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『世界史の中のパレスチナ問題』(臼杵陽 講談社現代新書 2013)

著者:臼杵 陽[うすき・あきら] (1956-) 中東地域研究。
NDC:227.9 イスラエルパレスチナ

 

『世界史の中のパレスチナ問題』(臼杵 陽):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部

世界史の中のパレスチナ問題 (講談社現代新書)   
  

世界史の中のパレスチナ問題 (講談社現代新書)

      
 


【目次】
はじめに [003-014]
  パレスチナという土地をめぐる政治的紛争
  ユダヤ民族が建設した「国民国家
  現状は「泥沼化」
  ヨーロッパ・キリスト教社会が生んだユダヤ人問題
  本書の構成
目次 [015-024]

 

第一部 パレスチナという場所 025
第1講 パレスチナという地域とその宗教と言語 026
  「カナン」は約束の地
  イスラエルと戦った民族
  歴史的シリアの南部地域
  中東の心臓部
  三つの一神教の聖地エルサレムを抱え込んでいた
  アラブ連盟加盟国
  イスラーム協力機構
  スンナ派ムスリムが多数派
  アラビア語を話しているユダヤ教徒
  「ヘブライ語を話しているユダヤ教徒」に変身
  アラビア語を話しているキリスト教
  ギリシア正教
  ネストリウス派キリスト教
  ユニエート教会の信徒はローマ・カトリック教徒
  プロテスタント諸派
  「モザイク」のような多文化・多民族社会
  エルサレム問題の重要性

 

第2講 ユダヤ教から見たキリスト教反ユダヤ主義の起源 053
  「宗教」がどのように政治的に動員されるか
  ユダヤ教徒エルサレム
  アブラハムの息子イサクをめぐる物語
  ユダヤ教は啓示宗教
  ユダヤ教の啓典は「タナフ」
  成文律法である聖書と口伝律法
  民族宗教と呼ばれるユダヤ教世界宗教と分類されるキリスト教
  誰がイエスの処刑を求めたか
  イエスを十字架刑に処した理由
  「異邦人」への宣教が決定づけられた
  ユダヤ教を教義的に否定するキリスト教
  ユダヤ教からの継承ではイスラームの方が忠実
  「イエス・キリスト殺しのユダヤ人」と「過越祭」
  ユダヤ教徒への差別・迫害

 

第3講 イスラームから見たユダヤ教キリスト教 075
  イスラームとは「アッラーへの絶対服従
  アラビア語の造語法
  シャハーダを宣誓する
  イスラームは起源と継承をアブラハムに求める
  人類が同胞であるという普遍性
  「イスラームの家」と「戦争の家」
  ムスリムの義務としての五行と六信
  ジハードの原義は「努力する」
  「コーランか、剣か、貢納か」の三択
  スンナ派シーア派
  ウンマの指導者が争点

 

第4講 ヨーロッパ対イスラーム――「一四九二年」という転換点 097
  ヨーロッパのイスラーム世界包囲網
  十字軍を機にユダヤ教徒はヨーロッパの「内なる敵」に
  十字軍国家の成立と滅亡
  サラーフッディーンエルサレム奪還
  十字軍が行った聖所独占と暴虐行為
  ユダヤ教徒虐殺問題
  中世キリスト教社会のユダヤ教徒嫌悪
  ゲットーへの居住を強制する勅書の発布
  「大航海時代」のヨーロッパ世界とイスラーム世界
  「一二世紀ルネサンス」で起きた翻訳運動
  スファラディームとアシュケナジー
  ディアスポラのイメージの変化
  「ガルート」をめぐる思想

 

第5講 オスマン帝国と東方問題 116
  オスマン帝国の絶頂と衰退
  帝国内の三大ミッレト
  分離・独立を促進した特権制度
  特権制度が変質した「不平等条約
  オスマン帝国をめぐる「東方問題」
  「東方問題」最大の事件は「露土戦争
  「東方問題」はヨーロッパ列強からは「外交問題
  現代アラブ政治に結びつく四つの事件
  エルサレムの属する行政区の再編
  イギリスはパレスチナではユダヤ教徒を支援
  ヤング領事によるパレスチナユダヤ教徒調査
  ユダヤ教徒への宗教的愛着
  ユダヤ教徒復興論とは「前千年王国説」
  キリスト教徒の居住区の成立


