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『なぜ心を読みすぎるのか――みきわめと対人関係の心理学』(唐沢かおり 東京大学出版会 2017)

著者:唐沢 かおり[からさわ・かおり] 社会心理学
NDC:361.4 社会心理学


なぜ心を読みすぎるのか - 東京大学出版会


【目次】
目次 [i-iv]


第1章 対人認知を考える視点――他者をみきわめる目 001
1 心を読むことと評価的なまなざし 003
  コラム1 対人認知という研究領域について
  評価と道徳
  心と結びつくことによる評価
2 他者の心を知ろうとすることについて 008
3 なぜ評価が大切なのか 011
  接近と回避
  相互作用の基盤として
4 行動の原因となる心の認知 015
  行動の予測
5 理解をめざすしろうと科学者(心理学者) 017
  しろうと科学者の対人認知
  対人認知のバイアス
  コラム2 認知した他者像が実現する――他者が抱く信念の自己成就 
6 他者をみきわめるための対人認知 022


第2章 性格特性からみる評価の役割 025
  本章の話題
1 評価で印象が決まる 029
  コラム1 アッシュの印象形成研究の詳細 
  コラム2 ケリーの印象形成研究 
2 性格特性を表す言葉のまとまり 033
  暗黙の人格理論
  コラム3 ハロー効果 
  ローゼンバーグらの対人認知次元研究
  コラム4 二次元以外の対人認知次元は? 
3 対人記憶と評価 040
  コラム5 自発的特性推論
  スラルとワイヤーの対人記憶モデル 
4 評価は変わりにくい 046
  コラム6 確証バイアス(confirmation bias)とステレオタイプ的判断 
5 評価的な次元の普遍性――性格特性の二次元との関係 051
  対人認知の二次元
  集団ステレオタイプの二次元
  コラム7 アンビバレントステレオタイプ 
  自己認知の二次元
  コラム8 自己観の文化差と二次元の関係 
6 なぜ人柄と能力が重要なのか 061
  人柄に関する次元の優位性
  他者に利得をもたらす特性・自分に利得をもたらす特性
7 性格特性という道具と「よい―悪い」のみきわめ 068


第3章 行動の原因としての心 069
1 しろうと心理学者の推論 072
  ハイダーの分析――しろうとの因数分解
  コラム1 傾性とは 
2 対応推論理論 075
  非共通効果
  状況・社会的のぞましさ・役割
  コラム2 行動の同定 
3 人か状況か 080
  二分法の効用
4 対応バイアス――心を過剰に読む私たち 084
  ジョーンズとハリスの態度推論実験ロスらの知識推論実験
  対応バイアスは頑健か
5 対応バイアスを生む認知メカニズム 088
  ギルバートの三段階モデル
  認知資源と状況要因の考慮
6 対応バイアスの背景にあるもの 092
  状況の制約についての意識の欠如
  行動に対する非現実的な期待
  状況に同化した行動のカテゴリー化
  特性推論の不十分な修正
7 対応バイアスはバイアスなのか 095
  コラム3 状況の力――アッシュの同調の研究
  バイアスの修正
  コラム4 性格に帰属することのネガティブな効果
  文化差とバイアスの意味
  コラム5 理解の必要と対応バイアス 
8 みきわめようとする目と動機への疑惑 105
9 「人か状況か」ではなく――対応推論の新たな展開 109
  コラム6 パーソナリティとは何か 
10 日常的概念による行動の説明 112
  コラム7 マレの理論の補足
11 多重推論モデル 116
  行動を取り巻く状況から動機の推論へ
  心に関する推論の多重性
  コラム8 ミルグラム服従実験
12 心の推論へ 122


第4章 心の推論方略 125
  本章の話題
  コラム1 動く図形の「心」を知覚する
1 ステレオタイプと理論説 131
  コラム2 カテゴリー情報の優位性――フィスクの連続体モデルとブリューワーの二重処理モデル
2 フォーク・サイコロジーと理論説 134
  心的状態マーカー
  コラム3 理論説と科学者メタファー
3 理論説におけるバイアスの問題 138
4 シミュレーション説 140
  コラム4 自分の心の動きは自分で把握できるのか?――非意識的過程の存在
  自己がデフォルトとなること
5 シミュレーション説におけるバイアスの問題 145
  類似性の過大評価
  ‎コラム5 授かり効果とフリーマーケットにおける売り手・買い手の齟齬
  ‎不十分な調整過程
  ‎「私しか知らないこと」への理解不足
6 どちらのメカニズムが採用されるのか 153
7 他者の心が「正しく推論しがたいこと」をめぐって 155
  適応と推論の正確さ
  「似ている」ことと推論の正確さ
8 心を読むことのもう一つの意味――似た経験の効果から 160
  似た経験の効果
  心を読むこととつながること、みきわめること


第5章 人間としてみる 167
  本章の話題
  コラム1 人間とは何か
1 非人間化と加害・侵害 172
  コラム2 社会的アイデンティティ理論
  道徳的コミュニティからの排除
  非人間化から攻撃への心理
2 人間らしさとは 178
  人間らしさを構成する認知次元
  二つの非人間化
3 モノ化 183
  性的対象としての女性のモノ化
  テクノロジーと非人間化
4 動物化 187
  動物化と感情の付与
  コラム3 IAT(潜在連合テスト)
5 モノ化の機能的側面と権力 194
  権力(パワー)と道具的な対人認知
6 排斥がもたらすもの 198
  コラム4 システム正当化
7 人間らしさの二次元と道徳的立場 203
  人間らしさの二次元との関係
8 人間としての心の知覚と道徳 210


第6章 道徳性の根拠としての心 213
  本章の話題
1 マインド・サーベイ 217
  心の二次元
  コラム1 心の実在性と脳科学の進歩
  日常の中での二次元
  コラム2 言い訳の心理学と意図の推論
2 道徳シナリオと「キャスト」 229
  主体と客体の背反性
3 モラル・タイプキャスティング 232
  個人の中の行為性と経験性の背反性
  背反性の皮肉な結果
  二者関係に対する認知
  コラム3 関係認知の枠組み
  相補性の成立条件
4 二者関係的な道徳の拡張 241
  心を持たない対象への認知――加害による心の知覚
  不在の被害者・加害者を補完する
5 モラル・タイプキャスティングの効用 246
  加害者と被害者を探すことの意味
  コラム4 被害者非難と公正世界信念
6 道徳的な配慮を決めるもの 250
  コラム5 実験哲学
  理性か感情か――それぞれの論点
  実証的研究が示すことがら
7 行為性と経験性の相互依存性 259
  二源泉仮説
  改めて行為性と経験性の効果を考える
8 心の認知と道徳的判断 264


第7章 互いにみきわめあう私たち 267
1 心を読むこと,他者をみきわめること 269
  本章の話題
  心を読むことについて
  みきわめることについて――裁きのまなざし
  コラム1 ワイナーのモデルとしろうと裁判官
  みきわめることについて――共感というまなざし
2 心を読む側へのインパクト 275
  共感する他者
  評価し裁く他者
  他者の心を認知することと自らの道徳的なふるまい
  コラム2 社会心理学と人間観について
3 他者との関係を支える対人認知 287
  対人認知の社会性


あとがき(二〇一七年六月 唐沢かおり) [291-294]
引用文献 [vii-xv]
事項索引 [iii-v]
人名索引 [i-ii]