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『日本サブカルチャーを読む――銀河鉄道の夜からAKB48まで』(押野武志[編著] 北海道大学出版会 2015)

編者:押野 武志[オシノ・タケシ] (1965-) 日本近代文学表象文化論
著者:西田谷 洋[ニシタヤ・ヒロシ](1966-) 日本近代文学
著者:水川 敬章[ミズカワ・ヒロフミ](1978-) 日本近現代文学・文化。
著者:千田 洋幸[チダ・ヒロユキ](1962-) 日本近現代文学、現代文化、国語教育。
著者:竹本 寛秋[タケモト・ヒロアキ](1973-) 日本近代文学、日本近代詩。
著者:諸岡 卓真[モロオカ・タクマ](1977-) 日本近現代文学(ミステリ)、現代視聴覚文化(ビデオゲーム)。
著者:岩川 ありさ[イワカワ・アリサ](1980-) 日本現代文学クィア批評、トラウマ研究。
著者:佐藤 亮[サトウ・リョウ](1986-) 日本近現代文学
著者:横濱 雄二[ヨコハマ・ユウジ](1972-) 日本近現代文学、現代視聴覚文化。
著者:榊 祐一[サカキ・ユウイチ](1968-) 日本近代文学・文化、現代視聴覚文化(ビデオゲーム、アニメーション)。
著者:柳瀬 善治[ヤナセ・ヨシハル](1969-) 日本近代文学、文学・文化理論。
NDC:361.5 社会学 >> 文化
件名:サブカルチャー


北海道大学出版会 日本サブカルチャーを読む [978-4-8329-3389-7] - 3,080円 :


【目次】
目次 [i-vii]


はじめに――日本サブカルチャーを読むための史的展望 001
  一 本書の目的  001
  二 日本におけるサブカルチャーの定義  002
  三 対抗文化としてのサブカルチャー  005
  四 一九七〇年代のサブカルチャー  007
  五 カルチャー/サブカルチャーの境界の消滅  013
  六 日本文化論とサブカルチャー ―― 一九八〇年代以降の展開  014
  七 サブカルチャー批評の現在  020
  八 本書の構成  022


  I サブカルチャーの多様な展開 

セカイ系文学の系譜――宮沢賢治からゼロ年代へ〔押野武志 031
  一 セカイ系文学とは何か  031
  二 賢治の世界認識  034
  三 「世界」から「セカイ」へ  041
  四 サブカルチャーとしての賢治  050
  五 セカイ系文学の射程  055


山川直人100%の女の子』における合成の機能――村上春樹の原作小説との対照〔西田谷 洋〕 061
  一 はじめに  061
  二 合成される『パン屋襲撃』  064
  三 潜勢的なものの現勢化への抵抗  067
  四 潜勢性と現勢性の対立の強化  073
  五 レイヤーのコンポジティングと未了  075


食堂かたつむり』試論――倫子のイメージをめぐって〔水川敬章〕 081
  一 はじめに――自然派ワインを導きに  081
  二 強くて可愛い娘の物語――小説『食堂かたつむり』  085
  三 可愛い呆けた娘の物語――映画『食堂かたつむり』  092
  四 小説への接近――絵本『りんごさんとるりこさん』とマンガ『食堂かたつむり』  097
  五 おわりにかえて――倫子を回帰させる『食堂かたつむりの料理』  101


生と死の狭間で歌う少女――AKB48から美空ひばりへ、リン・ミンメイへ〔千田洋幸〕 107
  一 アイドルの記憶装置としての『Show must go on』  107
  二 焦土に歌う美空ひばり  109
  三 死を呼び寄せるアイドル、リン・ミンメイ  115
  四 “死の天使” ぱるるの誕生  120


ドライビングゲームにおいて、いかにして「物語」はマウントされるのか、あるいはされないのか〔竹本寛秋〕 129
  一 問題設定  129
  二 「物語」としてのドライビングゲーム――アーケードゲームからコンシューマゲームへ  133
  三 『首都高バトル』が拡張した「プレイ経験」の質  138
  四 二重の「プレイ経験」としての『グランツーリスモ』  142
  五 『Forza Motorsport』における「プレイ経験」の継承と展開  148
  六 おわりに  152


