか
    1.1.2 モーダルモデル[modal model]
    1.1.3 モーダルモデルの問題点
  1.2 複数成分ワーキングメモリ 005
  1.3 複数成分モデル 008
    1.3.1 音韻ループ
    1.3.2 視空間スケッチパッド
    1.3.3 中央実行系
    1.3.4 エピソード・バッファ
  1.4 結論 015


第2章 なぜ音韻ループが必要か 016
  2.1 音韻ループの進化論的関連性 016
    2.1.1 言語理解
  2.2 言語獲得 017
    2.2.1 患者からの証拠
    2.2.2 第二言語学習
    2.2.3 言語障害を持つ子ども
    2.2.4 健常児における語彙獲得
    2.2.5 統語の獲得
  2.3 下位語彙的短期記憶 023
    2.3.1 単語と非単語のエラーパターン
    2.3.2 語彙性と再統合
    2.3.3 語彙性と再認
    2.3.4 セットサイズと再生
  2.4 系列順序の問題 028
  2.5 連鎖モデル 029
  2.6 文脈モデル 030
    2.6.1 初頭性モデル
    2.6.2 スタートエンドモデル
    2.6.3 時間的文脈モデル
    2.6.4 非単語保持のモデル


第3章 音韻ループ:課題と広がる論点 037
  3.1 Nairneの批判 037
    3.1.1 音韻ループ仮説:証拠を解釈する
  3.2 語長効果 041
    3.2.1 痕跡減衰か干渉か
    3.2.2 語長効果の生起はリハーサルによるのか再生遅延によるのか
    3.2.3 構音速度と記憶スパン
    3.2.4 長い単語は壊れやすいか:局所論的解釈
    3.2.5 長い単語と短い単語を混ぜる
  3.3 音韻ループを混乱させる 053
    3.3.1 一般的な干渉効果
    3.3.2 構音抑制
      3.3.2.1 視覚提示
      3.3.2.2 聴覚提示
  3.4 無関連言語音効果 056
    3.4.1 記憶マスキングの事例か
    3.4.2 状態変化仮説
    3.4.3 オブジェクト指向のエピソード記録モデル
    3.4.4 正体を現した音韻ループ
    3.4.5 無関連言語音と素性〔そせい〕仮説
  3.5 音韻ループ:概観 067
  3.6 結論 069


第4章 視空間的短期記憶 070
  4.1 視空間的ワーキングメモリと言語的ワーキングメモリとを分ける論拠 070
  4.2 視空間的ワーキングメモリを細分化する 072
  4.3 空間的位置についての記憶 072
  4.4 オブジェクトベースの短期記憶 075
    4.4.1 視覚的ワーキングメモリのモデル
    4.4.2 Vogel et al. のモデルの諸限界
    4.4.3 視覚的ワーキングメモリにおける注意の役割
    4.4.4 視覚探究とSTM
    4.4.5 眼球運動の役割
  4.5 視空間的短期記憶における系列貯蔵 082
    4.5.1 行為系列についてのSTM
    4.5.2 視空間的短期記憶における系列順序をモデル化する
  4.6 問題を分ける 087
  4.7 結論 093


第5章 イメージと視空間的ワーキングメモリ 094
  5.1 視空間的コード化と言語的記憶 095
    5.1.1 イメージと言語的短期記憶
    5.1.2 視空間スケッチパッドの機能
    5.1.3 イメージ操作と心的合成
  5.2 視空間スケッチパッドをモデル化する 101
    5.2.1 Logieのスケッチパッドのモデル
    5.2.2 知覚的無視と表象無視
  5.3 視覚的イメージ 104
    5.3.1 心的回転
    5.3.2 心的イメージの走査
    5.3.3 Kosslynのプロトモデル
    5.3.4 ワーキングメモリとイメージの経験
    5.3.5 何がイメージを鮮明にするのか
    5.3.6 長期記憶の役割
    5.3.7 ワーキングメモリモデルにとっての意義
  5.4 結論 112


第6章 新近性,検索,定数比の法則 114
  6.1 自由再生における新近性 114
    6.1.1 短期記憶としての新近性
    6.1.2 長期新近性
    6.1.3 痕跡減衰か干渉か
  6.2 定数比の法則 117
  6.3 新近効果の諸理論 120
    6.3.1 文脈と新近性
    6.3.2 痕跡減衰
    6.3.3 ワーキングメモリと新近性
    6.3.4 SIMPLE仮説[Scale Invariant Memory, Perception and Learning]
    6.3.5 複数の同時的新近効果
    6.3.6 新近性とリハーサル
  6.4 新近性の進化論的機能 126


