【編著者一覧】
編著者:
東郷和彦 (とうごう かずひこ)
波多野澄雄(はたの すみお)
執筆者:
石井 明(いしい あきら)
市場淳子(いちば じゅんこ)
王 雪萍(おう せつへい)
笠原十九司(かさはら とくし)
加藤哲郎(かとう てつろう)
倉沢愛子(くらさわ あいこ)
小菅信子(こすげ のぶこ)
高木健一(たかぎ けんいち)
高嶋伸欣(たかしま のぶよし)
田中 宏(たなか ひろし)
戸谷由麻(とたに ゆま)
外村 大(とのむら まさる)
富田 武(とみた たけし)
中野 聡(なかの さとし)
中原道子(なかはら みちこ)
長谷川毅(はせがわ つよし)
浜井和史(はまい かずふみ)
日暮吉延(ひぐらし よしのぶ)
保阪正康(ほさか まさやす)
前田哲男(まえだ てつお)
松村高夫(まつむら たかお)
光信一宏(みつのぶ かずひろ)
吉澤文寿(よしざわ ふみとし)
Roh Daniel(ろー だにえる)
和田春樹(わだ はるき)
【書誌情報+内容紹介】
価格:本体2,400円+税
通し番号:65
刊行日:2015/06/18
ISBN:9784000291651
版型:四六 並製 294ページ
戦後70年が経過するにもかかわらずいっこうに収まる気配のない歴史問題.外交問題に収まらずに,民間訴訟や反日デモなど,いっそう拡大し再燃しつつある.「靖国神社公式参拝」「従軍慰安婦」「南京虐殺事件」など,さまざまな40余りのトピックについて,史実,これまでの経緯,解決のための道筋を示す,簡にして要を得た手引き.
【簡易目次】
総説 戦争責任・戦後責任・歴史問題[東郷和彦] 001
I 戦争・植民地支配と責任
東京裁判[日暮吉延] 026
日本政府の歴史認識問題[東郷和彦] 036
植民地支配――朝鮮・台湾を中心に[吉澤文寿] 048
靖国神社公式参拝[石井明] 059
従軍慰安婦[波多野澄雄] 070
南京虐殺事件[笠原十九司] 082
教育・歴史教科書問題[王 雪萍] 092
領土問題と歴史問題[東郷和彦] 105
戦争賠償[倉沢愛子] 115
平和条約体制と戦後補償[Roh Daniel] 127
在日コリアン問題[田中宏] 139
II 加害・被害と補償
原爆と終戦[長谷川毅] 150
日米終戦――天皇の地位と日米関係[東郷和彦] 156
昭和天皇の戦争責任[保阪正康] 160
米国の占領政策――検閲と宣伝 [加藤哲郎] 166
強制連行・強制労働[外村大] 172
細菌・化学兵器の被害・大量遺棄・処理[松村高夫] 179
重慶大爆撃[前田哲男] 185
華僑粛清〈シンガポール、マレー戦線〉[高嶋伸欣] 189
ロームシャ〈労務者〉動員[中原道子] 193
英軍俘虜・抑留者[小菅信子] 199
BC級戦犯裁判[戸谷由麻] 205
サハリン残留韓国・朝鮮人問題[髙木健一] 211
在外被爆者問題[市場淳子] 217
朝鮮人・台湾人元日本兵の補償――皇軍兵士にされた植民地出身者[光信一宏] 224
日朝歴史問題[和田春樹] 228
在外財産補償問題[浅野豊美] 233
復員・引揚げ〈留用・残留日本人・遺骨収集を含む〉[浜井和史] 239
戦災被害補償問題と「受忍論」[波多野澄雄] 245
戦没者追悼・慰霊[中野聡] 248
シベリア抑留補償[富田武] 254
おわりに――サンフランシスコ講和体制と「歴史問題」[波多野澄雄] [261-265]
【詳細目次】
目次 [v-viii]
総説 戦争責任・戦後責任・歴史問題[東郷和彦] 001
序論――歴史問題の意味