  II キャラクターから複数の物語へ 

〈操り〉という亡霊――東川篤哉『ここに死体を捨てないでください!』〔諸岡卓真〕 157
  一 ユーモアミステリと〈操り〉  157
  二 〈操り〉の拡張  159
  三 〈操り〉の逆説  160
  四 〈操り〉の崩れ  164
  五 連鎖する勘違い  166
  六 必然としての偶然  169
  七 事件の真相  172
  八 〈操り〉という亡霊  174
  九 〈操り〉の誘惑  177


pixivという未来―― 「クィアアダプテーション」としての二次創作〔岩川ありさ 181
  一 pixivとジェンダー  181
  二 「タグ」がつなぐオルタナティブな物語  184
  三 「祈り」としての二次創作  186
  四 「クィアな再解釈」の可能性  190
  五 「腐女子ヘイト」という問題系  193
  六 pixivという未来  194


〈関係〉を書くことの可能性――百合小説・中里十『君が僕を』論〔佐藤 亮〕 201
  一 はじめに  201
  二 「百合」というジャンル  203
  三 ジャンルの問題  205
  四 中里一の百合論  207
  五 『君が僕を』論(1) ――枠組みと混交性  210
  六 『君が僕を』論(2) ――解けない問いをめぐって  212
  七 『君が僕を』論(3) ――構造の解明と解明不可能な謎  215
  八 『君が僕を』論(4) ―― 二つの終わり  218
  九 おわりに 220


ミステリとライトノベル――谷川流涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズにおける物語世界の構成〔横濱雄二〕 223
  一 物語世界の表象  223
  二 物語世界の動態  228
  三 物語世界の操作可能性  233
  四 物語世界の駆動力  238
  五 物語世界の複数性  241
  六 物語世界の代補と代表  245


  III サブカルチャーを理解するための新たな枠組み 

物語としてのゲーム/テレプレゼンスとしてのゲーム―― 『バイオハザード』を例として〔榊 祐一〕 253
  一 はじめに  253
  二 理論的考察  255
  三 『バイオハザード』の分析(1) ――物語の水準に注目して  262
  四 『バイオハザード』の分析(2) ――プレイ経験に関わる水準に注目して  268
  五 おわりに  278


サブカルチャー批評の現在と未来―― 三・一一以後のサブカルチャー批評は何を表象すべきなのか〔柳瀬善治〕 287
  一 はじめに  287
  二 原爆とメディア―― 三島・ハイデガー・データベース  288
  三 サブカルチャー批評における歴史的反復の問題  291
  四 「資本主義の逆説的な帰結」としての「(偽の)崇高」  295
  五 他者に開かれた「崇高」あるいは「絶対的退屈」からの開口部  300
  六 「スーパーフラット」を読み替える――「襞」=「空隙」としてのフラット  304
  七 「平滑空間」としてのサブカルチャーあるいは「死者」と「未生の分子」をめぐる〈線〉  311
  八 おわりに 「倫理的な形象の出現」と「接合可能性」―― 三・一一以後のサブカルチャーは何を表象すべきか  315


あとがき――戦前期の大衆文学論に触れながら(二〇一五年二月二四日 押野武志) [319-326]
初出一覧 [327-328]
執筆者紹介 [329-332]
人名索引 [1-7]





【メモランダム】
・執筆者略歴を転載。

押野 武志(オシノ タケシ)
1965年、山形県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。北海道大学教授。専門は日本近代文学表象文化論。著書に『宮沢賢治の美学』(2000年、翰林書房)、『童貞としての宮沢賢治』(2003年、ちくま新書)、『文学の権能――漱石・賢治・安吾の系譜』(2009年、翰林書房)、共編著に『日本探偵小説を読む――偏光と挑発のミステリ史』(2013年、北海道大学出版会)、『コレクション・モダン都市文化 第88巻 札幌の都市空間』(2013年、ゆまに書房)など。


西田谷 洋(ニシタヤ ヒロシ)
1966年、石川県生まれ。金沢大学大学院社会環境科学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。富山大学人間発達科学部教授。専門は日本近代文学。著書に『語り 寓意 イデオロギー』(2000年、翰林書房)、『認知物語論とは何か?』(2006年、ひつじ書房)、『政治小説の形成』(2010年、世織書房)、『新美南吉童話の読み方』(2013年、双文社出版)、『文学理論』(2014年、ひつじ書房)、『ファンタジーイデオロギー――現代日本アニメ研究』(2014年、ひつじ書房)、『テクストの修辞学』(2014年、翰林書房)など。


