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『ことばと心理――言語の認知メカニズムを探る』(石川圭一 くろしお出版 2005)

著者:石川 圭一[いしかわ・けいいち] 

ことばと心理―言語の認知メカニズムを探る

ことばと心理―言語の認知メカニズムを探る

  • 作者:圭一, 石川
  • 発売日: 2005/10/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【目次】
目次 [ii-v]
はしがき [i]


第1章 音声 
1.1. 母音と子音の体系と獲得
1.2. 音節とモーラの認識と生成
  1.2.1. モーラの実在性
  1.2.2. 音節の認識と生成
1.3. アクセントの認識と生成
  1.3.1. アクセントとは
  1.3.2. 日本語話者による英語のストレスアクセントの認識
1.4. リズムの認識と生成
  1.4.1. ことばのリズムの類型
  1.4.2. 英語学習者によるリズムの生成と認知
  1.4.3. ことばのリズムと分割
1.5. 擬音語・擬態語
1.6. 親はどのように子どもの名前をつけるのか


第2章 語と文字 
2.1. 心内辞書の構造 
  2.1.1. 意味による結びつき
  2.1.2. 形による結びつき
  2.1.3. 子供の言い間違いからの示唆
  2.1.4. プライミング法による心内辞書構造の研究
2.2. 文字の認識 
  2.2.1. ストループ効果
  2.2.2. 語の読み
  2.2.3. 語の記憶
  2.2.4. 「空書」行動
  2.2.5. 文字中心の言語と音声中心の言語


第3章 文と文章の理解 
3.1. 文の記憶 
3.2. 文章の理解 
3.3. 物語の構造と理解 
3.4. 聞くこととノート・テイキング 
3.5. 比喩の理解 
  3.5.1. Metaphors We Live By
  3.5.2. 比喩の理解に関する実験


第4章 母語の獲得 
4.1. リズムと音声の獲得 
  4.1.1. 胎児の音声経験
  4.1.2. 5ヵ月児の言語の弁別
  4.1.3. 9ヵ月児のストレスパターンへの好み
  4.1.4. 8ヵ月児の語の取り出し
  4.1.5. 乳児の音声知覚に関する実験手法
4.2. からだの機能
4.3. 意味の把握
4.4. 会話の機能


第5章 外国語の習得・学習 
5.1. 第2言語の記憶と概念
5.2. 繰り返しの効果と語彙の学習
5.3. 音声英語の学習
  5.3.1. リスニングにおけるポーズの役割
  5.3.2. スピーキングにおけるプロソディーの特徴
5.4. 英語の読みと音韻
  5.4.1. 読解における構音抑制の影響
  5.4.2. 読みにおけるリズム
5.5. ことばの時間制御機構とリスニング
  5.5.1. 2つの音声処理機構がリスニングに果たす役割
  5.5.2. 聴解単位の特定化
5.6. 話すことと聞くことの関係
5.7. 外国語効果


第6章 言語と脳・思考・文化 
6.1. 脳と失語症
  6.1.1. 脳の半球左右差と機能
  6.1.2. 失語症言語聴覚士
6.2. 言語獲得の臨界期
  6.2.1. 母語獲得の場合
  6.2.2. 第2言語習得の場合
6.3. 言語と思考
  6.3.1. サピア・ウォーフの仮説
  6.3.2. 色の区別と言語
  6.3.3. 物体と物質の区分と言語形式
6.4. 言語と文化
  6.4.1. パラグラフ構造にみる文化思考パターン
  6.4.2. 説明における思考スタイルと文化差
  6.4.3. 自己観と認知的行為
  6.4.4. 文化と言語発達





【抜き書き】

   はしがき

 人は、ことばを、母語であれば特別な努力なしに、話したり聞いたりすることができる。音や文字の特徴を知り、多くの語を蓄え、文法をマスターし、他人の発する文の意味や意図を知ることができる。さらに外国語を習得することも可能である。このような言語能力は、いかに獲得され、使われているのであろうか。その心理的カニズムはどのようなものであろうか。
  本書は、ことばがどのように獲得、生成、理解、使用されるのか、その認知的・心理的カニズムを解明しようとする試みを紹介し、課題について考察する。ことばが実際どのように処理されるのかという問題について、「音声」「語と文字」「文と文章の理解」「母語の獲得」「外国語の習得・学習」「言語と脳・思考・文化」という角度から考える。
  執筆にあたっては、客観的データに基づいた実証的な研究を具体的に紹介することに努めた。ことばの処理に関する心理学的実験というものがどのようなものであるかを知ってもらうことも目的としている。言語の事象について心理学的に検討するには観察や実験が欠かせない。そこから得られた結果をどう考察するか、どのような課題が残っているか、どのように発展させられるかを、読者と一緒に考えたい。京都女子大学英文学科で担当した「心理言語学」、および、関西学院大学文学部で担当した「言語心理学」の講義内容が本書の基となっている。〔……〕