第二部 列強の対立に翻弄されるユダヤ人とアラブ人 141

第6講 帝国主義時代の宗教、民族、人種 142
  植民地支配を正当化する論理
  「西洋の衝撃」では一方的理解に
  ユダヤ教徒キリスト教徒と「市民」として平等
  ユダヤ人解放と国民国家の形成
  「反ユダヤ主義」の由来は「反セム主義」
  社会進化論優生学
  ポグロムが契機、パレスチナへのユダヤ人移民
  シオニズムの起源はユダヤ啓蒙主義運動
  政治的シオニズム
  実践的シオニストと労働シオニズム
  社会主義シオニズム
  宗教シオニズムの考え方
  イスラームの近代
  イスラーム改革運動を継承した人たち
  アラブの二つのナショナリズム
  シオニズムとアラブ・ナショナリズム衝突の予言
  イスラームとアラブ・ナショナリズムの結合
  アラブ・ナショナリズムへの期待の消滅

 

第7講 第一次世界大戦パレスチナ委任統治 170
  中東地域の主権国家への分断
  イギリスの「三枚舌」外交
  大きな政治的禍根、バルフォア宣言
  サイクス・ピコ秘密協定
  達成されなかったアラブ統一国家独立の夢
  バルフォア宣言をめぐる論争
  ロイド=ジョージ首相の反ユダヤ主義
  「アラブ対ユダヤ」という新たな「民族」的対立
  「ユダヤ人」か「それ以外の人びと」か
  民族対立が固定化する〈場〉
  委任統治は新たな「植民地支配」
  ヨルダン川東西両岸
  イラクという人工国家
  アラブ人の反乱
  アラブ側に宗教行政機関設立
  ユダヤ教側にも首席ラビ庁設置
  嘆きの壁事件で破綻した宗教を越えた共存
  パレスチナ分割を提言したピール報告
  事実上のバルフォア宣言破棄
  ナチス占領下、ユダヤ人は避難先を失った

 

第8講 第二次世界大戦と国連パレスチナ分割決議案 201
  イギリス、アラブ諸国との関係強化に
  アラブ、ユダヤが出席するロンドン円卓会議の提案
  イギリス省庁もパレスチナ分割案を撤回に
  ロンドン円卓会議の決裂
  「宥和政策」による「平和」崩壊
  反英姿勢でアメリカに支援を求めたシオニスト
  シオニストに同情的だったチャーチル
  修正主義シオニストの反英武装闘争
  労働シオニストと修正主義シオニストの対立
  パレスチナユダヤ社会、分裂の危機に
  シオニストのディレンマ
  パレスチナ問題の解決を国際連合に委託
  国連パレスチナ分割決議案
  エルサレムの帰属をめぐる対立
  第一次中東戦争勃発
  日本のユダヤ政策
  満州へのユダヤ難民移住計画

 

第9講 イスラエル国家建設とナクバ 226
  イスラエル建国を読み直す動き
  アラブ政府首脳暗殺事件
  パレスチナ・アラブ住民の避難民の波
  避難民が難民化するプロセス
  富裕層の避難で、パレスチナ社会は機能不全に
  パレスチナ・アラブ住民の崩壊感覚
  シオニスト軍事攻勢の影響
  避難民の故郷への帰還は事実上不可能
  新生イスラエル政府と住民の帰還問題
  イスラエル世論は避難民の帰還を拒否
  アラブ諸国イスラエルと休戦協定
  トランスヨルダンと難民化
  シオニストとアブドゥッラーの関係
  シオニストとトランスヨルダンの良好な関係
  イギリスの目論見
  大シリア国家構想阻止が狙い

 

第10講 アラブ・イスラエル紛争の展開 253
  イスラエル建国と「中東戦争
  大英帝国、中東地域での覇権の維持
  米ソ冷戦とアラブ・イスラエル紛争
  国際政治学的議論
  アラブ諸国イスラエル秘密和平交渉が白日の下に
  イギリスの「大トランスヨルダン」政策
  英軍のスエズ運河地帯駐留とアラブ・イスラエル紛争
  イラクの秘密工作
  イラクとエジプトの相違点
  バグダード条約加盟をめぐるアラブ諸国の分裂
  アメリカのアルファ計画
  アラブ世界の分極化と英米関係
  イスラエルは軍事的報復を抑制
  ベングリオンとシャレットの対立
  イスラエルアメリカから武器供与がないことを確認
  イスラエルとフランス