第7章 中央実行系を細分化する 129
  7.1 ゴミ箱としての中央実行系 130
  7.2 実行過程と前頭葉 131
    7.2.1 実行機能不全症候群
    7.2.2 神経解剖学的アプローチ
    7.2.3 実行制御の計算論的モデリング
  7.3 ワーキングメモリと実行過程 136
  7.4 限界のある容量を焦点化させる 137
    7.4.1 複合的な課題の注意制御
    7.4.2 練習と自動性
    7.4.3 ランダム生成
  7.5 課題切り替えと中央実行系 142
    7.5.1 切り替えと中央実行系
    7.5.2 音韻ループの実効的役割
  7.6 実行スキルとしての注意の分割 147
    7.6.1 アルツハイマー病における二重課題のパフォーマンス
    7.6.2 課題の組み合わせは実行スキルか
    7.6.3 社会的行動は多重課題を伴うか
  7.7 結論 153


第8章 長期記憶とエピソード・バッファ 154
  8.1 一部の還元主義的見解 154
    8.1.1 言語処理としてのワーキングメモリ
    8.1.2 活性化した長期記憶としてのワーキングメモリ
  8.2 ワーキングメモリ棚の中の骸骨 157
    8.2.1 STMのためのバックアップ貯蔵庫か
    8.2.2 STM患者の残存する再生能力
    8.2.3 STMにおける意味的コード化
    8.2.4 文スパン
    8.2.5 散文再生
    8.2.6 チャンキング
    8.2.7 ワーキングメモリスパン
    8.2.8 意識的アウェアネス
  8.3 エピソード・バッファ 165
    8.3.1 骸骨を埋葬する
    8.3.2 エピソード・バッファはどのように働くのか
    8.3.3 基本的メカニズムと表象
    8.3.4 制御と管理
    8.3.5 エピソード・バッファは一元論的か,一元論的でないか
    8.3.6 エピソード・バッファの限界の性質
    8.3.7 複雑な認知活動におけるエピソード・バッファの役割
    8.3.8 エピソード・バッファとLTMおよび知識の関係性
    8.3.9 注意と意識性との関係性はどんなものか
    8.3.10 エピソード・バッファは生物学的にどのように実装されるのか
    8.3.11 他のモデルとの関係性


第9章 エピソード・バッファの探求 175
  9.1 視覚的ワーキングメモリにおけるバインディング 176
  9.2 散文の記憶におけるバインディング 179
  9.3 いくつかの意義 190


第10章 ワーキングメモリスパンにおける個人差 195
  10.1 心理測定学の伝統 195
    10.2.1 加齢と認知に対する心理測定学的アプローチ
  10.2 知能の概念 197
  10.3 ワーキングメモリにおける個人差 202
    10.3.1 ワーキングメモリスパン
    10.3.2 ワーキングメモリスパンは言語特定的か
  10.4 ワーキングメモリスパンは何を測定しているのか 205
    10.4.1 相関的アプローチ
    10.4.2 実験的方法と相関的方法を組み合わせる


第11章 何がワーキングメモリスパンを制限するのか 210
  11.1 スピード仮説 210
  11.2 資源プール仮説 211
    11.2.1 処理容量は一般的か
    11.2.2 貯蔵か処理か
  11.3 抑制仮説 214
    11.3.1 ワーキングメモリにおける干渉効果
    11.3.2 抑制は一元論的か
    11.3.3 抑制に対する多変量アプローチ
  11.4 ワーキングメモリの構成要素 221
    11.4.1 ワーキングメモリは領域特定的か
    11.4.2 ワーキングメモリの構造方程式モデリング
    11.4.3 ワーキングメモリの諸理論にとっての意義
  11.5 中央実行系を分割する 226
  11.6 ワーキングメモリと教育 228
    11.6.1 自動化ワーキングメモリバッテリー,AWMA
    11.6.2 特異的な障害を持つ子ども
    11.6.3 教室におけるワーキングメモリ
  11.7 結論 233


第12章 ワーキングメモリの神経イメージング 234
  12.1 陽電子放射断層撮影法(PET) 235
  12.2 機能的磁気共鳴イメージング(fMRI) 236
  12.3 脳波(EEG) 237
  12.4 他の技法 237
  12.5 部位の命名 239
  12.6 ワーキングメモリのイメージングから何がわかるか 240
    12.6.1 ワーキングメモリのサブシステムのイメージング
    12.6.2 視覚的ワーキングメモリと言語的ワーキングメモリの弁別
    12.6.3 リハーサル
    12.6.4 視空間の区分
  12.7 中央実行系のイメージング 247
    12.7.1 Nバック課題
    12.7.2 ランダム生成
    12.7.3 二重課題パフォーマンス
    12.7.4 プランニング
  12.8 実行処理のメタ分析 250
  12.9 検索過程のイメージング 252
  12.10 いくつかの結論 253
    12.10.1 期待は満足されたか
    12.10.2 問題の数々
    12.10.3 次は何か