水川 敬章(ミズカワ ヒロフミ)
1978年、岡山県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。愛知教育大学助教。専門は日本近現代文学・文化。論文に「サド裁判論――澁澤龍《彦》の戦術とその意義をめぐって」(『日本近代文学』2009年5月)、「太宰治、リパッケージ そして、『嫌われ松子の一生』」(『季刊iichiko』2010年7月)など。


千田 洋幸(チダ ヒロユキ)
1962年生まれ、岩手県出身。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了、立教大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。東京学芸大学教授。専門は日本近現代文学、現代文化、国語教育。著書に『テクストと教育―― 「読むこと」の変革のために』(2009年、溪水社)、『ポップカルチャーの思想圏――文学との接続可能性あるいは不可能性』(2013年、おうふう)、共編著に『村上春樹と一九八〇年代』(2008年、おうふう)、『村上春樹と一九九〇年代』(2012年、おうふう)など。


竹本 寛秋(タケモト ヒロアキ
1973年、北海道生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。鹿児島県立短期大学准教授。専門は日本近代文学、日本近代詩。論文に「山村暮鳥の〈戦後〉」(『人文』2013年8月)、「「風景」は雑誌ではない――山村暮鳥と詩雑誌『風景』」(『雲』2010年9月)など。


諸岡 卓真(モロオカ タクマ)
1977年、福島県生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。北海道情報大学准教授。専門は日本近現代文学(主にミステリ)、現代視聴覚文化(主にビデオゲーム)。著書に『現代本格ミステリの研究――「後期クイーン的問題」をめぐって』(2010年、北海道大学出版会)、共編著に『日本探偵小説を読む――偏光と挑発のミステリ史』(2013年、北海道大学出版会)など。


岩川 ありさ(イワカワ アリサ)
1980年、兵庫県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程在籍。立教大学文教大学都留文科大学ほか非常勤講師。専門は日本現代文学クィア批評、トラウマ研究。論文に「「痛み」の認識論の方へ――文学の言葉と当事者研究をつないで」(『現代思想』2011年8月)、「境界の乗り越え方――多和田葉子『容疑者の夜行列車』をめぐって」(『論叢クィア』2012年11月)、「「セルフポートレート」の方へ――「イケメン」をめぐるポリティクス」(『ユリイカ』2014年9月)など。


佐藤 亮(サトウ リョウ)
1986年、宮城県生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程在籍。専門は日本近現代文学。論文に「村上春樹レキシントンの幽霊」論:反復される集約:幽霊、犬、コレクション」(『日本近代文学会北海道支部会報』2013年5月)など。


横濱 雄二(ヨコハマ ユウジ)
1972年、北海道生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。甲南女子大学准教授。専門は日本近現代文学、現代視聴覚文化。共著に『天空のミステリー』(2012年、青弓社)、『日本探偵小説を読む――偏光と挑発のミステリ史』(2013年、北海道大学出版会)など。


榊 祐一(サカキ ユウイチ
1968年、福岡県生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。台湾・南臺科技大學應用日語系助理教授。専門は日本近代文学・文化、現代視聴覚文化(主にビデオゲーム、アニメーション)。共著に『ヴィジュアル・クリティシズム――表象と映画=機械の臨界点』(2008年、玉川大学出版部)、論文に「明治十年代末期における「唱歌/軍歌/新体詩」の諸相」(『日本近代文学』1999年10月)、「ビデオゲーム/物語/テレプレゼンス」(『層――映像と表現』2008年8月)など。


柳瀬 善治(ヤナセ ヨシハル)
1969年、三重県生まれ。広島大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。台湾・靜宜大學外語學院副教授。専門は日本近代文学、文学・文化理論。著書に『三島由紀夫研究――「知的概観的な時代」のザインとゾルレン』(2010年、創言社)、共著に『近代の夢と知性』(2000年、翰林書房)、『戦間期東アジアの日本語文学』(2013年、勉誠出版)、共訳に『グラウンド・ゼロを書く』(J・W・トリート著、2010年、法政大学出版局)など。