著者:吉村 典久[よしむら・のりひさ](1968-) 経営戦略論、企業統治論。
『会社を支配するのは誰か 日本の企業統治』(吉村 典久):講談社選書メチエ|講談社BOOK倶楽部
【目次】
目次 [003-006]
序章 007
十九世紀のパリ
十八世紀のロンドン
二十一世紀のニューヨーク
そして、東京……
“Management(企業経営)”と“Corporate Governance(企業統治)”
「追い出せる」ことが本質
本書の主題――経営者の規律づけ、「クビのすげ替え」への注目
「ウチにあるものを探す」――中長期のコミットメントを持つもの
本書の構成
第1章 企業統治の問題を生み出してきたもの――株式会社制度に潜む本質的問題 031
はじめに 032
1 企業統治の問題とは何か 033
逆転する企業統治に関わる評価
企業統治の見直しの流れ
企業統治のスタイルは本当に決定的な要因なのか?
そもそも、どの“Corporate”?
「しかし、実際の資金提供は、単純明快の対極にある」
2 アダム・スミスの株式会社観――「資本主義の父」の警句 047
アンブローズ・ビアスの箴言
アダム・スミスの株式会社観
3 出光佐三の株式会社観――「黄金の奴隷たるなかれ」 052
出光佐三の経営思想
株式会社、株式公開にまつわる佐三の思想――「資本主義の最もズルイ形態」
4 企業統治の問題の終焉? 062
「会社法の歴史の終焉」
「会社法の歴史の終焉?」
第2章 日本の企業を作りあげてきたもの――労働組合とミドルの力 065
はじめに 066
1 日本の企業統治の通念――メインバンクによる牽制 068
誰が経営者を選任・解任してきたのか
メインバンクの役割
2 三越における社長解任劇の裏舞台 073
「反岡田派の中心人物、小山五郎」
三井財閥・三井グループの源流たる三井高利
岡田社長の「ワンマン経営」「乱脈経営」「私物化」
暗転、そして「なぜだ!」の解任劇
「なぜだ!」につながったミドルの動き
「なぜだ!」につながった労働組合の動き
3 労組主導による経営者解任の事例――ヤマハの事例 088
社長解任
解任劇への前奏曲
解任劇へ、ついに腰を上げた労組
「御用組合」「第二人事部」「対資本従属」……?
労働組合の果たしてきた役割
労使協議の果たしてきた役割
4 ミドル主導による経営者解任の事例――セイコーインスツルの事例 100
会長兼社長解任
「創業家」・服部家による支配
次期「総帥」の服部純市が社長へ
解任劇への前奏曲
解任劇へ、ついに腰を上げたミドル
5 従業員集団による統治の一般的特徴 110
金融機関などの事例
あるコーポレート・ロイヤーの指摘
従業者集団による統治の限界
第3章 日本の組織を作りあげてきたもの――江戸期の商家・武家における統治 123
はじめに 124
1 「侵すべからざる上下秩序」という通念 126
武家と商家の上下秩序
松坂屋における社長解任劇に見る標準的イメージ
三井家における伊勢押込
2 商家における主の解任劇の裏舞台 132
石門心学などにみる上下秩序に関する教え
近江商人の家訓にあった押込
近江商人の実際にあった押込
3 武家における主の解任劇の裏舞台 139
『葉隠』などに見る上下秩序に関する教え
武家の実際にあった押込――「御身持宜しからず御慎しみあるべし」
第4章 米国の企業を作りあげてきたもの――ヘンリー・フォードの哲学 145
はじめに 146
1 米国企業の経営・統治の模範――ゼネラルモーターズ 148
株主・株式市場による統治
GMにおけるCEO解任
「ボードルーム・クーデター」なる呼ばれ方
経営のあるべき姿を示してきたGM
統治のあるべき姿を示さんとする―― GM取締役会企業統治ガイドライン
2 模範の末路――“ガバメントモーターズ” 158
GMの企業統治ガイドラインとGM自体のその後
GMの企業統治ガイドラインはあるべき役割を果たしたのか
明暗を分けたものは何か
3 「株主・株式市場による統治」への意義――フォード、ファイアストン、そしてグーグルとフェイスブック 167
「ビッグスリー」の生き残りたるフォードの誕生―― T型フォードとフォード・システム
ヘンリー・フォード対ダッジ兄弟の訴訟の顛末
経営者革命から株主反革命へ
ヘンリー・フォードの語る株主の胡散臭さ
ヘンリー・フォードの語る株式会社の「胡散臭さ」
ハーベイ・ファイアストンの語る「株主の胡散臭さ」
グーグルやフェイスブックにつながるもの
第5章 日本の企業を作りあげていくもの――真の解決に向かって 189
はじめに 190
1 「ソニーに学べ」 191
「ウォークマン」以来の大ヒット作たる「執行役員」制度
「ソニーに学べ」の大合唱
「失効」役員制度
「失効」役員制度はなぜ普及したのか?
「お手本」を探すだけではなく
2 三度目の奇跡に向かう時代に―― 二度目の奇跡の時代を振り返って 206
二度目の奇跡
「三等重役」――戦後復興と企業統治
「三等重役」と労働組合
「三等重役」と従業員による選挙
むすびにかえて 218
「お手本」を追うことなく
「実験」を繰り返す
謝辞(二〇一一年十月八日 吉村典久)
注 [224-242]
参考文献 [243-262]
【メモランダム】
・構成について。「むすびにかえて」は総まとめ&「謝辞」から構成されている。なのでその内容面からすると、私としては第1章〜第5章に並列させたい。
・しかし実際には「むすびにかえて」は、あくまで第5章の第三節として組まれている(∵本書では、章タイトルと節タイトルのフォントサイズの差がある。また、見開き左頁のヘッダー部分に章タイトルが印刷されている)。何故だ。
・目次マニアとしては、せめて「謝辞」だけでも第5章から脱出させてあげたい。