著者:武藤 泰明[むとう・やすあき](1955-) スポーツのマネジメント。
NDC:780 スポーツ、体育。
【目次】
目次 [003-010]
序章 011
1.はじめに 011
(1)成功と停滞
(2)マクロ、メゾ、ミクロ
2.本書が取り扱う範囲 016
第I章 プロスポーツのファイナンスの特性 019
第1節 プロスポーツチームの資金の流れ 020
1.収入の多様性
○マイクロ・コングロマリット
2.非営利性?
○営利とは何か
○非営利的な株式会社
○スポーツは非営利でよいか
3.収支構造の問題点
○収支均衡
○財務管理の難易度の高さ
○支出の硬直性
[TOPIC] リーグ戦型ビジネスモデル、ゴルフトーナメント型ビジネスモデル
第2節 情報開示 028
1.競技別の開示状況
2.情報開示の目的
○Jリーグのチーム経営情報開示
○仲間を増やす
○企業スポーツの問題点
第3節 株主 033
1.株主構成
○自己資本比率と負債
○スポーツの特殊性
○株主の「数」と「類型」
2.オーナーシップと財務行動
○企業スポーツのオーナーシップ
○プロチームのオーナーシップ
○Voice or Exit
○非営利性の問題点
第II章 プロスポーツと株式上場 041
第1節 イングランド各チームの上場の経緯 042
○放送権料の高騰
○チームの価値をスポンサーが決める
1.ヒルズボロの悲劇とスタジアム改修
[TOPIC] インフレとチケット価格
2.BスカイBによる放送権の獲得
○フットボールリーグの低迷
○離脱とプレミア創設
3.上場とM&A、上場廃止、再上場
○チームではなく持株会社を上場
[TOPIC] 戦力均衡と昇降格
○M&Aと上場廃止
[TOPIC] イングランドサッカーチームのサポータートラスト
第2節 マンチェスター・ユナイテッドの再上場 053
1.のれん代、クラブライセンス制度、ファイナンシャル・フェアプレイ
○有力チームの「のれん代」
○クラブライセンス
2.マンチェスター・ユナイテッドの「種類株式による再上場」
[TOPIC] 種類株式
第3節 ドイツの現状と展望 057
1.ブンデスリーガ所属チームは公益法人
○バルセロナは相互会社
○ドイツ・サッカーチームの発生過程
○スポーツクラブが増えたのは最近である
○高い組織化率
○総合型は実は少ない
2.51%ルール
○FCバイエルンは株主に配当している
3.今後の展望
○上場と支配権の維持
○子会社株式上場と少数株主問題
第4節 日本の現状と展望 065
1.新興市場の上場基準
2.リーグ規約との整合性の問題
○外国人による所有の禁止
○ややアバウトなルール
○外国人オーナーを禁止すると上場できない
○株式異動についての理事会承認
3.ビジネスモデル
○強化投資の見返りがない
4.今後の展望
○地域密着原理は1つではない
○外国人オーナーは登場するか
5.補論:ホッフェンハイムの成功例から
○予見可能性
○オーナーの「新陳代謝」
○トップリーグへの直接参入
第III章 スポンサーとメディアからみたスポーツ組織の投資価値 081
第1節 協賛金と放送権料は「投資」である 082
1.広告費、コンテンツ、視聴率の関係
○スポット広告のスポンサー
○バラエティ番組のスポンサー
2.スポーツ・スポンサードはバラエティ型
3.ポストシーズンマッチ、カップ戦の効果
4.競技団体スポンサー
5.放送権料の性格
○チームが受け取る放送権料、リーグが受け取る放送権料
○無料放送の放送権料
○エージェント(仲買人)と放送権料の高騰
○有料放送の価格決定とリスク
○エージェントの破綻
第2節 欧州プロサッカーのビジネスモデル 092
1.投資機会としてのUEFAチャンピオンズリーグ・ヨーロッパリーグ
○UEFAチャンピオンズリーグ
○UEFAヨーロッパリーグ
2.テレビ視聴環境
○欧州は国ごとの人口が少なく、言語が多様
○国内の多言語化
[TOPIC] 日本の放送権料はなぜ低いのか
第3節 視聴率から見た投資価値の計算 101
1.基本概念の整理
○2014ブラジル・ワールドカップの放送権料は割高か
○視聴率と視聴人口
○テレビ広告費とチーム・スポンサー料の比較
[TOPIC] 欧州サッカーのユニフォームスポンサー料
2.テレビ放送によるスポンサー価値の向上
[TOPIC] ボスマン判決とチャンピオンズリーグ視聴率
3.Jリーグの放送権料を評価する
○有料放送の広告価値換算
○有料視聴者の負担額
○地上波で必要な視聴率の計算
○都道府県あるいはチームごとの視聴率
○J1のほうが視聴率が高いと仮定した場合の試算
○地域(都道府県)別放送権料
4.地上波無料放送に必要な視聴率
○視聴人口からの検討
○視聴人口の獲得競争
第4節 新興国市場の価値 129
1.放送権料の配分方式とその背景
○国内は均等、国際試合で格差がつく
2.海外放送権料
○イングランドとスペインの海外放送権料収入が多い理由
○BOP(Base of Pyramid)
○アフリカ?
