原題:Culture and Psychology: People Around the World, Second Edition. (Wadsworth, 2000)
著者:David Matsumoto 心理学。柔道。
監訳:南 雅彦[みなみ・まさひこ] 発達心理学。
総合監修:佐藤 公代[さとう・きみよ] 発達心理学。
訳者:中東 益映
訳者:マイケル 佐藤
訳者:深谷 恵子
訳者:木股 由香子
訳者:西田 宏美
訳者:今瀬 博
訳者:松下 景子
訳者:矢走 敦
訳者:細谷 路子
訳者:上野 真澄
訳者:永松 文美
カバーデザイン:林 律子[はやし・りつこ] (ラインアート日向)
件名:比較文化
件名:民族心理学
件名:文化心理学
NDC:361.5 社会心理学
備考:抄訳。
備考:公立図書館では文化心理学というキーワードが付されているが、「監訳者まえがき」では、文化心理学と比較文化心理学が対照的に説明されている。
http://www.kitaohji.com/books/2220_5.html
比較文化心理学では,たとえば,感情を形成する際に,普遍性もしくは汎文化性(すなわち生得的要因)の基盤の上に,文化的差異(すなわち文化的要因)がどのように影響をおよぼしているかを研究する。その結果,文化の類似点や相違点を探るわけである。普遍性という概念と文化の相違を統合することが,本書の主題である。
【目次】
監訳者まえがき(2001年夏 カリフォルニア州サンフランシスコにて 訳者を代表して 南 雅彦) [ii-v]
目次 [vi-ix]
第1章 比較文化心理学への導入 001
心理学とはいったい何なのか 002
科学における知識と真理の創造 003
心理学における調査のプロセスを理解するということ 005
研究と理論
方法と知識の関係
比較文化研究と心理学 008
比較文化心理学の影響:多文化的観点をもつということ 012
心理学の真理:心理学における文化改革
自己の生活および他者との相互作用
本書の目的 015
第2章 文化の理解と定義 019
文化を定義することの重要性 019
日常言語における「文化」という用語の使用 020
頻繁に使われる用語「文化」
文化に影響されている生活の側面
一般人のもっている文化の概念
抽象概念としての文化
周期的で活発な文化の性質
文化の定義 025
過去の定義
本書における文化の定義
ダイナミック(活動的)
規則システム
集団と単位(さらに分割された下位群)
生存
共有
態度,価値観,信条,規範,行動
(集団のさらに分割された下位群である)単位間における解釈の相違
次世代へと伝えられていき,比較的変化しにくいもの
時代とともに変化する可能性
どういった要素が文化に影響をおよぼしているのか
「個人としての文化」と「社会的構成概念としての文化」
文化 対 人格(パーソナリティ)
文化と多様性 033
文化と人種
文化と民族
文化と国籍
文化と性別
文化と身体障害
文化と性的嗜好
大衆と大衆文化
普遍的文化の原理 対 文化特有の相違:エミックとエティック 039
自民族中心主義とステレオタイプ(固定的概念)への導入 042
文化を測定可能な構成概念に変えること 044
文化を抽象的で不明瞭な構成概念から,具体的で有限の要素に整理し分類すること
文化の多様性における重要な「次元」の追求 046
個人主義−集団主義(IC)における理論的な研究
個人主義−集団主義(IC)に関する実証的実験
個人主義−集団主義(IC)の測定
心理学における文化の影響 053
結論 055
第3章 文化と自己 059
文化と自己概念 060
自己における異文化的概念化の一例:「自立している自己」と「相互依存的な自己」 063
自立的観点からの自己解釈
相互依存的観点からの自己解釈
認知,動機,感情の影響
自己認識の影響
社会的解釈の影響
達成動機の影響
自己向上と自己喪失の影響
社会的に内包された感情の影響
社会的な内包と文化特有的感情の影響
幸福の影響
批判的思考および自立した自己と相互依存的自己の分析評価 075
