著者:多谷 千香子[たや・ちかこ](1946-) 国際刑事法。検察官。旧ユーゴスラビア 国際刑事裁判所 訴訟裁判官。
件名:戦争犯罪
件名:ユーゴスラビア内戦 (1991-1995)
件名:ユーゴスラビア--外国関係
NDC:316.8393 国家と個人・宗教・民族
【目次】
はしがき [i-vii]
目次 [ix-xi]
ユーゴ関連年表 [xii-xiii]
ユーゴスラヴィア関連地図 [xiv]
第一章 旧ユーゴ戦犯法廷とは何か 001
1 国際判事になった日 002
オランダ・ハーグへの旅立ち
連続審理の毎日
2 戦争犯罪とは何か 008
ICTY設立規定
戦争犯罪とは何か
3 戦犯法廷の設置はどのようにして決まったのか 014
第一の失敗――交渉による紛争の予防
第二の失敗――交渉による和平
第三の失敗――不発に終わったクリントンの強硬手段
第四の失敗――国連保護軍の無力
残された選択――ICTYの設置へ
4 三九人の有罪確定者たち 023
証拠と証人
第二章 ボスニア紛争への道 031
1 連邦の解体へ――復活する民族主義 033
ユーゴ王国の誕生
ユーゴ連邦の誕生
チトーの分権型社会主義
民族意識と民族融和
経済破綻から共和党支配の終焉へ
2 クロアチア紛争の構図 044
トゥジマンの勝利、そして衝突へ
3 紛争予防外交の失敗 047
EC和平案の頓挫
拙速に行われたクロアチア停戦
ドイツのクロアチア独立承認
第三章 虐殺はなぜ起こったか――ある被告人の軌跡 057
1 法廷に立った被告人 058
二人の被告人
弁護人と証人
被告人の「野望」
2 ボスニア紛争前夜――野に放たれた無法者たち 067
ボスニアに押し寄せる脅威
選挙でおどり出た民族政党とイゼトベゴヴィッチ
共和国建設へ動くセルビア人勢力
野に放たれた無法者たち
ボスニア内戦の準備を進めるセルビア人勢力
モスリム人勢力の戦闘準備
モスリム人被害の“宣伝”活動――被害の証言(1)
不調に終わったボスニア分割案
国民投票とボスニア独立宣言
3 被告人の野望――ボスニア紛争はどのように戦われたのか 094
ボスニア紛争の勃発
ヘビに助けられた青年――被害の証言(2)
モスリム人とクロアチア人の追放
進軍するセルビア軍部隊
地獄の谷へ――被害の証言(3)
被害の誇大宣伝と「知識人狩り」
“刀狩”に協力させられたモスリム人指導者――被害の証言(4)
オマルスカ強制収容所
ブルダニンへの判決
4 ボスニア紛争の終結――デイトン合意へ 126
デイトン合意へ
スレブレニツァ虐殺事件
アメリカによる和平
第四章 ミロシェヴィッチの役割 137
1 ハーグに移送された元大統領 138
ハーグ移送劇
ミロシェヴィッチの戦争犯罪
2 権力への階段――コソヴォ紛争の種は蒔かれた 142
政治家ミロシェヴィッチの生い立ち
“クー・デター”による政権奪取
コソヴォ紛争と権力からの墜落
妻ミラの指名手配
3 西側諸国はミロシェヴィッチをどう見ていたか 156
和平の立役者から和平の阻害要因へ
4 拘置所から国会議員に当選した戦犯 159
現状への幻滅
第五章 国際刑事裁判のこれから 163
1 旧ユーゴ戦犯法廷の意義と限界 164
「出口戦略」と今後の課題
ICTYは反セルビア的か
起訴と政治的意図
勝者の裁判か
2 国際刑事裁判所へ向けて 174
ICCの設立
ICCと他の国際的な刑事裁判所の関係
ICCとICTYの違い
ICCに対する期待
終章 平和は訪れるか――ボスニアとコソヴォの将来 183
1 デイトン合意の効果 185
“兵器供与と軍事訓練”
三すくみ状況
2 ボスニアとセルビア 189
根深い後遺症
ルキッチ逮捕劇
3 コソヴォとマケドニア 194
コソヴォの将来的地位をめぐって
マケドニア問題
あとがき(二〇〇五年九月 旧ユーゴ戦犯法廷前判事 多谷千香子) [201-204]