第三部 「アメリカの平和[パクス・アメリカーナ]」の終わりの始まり 277

第11講 第三次中東戦争以降のパレスチナ問題とイスラエル 278
  イスラエルの大勝利

  イスラエル社会の変化
  アラブの敗北はイデオロギー的な敗北
  「アラブ・イスラエル紛争のパレスチナ化」の始まり
  ヨルダンの「黒い九月」事件
  PLOは国家と同等の地位に
  エジプトのイスラエル奇襲作戦成功
  石油戦略と過激な宗教的政治運動
  エジプト・イスラエル平和条約締結
  イスラエル軍レバノン侵攻
  PLOとヨルダン和解
  ヨルダン川西岸・ガザの重要性
  インティファーダの一少年の姿
  パレスチナ独立国家樹立宣言
  トルーマンの強引なイスラエル建国支持
  アメリカとイスラエルの「特別な関係」強化
  世界史を変えた三つの事件
  イラン・イラク戦争
  ソ連アフガニスタン侵攻

 

第12講 冷戦終焉後の中東和平の挫折 306
  「二つの戦後」の帰結から
  湾岸危機勃発
  アラファートのイラク支持という大失策
  イスラエルアジア外交転換期
  イスラエル・ヨルダン平和条約締結
  イスラエルPLOの相互承認
  オスロ合意に基づくパレスチナ暫定自治
  イスラエル首相公選と最終的地位交渉
  パレスチナ人の状況と居住地域
  パレスチナ人の分類
  エルサレム帰属問題とパレスチナ人帰還権問題
  離散パレスチナ人にあるPLOの正当性
  オスロ合意の問題点
  イスラエルオスロ合意への反対勢力
  ハマースも和平に反対
  深まるイスラエルパレスチナの対立
  イスラエルエルサレム妥協案を受け入れる
  第二次インティファーダ勃発

 

第13講 九・一一事件後のパレスチナイスラエル紛争 333
  「九・一一事件は世界を変えた」
  アメリカの「対テロ戦争」論理への反応
  イスラモファビアという社会現象
  「大国」はアメリカに歩調を合わせる
  ビン・ラーディンの声明の世界的影響
  イスラエル軍の議長軟禁、ハマース攻撃
  アメリカ軍のイラク攻撃、フセイン政権崩壊
  シャロン首相、「分離壁」の建設開始
  ハマース圧倒的勝利
  パレスチナ自治政府、事実上の分裂へ
  ファイヤード首相のパレスチナ経済戦略
   I M Fはパレスチナ自治政府の財政改革を称賛
  ガザの「トンネル経済」
  イスラエル新政権の試金石、レバノン問題
  イスラエル国防軍、ガザ軍事攻撃
  トルコ、代表的イスラーム国家に

 

第14講 アラブ革命とパレスチナ問題の現状 359
  民主化を求めた「アラブ革命」
  「アラブの春」はアラブ世界では「イスラームの春」
  ホブズボームが語るアラブ革命の「失敗」
  一八四八年革命と「歴史なき民」
  チュニジア青年の焼身自殺
  期的にはアラブ革命は「新市民革命」か
  ヨーロッパ中心史観の克服が前提
  ファタハとハマースの和解
  パレスチナ住民のデモとシリア情勢
  オバマ大統領が発言した国境線
  パレスチナ国連加盟を求める申請書提出
  国連総会でアメリカ拒否権発動
  覇権国家アメリカの凋落
  「イスラエル・ロビー」の存在
  ユダヤ人国家への英米の対応の差
  「特別な関係」がアメリカの否定的イメージを決定
  アメリカとイスラエル市民が共有する目標と利益
  エルサレムパレスチナへの「思い入れ」
  『イノセント・アブロード――聖地初巡礼の旅』
  アラブ諸国アメリカの自由と民主主義に好意的
  パレスチナ問題解決への模索

 

第15講 パレスチナ問題と日本 390
  日本人のパレスチナ認識の出発点
  島地黙雷聖墳墓教会体験
  日本人キリスト者徳冨蘆花の意見書
  柳田國男パレスチナ訪問計画
  シオニズム運動への関心の高まり
  パレスチナでのシオニスト活動への評価
  反ユダヤ主義と親ユダヤ主義の両義的認識
  日本政府のユダヤ難民問題
  ユダヤ排斥論の席巻
  主権回復後、イスラエルを承認
  PFLP日本赤軍合流
  欧米経由の聖地認識

 

おわりに(二〇一二年八月吉日 目白台の研究室にて 臼杵 陽) [411-415]
今後の読書案内のための文献一覧 [416-423]