自立的観点からの自己解釈と相互依存的観点からの自己解釈を超えて:相関した自己概念と孤立した自己概念 078
多文化アイデンティティ 080
結論 082
第4章 文化と発達 083
「自文化」化と社会化 083
文化と気質
伝統的知識
気質に関する比較文化研究
文化と愛着行動
伝統的知識
愛着行動に関する比較文化研究
文化,育児,親であること,家庭
伝統的知識
養育スタイルに関する比較文化研究
経済機能として親であるということの多様性
拡大家族
気質,愛着行動,育児:まとめ
文化と教育
数学成績における国際比較
数学能力における国際間較差について考えうる生物学上の原因
数学成績に影響を与える社会的・文化的要素
言語
学校制度
親の価値観,家族の価値観
生徒の態度と評価
教師の教え方のスタイルと教師・学生の関係
まとめ
総合して考えると:文化と文化アイデンティティの発達
発達における文化と心理学的プロセス 105
認知発達
ピアジェの理論
比較文化的観点から見たピアジェの理論
ピアジェ理論の要旨と検討
認知能力の発達に関する他の理論
道德的推論
コールバーグの道徳理論
道徳的推論の比較文化研究
社会的感情の発達
エリクソンの社会的感情発達理論
「自文化」化の意味でのエリクソンの理論
その他の発達過程
結論 117
第5章 文化と感情 119
生活の感情の重要性 119
文化と感情表現 120
顔の表情による感情表現の普遍性
表情の中でみられる文化的相違:文化表示規則
最近の感情表現と表示規則についての比較文化研究
文化と感情の知覚について 129
感情認識の普遍性
感情の知覚におけるさらなる異文化間類似性についての証拠
「軽蔑」の普遍的表現法
感情知覚における異文化間に存在する相違性の証拠
感情の普遍性に対して感情知覚における文化的相違の意味するもの
文化と感情経験 140
感情経験の普遍性
感情経験上での文化的相違
文化と感情契機 146
感情契機の文化的類似
感情契機の文化的相違
感情契機の類似と相違の共存
文化と感情評価 149
感情評価の文化的類似
感情評価の文化的相違
文化とその概念と感情のことば 153
アメリカ人の日常生活における感情
アメリカ人心理学者の観点からの感情
感情の概念における異なる文化間における類似性と相違性
総括 160
第6章 文化と言語 163
言語と言語習得の要素 164
言語の特性
言語の習得
文化間の言語の相違 168
文化と言語における語彙
文化と語用論(プラグマティクス)
要約
言語と世界観:言語相関性の例 174
サピア・ウォーフ仮説
サピア・ウォーフ仮説を支持する初期の研究
サピア・ウォーフ仮説に異議を唱える初期研究
サピア・ウォーフ仮説を支持する最近の研究
サピア・ウォーフ仮説へさらなる異議を唱える研究
サピア・ウォーフ仮説:結論
バイリンガルにおけることばと行動様式 181
バイリンガリズムとバイリンガリズムに関するサピア・ウォーフ仮説の見解
バイリンガリズムと米国
バイリンガルにおける言語相対論の再考
バイリンガルに関する誤解
結論 186
第7章 異文化間コミュニケーション 189
コミュニケーションの定義 190
コミュニケーションを構成している要素 191
コミュニケーションの2つの形態
符号化(エンコーディング)と符号解読(デコーディング)
伝達経路,シグナル,メッセージ
コミュニケーション・プロセスにおける文化の役割 193
言語的および非言語的行動エンコーディングにおける文化的な影響
デコーディング・プロセスにおける文化的な影響
同一文化内コミュニケーション 対 異文化間コミュニケーション 194
クロス・カルチュラル(比較文化)研究とインターカルチュラル(異文化)研究の相違点
同一文化内コミュニケーション
異文化間コミュニケーションのユニークな側面
効果的な異文化間コミュニケーションに向けて 205
効果的な異文化間コミュニケーションの障害物
異文化間コミュニケーション能力
異文化感受性
異文化間摩擦の対処法
結論 215
引用文献 [217-237]
人名索引 [238]
事項索引 [239-248]