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『ウソと欺瞞のレトリック――ポスト・トゥルース時代の語用論』(山本英一 関西大学出版部 2019)

著者:山本 英一[やまもと・えいいち](1957-) 英語学(語用論・意味論)。
NDC:832 : 語源.意味[語義]


ウソと欺瞞のレトリック|関西大学出版部|関西大学

 ポスト・トゥルースの語に象徴されるように、現代は真実と虚偽の境界が見えにくい。ウソ・欺瞞が日常化した今、背景にあるレトリックの特徴を明らかにすることが重要になっている。本書は、語用論を出発点に、誠実な発話の対極にあるウソ・欺瞞が成立する仕組みを考え、間違った解釈へと誘導される人間の性向を解き明かす。


【目次】
献辞 [/]
目次 [i-iii]
まえがき(2018年9月 中秋の名月を愛でながら 山本 英一) [v-vi]


I 序論〜ウソと欺瞞の時代 001
注 008


II ウソの意味論語用論 011
2.1 ウソのタイポロジー
2.2 理論面からの整理
2.3 意味論からのアプローチ
  2.3.1 ウソの定義
  2.3.2 ウソの3要素と推論

2.4 語用論からのアプローチ
  2.4.1 推意とウソ
  2.4.2 一面の真理
  2.4.3 デフォールト推論
  2.4.4 デフォールト推論とレトリック
  2.4.5 推論の悪用一不誠実さの言語的カモフラージュ

2. 5 まとめ
コラム1


III ミスリードと語用〜発話解釈とデフォールトの手続き 031
3.1 はじめに
3.2 ウソと騙し
3.3 一面の真理とミスリード
  3. 3. 1 ミスリードの事例
3.4 公理違反一正しい推意
3.5 擬似推意
3.6 航海日誌と推論
3.7 デフォールト推論と擬似推意
3.8 真理デフォールト
3.9 語用論の考え方
  3.9.1 枠組みの不備
  3.9.2 騙しの2段階プロセス
  3.9.3 手続き的意味の存在と協調の原則
3.10 結語


IV 忖度について〜負のイメージを背負った言外の意味 057
4.1 はじめに
4.2 コノテーションと意味 用法の変化
4.3 推意受信としての〈忖度〉

4.4 忖度と推意
  4.4.1 忖度の正体
  4.4.2 推意 忖度に依存するわけ (1)
  4.4.3 推意・忖度に依存するわけ (2)

4.5 いま話題の〈忖度〉の特殊性
4.6 まとめ
コラム 2


V 欺瞞のメカニズム 073
5.1 はじめに
5.2 確認と穴埋め (直示・陰意導意)
5.3 仮説的推論
5.4 関連性理論・演繹法アブダクション
5.5 アブダクションと首尾一貫性
5.6 首尾一貫性の理論的背景
5.7 首尾一貫性と因果関係
5.8 首尾一貫性とアブダクションの役割
5.9 首尾一貫指向性
5.10 首尾一貫性と極小限定
5.11 極小限定と If節
5.12 極小限定と網羅的解釈
5. 13 まとめ
コラム 3


VI トリックの現場から 〜ウソと欺瞞の理論的背景 125
6.1 はじめに

6.2 無意識に起動する直感
  6.2.1 「点と線」 (思い込み)
  6.2.2 情報の量に対する期待 (1)
  6.2.3 情報の量に対する期待 (2)
  6.2.4 人間を中心とする期待

6.3 アブダクションの独壇場
  6.3.1 「砂の器
  6.3.2 「ブラウン神父」
  6.3.3 シャーロック・ホームズと推論

6.4 トリックの現場から理論へ
  6.4.1 アブダクションと直感
  6.4.2 直感タイプと熟慮タイプ
  6.4.3 直感と錯誤を導くバイアス

6.5 ヒューリスティックから見たミスリードの本質


結びにかえて 159


参考文献 [162-165]
索引 [166-170]
初出一覧 [171]