第IV章 スタジアム・ファイナンス 141
第1節 誰がスタジアムを建設するのか 142
1.3つのキャッシュフロー
2.日本の課題状況
○二元論を超えて
3.スタジアム建設資金の出し手
[TOPIC] ガンバ大阪の新スタジアム
○PFIの限界
○地域間競争と集客施設の必要性
○日本のスポーツの集客力
○資金拠出者としてのプロチーム
第2節 借り入れと返済 149
1.返済の試算
2.他のキャッシュフローについて
○入場料収入の増加
第3節 増資 152
1.MLB型
2.(日本の)企業スポーツ型
3.Jリーグの地域密着型
4.持株会型
○持株会会員は適切な代表を選べるか
○相続人への拠出金の返還:持株会会員は「新陳代謝」する
○資金留保の方法について
○留保金に関する資産
○退会事由の制限
○余資の運用
○チームによる自社株買い
○持株会で「民主主義」は機能するか
5.種類株型
6.公募型
[TOPIC] 株式の譲渡制限
第4節 ネーミングライツ 161
1.米国の命名権ビジネス
2.価格設定の論理
3.日本の命名権ビジネスは遅れているか
○命名権には効果があると認識されている
○日本の命名権の契約額は低くない
○契約期間について
○長期契約のメリットとデメリット
第5節 ラグジュアリースペース 169
1.大相撲
○維持員制度
2.プロ野球(日本)
3.プロ野球(米国)
○ラグジュアリースペースの収入貢献度
4.日米の比較から
○運営管理者が設計段階から関与する
第6節 運動公園から複合商業施設へ 178
1.スタジアムのKFS
○スタジアムは大きくなければならない
2.ブレークスルーは「都市開発」
○総合運動公園の問題点
3.広域回遊:日本的な解決策
○ソウルの1988年と2002年
○立地は変えられない
○ショッピングセンターからスタジアムへ、スタジアムからショッピングセンターへ
第7節 スポーツMICEコンプレックスへ 184
○毎月1回は各都道府県で全国大会が開催されている
○複合化から「メタ複合化」へ
第V章 スポーツ組織の資産価値 187
第1節 資産価値とは 188
1.海外プロスポーツの資産価値
○一般企業との比較
2.資産価値の算定方法
○株価の算定方法
[TOPIC] デュー・ディリジェンスの実際
○EVについて
○EV/EBITDA倍率
3.のれん代
○無形資産
○ケイパビリティ
4.キャッシュフローの重要性
○非営利組織の価値計算
○サッカーチームの価値と利益
5.日本のプロスポーツの資産価値
○営業利益からの検討
○他の方法での計算と確認
○浦和レッズの資産価値は30億円?
○利益が増えると無形資産が大きくなることの解釈
○資産価値はチームを安定的な存在にする
6.リーグがチームの資産価値を高める
○リーグはチームの意志に背反する決定を行う
○試行錯誤の重要性
第VI章 リーグ・ファイナンス 217
第1節 リーグをめぐる論点の整理 218
1.商品としての競争
○リーグ機構とチームにとっての「勝利」の意味の違い
2.戦力均衡を求めるビジネスモデル、格差を容認するビジネスモデル
○サッカーにおけるリーグ機構の主な役割
3.チーム同士の関係:支配、提携、取引、競争、補完、模倣
○全チームによる提携関係
○補完(Complement)
○模倣
4.リーグ機構とチームの関係
○さまざまな外形と役割
○中央集権と分権
○関係の多様性
[TOPIC] 補完(Subsidiarity)か、非フルセット化か
第2節 リーグ機構のマネーフロー 229
1.リーグのブランド価値とオフィシャル・スポンサー
○欧州サッカーと日本の格差は小さい
○NFLのスポンサー料が1000億円である理由
2.リーグ収入の配分
○レベニュー・シェアリング
○昇降格があっても配分が均等に近い理由
3.チームからの収入と分配
4.ファイナンシャル・フェアプレイ
第VII章 非営利スポーツ法人の財務と会計 237
第1節 非営利組織をめぐる制度 238
1.非営利組織の類型
2.「公益」と「一般」への移行
第2節 非営利組織の会計処理の慣行と問題点 241
1.これまでの慣行による問題
2.公益法人の収支の評価と資金管理
○リスク耐性と資金繰り
○収支の事後評価
○プロジェクト・マネジメント
第VIII章 種目別全国団体の財務の実態 251
第1節 スポーツ団体の組織構造 252
1.統括団体
2.種目別全国団体
3.傘下団体
第2節 競技者とチームの登録 258
1.登録者数
○登録人口、競技人口、実施人口
○登録者数の調査結果と推定
2.登録料の配分
3.登録料の使途:対価性をめぐる問題
第3節 スポーツNGBの予算規模 264
1.集計の対象と方法
2.収支の規模
3.法人格による規模の違い
第4節 スポーツNGBの収支構成 268
1.収支の基本的な構造
2.収支それぞれの費目構成
○収入
○支出
第5節 新・公益法人の収支 272
1.収支構造(全体)
○社団法人では法人会計が公益会計をファイナンスしている
2.法人単位の収支構造
用語解説 [278-279]
参考文献 [280]
さくいん [281-286]