第13章 ワーキングメモリと社会的行動 257
  13.1 行動を制御するのは何か 257
  13.2 習慣,スキーマ決定論的制御 258
    13.2.1 アウェアネスなしの制御は可能か
    13.2.2 潜在知覚
    13.2.3 情動と態度
    13.2.4 動機と目標
    13.2.5 文化的制御
  13.3 主体性感 265
    13.3.1 生理学的証拠と「ユーザーの錯覚」
    13.3.2 ワーキングメモリの役割
  13.4 ワーキングメモリと自己制御 270
    13.4.1 自己制御のフィードバックループモデル
    13.4.2 統制を受けるために生じる制御の失敗
    13.4.3 自己制御における個人差
    13.4.4 制御の自己評定
    13.4.5 自己制御:筋肉のアナロジー
    13.4.6 強度減少
    13.4.7 気分統制
    13.4.8 ビジランス減退
    13.4.9 訓練効果
    13.4.10 代わりとなる説明
  13.5 結論 280


第14章 ワーキングメモリと情動 I :恐怖と渇望 282
  14.1 激しい情動における認知 283
    14.1.1 認知障害の性質
    14.4.2 注意狭窄仮説
    14.4.3 注意的思考と侵入的思考
    14.4.4 ワーキングメモリと不安仮説
    14.4.5 抑制の役割
  14.2 不安と認知の臨床研究 291
    14.2.1 不安者における注意バイアス
    14.2.2 反応バイアスの問題
    14.2.3 情動的ストループ課題
  14.3 不安と認知の影響をモデル化する 296
    14.3.1 不安とパフォーマンスの認知モデル
    14.3.2 不安と長期記憶
  14.4 依存と渇望 299
    14.4.1 渇望と認知
    14.4.2 渇望の精密化侵入理論
  14.5 結論 302


第15章 ワーキングメモリと情動II:抑うつと行為の源 304
  15.1 不安と抑うつの効果の比較 304
    15.1.1 注意と抑うつ
    15.1.2 抑うつによる記憶の妨害
    15.1.3 情動的材料の記憶
    15.1.4 抑うつと自己評価
    15.1.5 ネガティブ思考と反芻
  15.2 抑うつの心理学理論 311
  15.3 行為の源 314
    15.3.1 バランスの取れた世界仮説[balanced world hypothesis]
  15.4 ワーキングメモリと抑うつ 318
    15.4.1 快楽検出器と抑うつ
  15.5 情動と複数成分モデル 323
    15.5.1 モデルの展開
    15.5.2 進化論的観点
  15.6 情動:広範な見解 326
    15.6.1 情動の心理学理論
    15.6.2 情動への神経生物学的アプローチ
      15.6.2.1 ソマティックマーカーは本当に身体的か
    15.6.3 眼窩前頭皮質は重要か
    15.6.4 アイオワギャンブル課題
  15.7 結論 331


第16章 意識性 332
  16.1 意識性に対する実践的アプローチ 333
  16.2 中核意識性 334
  16.3 麻酔下の意識性 335
  16.4 意識的制御とグローバル・ワークスペース仮説 338
    16.4.1 意識性の劇場
  16.5 認知的ワークスペースの神経基盤 342
    16.5.1 認知的処理は意識性なしで可能である
    16.5.2 意識性には注意が必要である
    16.5.3 いくつかの認知的操作は意識性を必要とする
    16.5.4 理論的枠組み
      16.5.4.1 心のモジュール性
      16.5.4.2 非モジュール的な意識
      16.5.4.3 神経過程の注意制御
    16.5.5 自己感覚
  16.6 意識性とワーキングメモリ 347


第17章 多重レベルの行為制御 351
  17.1 行為の潜在的制御 352
    17.1.1 脳刺激法と運動
    17.1.2 利用行動
    17.1.3 トゥレット症候群
    17.1.4 行為のスリップ
    17.1.5 盲視
    17.1.6 病態失認
    17.1.7 幻肢
    17.1.8 無秩序な手
  17.2 運動制御のモデル 358
    17.2.1 予測化過程と運動制御
    17.2.2 アウェアネスの役割
    17.2.3 知覚と行為の障害
      17.2.3.1 失行症
      17.2.3.2 補足運動野の役割
      17.2.3.3 無秩序な手と幻肢
      17.2.3.4 病態失認
    17.2.4 幻覚と妄想
      17.2.4.1 幻聴
      17.2.4.2 思考伝播
      17.2.4.3 制御妄想
  17.3 ワーキングメモリにとっての運動制御の意義 367
  17.4 結論 370


第18章 ワーキングメモリ研究の広がり:生命,宇宙,そして万物について 371
  18.1 進化的観点 372
  18.2 いくつかの哲学的意義 376
    18.2.1 意識性
    18.2.2 自己
    18.2.3 行為と自由意志
    18.2.4 3つの願い
    18.2.5 方略
    18.2.6 安価な神経イメージング
    18.2.7 動機づけ
  18.3 エピローグ 387


文献 [389-450]
訳者あとがき(2012年 初夏 訳者一同) [451-454]
索引 [455-459]
著訳者紹介 [461-462]