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『静かなる大恐慌』(柴山桂太 集英社新書 2012)

著者:柴山 桂太[しばやま・けいた](1974-) 現代社会論、思想史。
図表:テラエンジン
NDC:302 政治・経済・社会・文化事情。
NDC:332.06 経済史・事情、経済体制。


集英社新書「静かなる大恐慌」特設サイト


【目次】
はじめに [003-006]
目次 [007-015]


第一章 「静かなる大恐慌」に突入した 017
危機の本質のつかみにくさ
乱気流にのみこまれたグローバル経済
国境を越えて連鎖するショック
静かなる大恐慌
戦後最大のバブル崩壊
危険な再分配政策に後押しされた巨大バブル
ストック経済がバブルを巨大にした
グローバル化で世界経済が脆弱に
システミック・リスクに脅かされる世界経済
事前に対策をとるのは不可能
新自由主義的な事後救済
欧米の金融緩和がもたらす負の作用
グローバル化と自由化を問い直す


第二章 グローバル化は平和と繁栄をもたらすのか? 043
第一次グローバル化のさなか世界大戦が始まった
グローバル化は永遠に続かない
モノ・カネ・ヒトが活発に動いた第一次グローバル化の時代
新自由主義的思想はリバイバル
「資本主義の平和」論
グローバル化の帰結としての世界大戦
グローバル化で不安定になった二〇世紀初頭の欧州
「脱グローバル化」への急反転
第二次グローバル化のゆくえは?
金融緩和と通貨切り下げ
高まる地政学的リスク
ケインズの警告


第三章 経済戦争のはてに 067
「通貨戦争」勃発
第二次世界大戦の序曲となった通貨戦争
ケインズ以前の世界に回帰している
深まる先進国と新興国の対立
米中经济摩擦
問題の根源はグローバル・インバランス
ドル安で貿易不均衡は是正できない
通貨切り下げで、産業の空洞化は止められない
覇権国不在という不幸
パクス・アメリカーナの終焉?
外れたフランシス・フクヤマの予想
政府指導の「国家」資本主義
開発独裁」モデルとは異なる国家資本主義
現代版の重商主義
国民を幸福にしない重商主義――アダム・スミスからの批判
政府の関与を強めるアメリ
資本主義はすべて本質的に国家資本主義
ショックに脆弱な新興国
国家の内部崩壊というシナリオ
先進国でも進む社会融解
不安定化する資本主義
失業は「自己責任」か?
グローバル化は「大きな政府」に帰結する
格差が国を滅ぼす
目指すべきは国民資本主義


第四章 行きすぎたグローバル化が連れてくる保護主義 109
自由貿易 vs 国内政治
国内の民主政治とグローバル市場の緊張関係
グローバル化の三つの未来
  ①「グローバル化」と「国民主権」を選択し、「民主政治」を犠牲にする
  ②「グローバル化」と「民主政治」を選択し、「国民主権」を犠牲にする
  ③「国民主権」と「民主政治」を選択し、「グローバル化」を犠牲にする
グローバリズムではなく国際主義を
新ブレトンウッズは困難
ポランニーの『大転換』
社会の自己防衛
国家による市場の押さえ込み
自由化こそが強権的
保護主義の台頭
巧妙になる保護主義
経済の再国民化を


第五章 国家と資本主義、その不可分の関係 135
なぜ危機は繰り返されるのか
資本主義とは何か
不確実性を重視したケインズ
資本主義の本質は借金経済
ミンスキーの金融不安定性仮説
なぜ戦後は恐慌が起きなかったのか
資本主義はバブルで成長する
資本主義の安定は、自然に実現しない
安定性を担保しているのは国家
国債という発明
国家と資本主義は共に進化してきた
国家と資本が分離するときに起こること
資本のゆるやかな逃避
保護主義から国際的な資本管理へ


第六章 日本経済の病理を診断する 165
低成長だけが問題だったのか?
高まる海外依存
企業と国民経済の利益の不一致
「脆弱化」した日本経済
国内対立の激化
大都市と地方の対立
「小さな政府」が対立を加速する
グローバル化は政府を大きくする
バランスを失う国家
平時の思想、危機の思想
グローバル化福祉国家に行き着く


第七章 恐慌以降の世界を生き抜く 189
二度目の「脱グローバル化」がやってく くる
ハードランディングを避けるために
これから必要になるのは公正と安定
資本主義は終わらない
「投資の社会化」
資本概念の拡張を


註 [203-209]
主要参考文献 [210-217]
おわりに(二〇一二年九月 柴山桂太) [218-221]




【関連書籍】
・本書(111〜120頁)で説明している「世界経済の政治的なトリレンマ」についての話題の本。
Dani Rodrik, The Globalization Paradox: Democracy and the Future of the World Economy, New York and London: W.W. Norton; 2011.
(日本語訳:『グローバリゼーション・パラドックス』白水社、二〇一三年)