第一部 近代日本はなぜ先の大戦に至ったのか
1 「台形史観」としての近代日本
2 明治維新から日露戦争まで
3 日露戦争から満州事変へ
4 満州事変から太平洋戦争へ
第二部 戦後史観
1 占領・憲法・東京裁判・サンフランシスコ講和条約
2 昭和の終焉ののちに到達した左右の均衡
3 「右派的なもの」への傾斜
結論――これからの歴史問題
I 戦争・植民地支配と責任 025
東京裁判[日暮吉延] 026
ニュルンベルク裁判の成立
東京裁判の展開
裁判集結から戦犯釈放へ
東京裁判の主な争点
今後の取り組み
文献案内
日本政府の歴史認識問題[東郷和彦] 036
はじめに
極東国際軍事裁判から日中共同声明まで
政治問題としての歴史認識問題の顕在化
村山談話の意義
戦後七〇年 安倍談話のゆくえ
文献案内
植民地支配――朝鮮・台湾を中心に[吉澤文寿] 048
1 植民地化及び植民地支配の経過
初期の植民地統合
「民族自決」のうねりと統治方式の「転換」
戦時体制下の植民地――「皇民化」と動員
2 戦後処理――残された課題は何か
平和条約と請求権をめぐる交渉過程
朝鮮半島をめぐる請求権問題
文献案内
靖国神社公式参拝[石井明] 059
靖国神社の今
東京招魂社から靖国神社へ
敗戦直後の靖国神社――存続のための模索
靖国神社の「復権」の動き
公式参拝への道
中曽根首相の公式参拝
続く現職首相の参拝
文献案内
従軍慰安婦[波多野澄雄] 070
軍慰安所の広がり
慰安婦問題の浮上と加藤談話
河野談話とアジア女性基金
人権問題としての国際的展開
揺れる河野談話
慰安婦問題をめぐる論争
文献案内
南京虐殺事件[笠原十九司] 082
南京虐殺事件とは
歴史事実はどのように解明されてきたか
戦後処理としてどう裁かれたか
南京事件をめぐる裁判訴訟とその結果
家永教科書裁判
名誉毀損裁判
なぜ南京事件の記憶・認識が国民に共有されないのか
文献案内
教育・歴史教科書問題[王 雪萍] 092
戦後の教科書問題の発端としての戦前の教育
家永教科書裁判とその影響
国際問題としての歴史教科書問題の勃発
新たな問題と今後の対策
FAQ
文献案内
領土問題と歴史問題[東郷和彦] 105
領土問題の三つの側面
北方領土問題
竹島問題
尖閣諸島問題
文献案内
戦争賠償[倉沢愛子] 115
日本の非軍事化と当初の賠償方針
冷戦の開始に伴い賠償緩和方針へ転換
賠償請求国
賠償交渉の開始
賠償は先行投資
賠償協定の締結
何に使われたか?
賠償の経済的効果
その他の国々への償い
ODAのひな型に
償いは完了したのか?
文献案内
平和条約体制と戦後補償[Roh Daniel] 127
平和条約体制
戦後補償訴訟
日中韓の連携
文献案内
在日コリアン問題[田中宏] 139
戦後の起点
未完の占領改革
在日コリアンの国籍はどうなったか
日韓条約ではなく、難民条約によって
日韓条約ニ五年後の「覚書」
朝鮮学校差別、「日朝平壌宣言」、ヘイトスピーチ
文献案内
II 加害・被害と補償 149
原爆と終戦[長谷川毅] 150
原爆と終戦に関する論争
ポツダム会議直前の各国のジレンマ
ポツダム
原爆投下、ソ連参戦と日本降伏
国体の定義と終戦の経緯
文献案内
日米終戦――天皇の地位と日米関係[東郷和彦] 156
ポツダム宣言受諾と「国体護持」
天皇の不訴追
「無条件降伏」言説の流布
文献案内
昭和天皇の戦争責任[保阪正康] 160
曖昧な「天皇の戦争責任」という語
「戦争」と「責任」を分けて考える
戦争責任に対する昭和天皇の心理
文献案内
米国の占領政策――検閲と宣伝 [加藤哲郎] 166
