著者:外村 大[そとむら・まさる](1966-) 日本近現代史。
NDC:366.8 労働問題(各種の労働・労働者)
【目次】
はじめに [i-iv]
目次 [v-vii]
朝鮮行政地図(1940年) [viii]
凡例 [ix]
序章 朝鮮人強制連行を問う意味 001
用語をめぐる議論
遅れている研究
韓国での真相究明の活動
日本社会の無関心
本書で論じる対象
歴史研究としての意義
総力戦が見せる国力
植民地朝鮮の特徴
現代的課題との類似
民族関係・民族政策の検証
史料と方法
第1章 立案調査と準備不足の始動 019
1 植民地期の朝鮮社会と人口移動 020
「近代化」の度合い
低い識字率
メディアの未発達
行政機構とその人員
社会教化の限界
農民の没落と移動
「朝鮮人移住対策の件」
2 労働力不足をめぐる議論 033
軍需景気と人手不足
日中戦争の勃発
3 法令の整備と動員計画樹立 038
国家総動員法
職業紹介所の国営化
朝鮮の労働行政
労務動員計画の策定
渡日規制の強化
「募集」とその手続き
玉虫色の合意
協和会の整備
朝鮮職業紹介令
4 労働者確保と処遇の実態 054
職業紹介と統制
地域社会の連絡委員
低い充足率
旱害罹災者の応募
逃亡防止の監視
紛争議の多発
受入れ側の認識
第2章 「余剰」なき労働力の実情 069
1 動員の展開と矛盾の表出 070
「余剰労働力」の調査
本格化する動員行政
朝鮮農村労働力の実情
警官と面職員の協力
道会における批判
2 動員への懸念と異論 082
動員体制の強化
拡大する動員規模
動員強化の法改正と施策
日本内地の徴用増加
朝鮮での充足率の低下
過剰人口論の検証
異質な存在への警戒
経営合理化論からの疑問
第3章 押しつけられる矛盾 103
1 朝鮮人労務動員制度の再確立 104
英米との戦争
新たな閣議決定
決定の実現不可能性
渡日統制のさらなる強化
官斡旋による要員確保
行政の権限と責任
2 日本内地の動員施策 118
日米開戦後の動員計画
連絡委員制度の再編
商工業者等の転廃業
徴用増加と勤労援護
農業労働力の保全
学生と女性の動員
3 困難になる朝鮮での要員確保 132
行政機構の再編
朝鮮内の労務動員
軍事動員と錬成
朝鮮農村再編論
充足率の異常な上昇
発動できない徴用
動員忌避の背景
4 劣悪な待遇と生産性の低下 152
朝鮮人の基幹労働力化
契約期間の延長
減少しない逃走者
監獄部屋の活用
労働紛争議の変化
生産性の低下
帝国議会での議論
第4章 広がる社会的動揺と動員忌避 169
1 戦況の悪化と動員の拡大 170
膨れ上がった動員計画
動員体制の強化
根こそぎ動員論批判
困難になる要員確保
内務省の実情把握
2 朝鮮における徴用発動 183
地方末端行政の負担
改善されなかった待遇
徴用忌避と抵抗
3 機能不全の援護施策 191
朝鮮での援護会設立
援護の遅れとその原因
厚生省の実情把握
第5章 政策の破綻とその帰結 199
1 本土決戦準備と動員継続 200
崩壊過程の生産体制
給源の裏づけなき計画案
要員確保の追求と混乱
敗戦直前の民族関係
2 日本敗戦後の帰還と残留 209
敗戦時点の労務動員数
徴用解除と帰還
外務省文書の問題点
残留者数の推定
3 被害者と加害者のその後 216
被動員者の「解放後」
政策に関わった者の認識
終章 暴力と混乱の背景と要因 223
目標と現実の齟齬
労働者軽視の経営
曖昧な決定と迷走
強力な統治の陥穽
後手に回った施策
動員のインフラの不在
収奪の規制の欠如
日本人中心主義
マジョリティの不幸
記憶すべき史実
あとがき(二〇一二年二月 外村 大) [241-242]
主要参考文献 [243-250]
略年表(1934年〜1945年) [5-8]
索引 [1-4]