敗戦から占領へ
CCDの検閲とCIEの宣伝
文献案内
強制連行・強制労働[外村大] 172
強制連行・強制労働の事実
戦後処理
現在にいたる問題
今後の取り組み
文献案内
細菌・化学兵器の被害・大量遺棄・処理[松村高夫] 179
細菌兵器開発と細菌戦実施
毒ガス研究・製造と毒ガス戦
毒ガス兵器の大量遺棄と被害
日本国内の毒ガス被害
文献案内
重慶大爆撃[前田哲男] 185
重慶市への空爆作戦
無差別爆撃の実態
進む新たな調査と訴訟
文献案内
華僑粛清〈シンガポール、マレー戦線〉 [高嶋伸欣] 189
軍命による計画的組織的虐殺
決着のついていない犠牲者数と補償
文献案内
ロームシャ(労務者)動員[中原道子] 193
東南アジアにおける「ロームシャ」
マラヤ占領と「ロームシャ」
泰緬鉄道建設とロームシャ
その後のロームシャ
文献案内
英軍俘虜・抑留者[小菅信子] 199
事実認定
戦後処理
現在の問題
和解への道
文献案内
BC級戦犯裁判[戸谷由麻] 205
概要
裁判の実情
BC級法廷における責任論
文献案内
サハリン残留韓国・朝鮮人問題[髙木健一] 211
問題の核心
一時帰国への道
永住帰国への模索
補償と未払金問題
文献案内
在外被爆者問題[市場淳子] 217
在外被爆者とは
在外被爆者の前史
(1)在韓被爆者の対日補償請求闘争
(2) 在米被爆者の対米政府活動
(3) 棄民された在ブラジル被爆者
被爆者援護法と在外被爆者裁判
日本政府の用いる「在外被爆者」とは
在韓被爆者と損害賠償請求権
在外被爆者からも除外された在朝被爆者
文献案内
朝鮮人・台湾人元日本兵の補償――皇軍兵士にされた植民地出身者[光信一宏] 224
援護年金・恩給における国籍差別
差別を許容した裁判所
特別立法の問題点
文献案内
日朝歴史問題[和田春樹] 228
日本と朝鮮北部――侵略の歴史
日韓会談の開始と日朝交渉拒否
日朝交渉の開始
拉致問題の極大化
文献案内
在外財産補償問題[浅野豊美] 233
敗戦後、置き去りにされた在外財産
在外財産補償要求運動よ発生
引揚者特別交付金支給法の制定
文献案内
復員・引揚げ(留用・残留日本人・遺骨収集を含む) [浜井和史] 239
軍人・軍属の復員
一般邦人の引揚げ
留用と残留日本人
遺骨収容の取組み
文献案内
戦災被害補償問題と「受忍論」[波多野澄雄] 245
戦没者追悼・慰霊[中野聡] 248
問題の設定
海外日本人戦没者慰霊の戦後史
慰霊と和解
風化する慰霊
文献案内
シベリア抑留補償[富田武] 254
抑留中の労働は有償
戦後に捕虜所属国補償へ
全抑協に始まる国家補償裁判
相次ぐ敗訴から立法運動へ
あらためて抑留補償を問う
文献案内
おわりに――サンフランシスコ講和体制と「歴史問題」[二〇一五年五月 波多野澄雄] [261-265]
資料一覧 [4-21]
執筆者紹介 [1-3]
コラム
日韓・日中歴史共同研究[波多野 澄雄] 046
韓国併合無効論[吉澤文寿] 058
「靖国懇」[石井 明] 069
千鳥ヶ淵戦没者墓苑[石井 明] 069
アジア女性基金[和田春樹] 080
近隣諸国条項[波多野 澄雄] 102
平和友好交流計画とアジア歴史資料センター[波多野 澄雄] 103
終戦五〇年国会決議[波多野 澄雄] 104
台湾確定債務問題[吉澤文寿] 125
インドネシア兵補補償[倉沢愛子] 125
戦後補償裁判[波多野 澄雄] 137
花岡和解[波多野 澄雄] 178
被爆者援護法[市場 淳子] 224
ハバロフスク裁判[富田 武] 223