著者:岡本 夏木[おかもと・なつき](1926-2009) 発達心理学。
NDC:371.45 児童心理、児童研究。
NDC:376.11 理論・方法(幼児教育、保育)、幼児心理。
NDC:801.04 言語心理学。
【目次】
目次 [i-ii]
はじめに――発達のなかのことば 001
「話せないもの」から「話すもの」へ
子どもたちの戦いが教えるもの
発達のなかのことば
発達の障害とことばの遅れ
ことばとこころの乖離
一 ことば以前 015
1 新生児のコミュニケーション 017
発達の場としてのコミュニケーション
社会的動物としての人間
新生児の同期行動
新生児の共鳴動作
サイクルの交換
2 発達の場における「人」の機能 032
乳児にとっての「人」と「物」
意図をもってかかわる
同じ人間として反応する
さまざまな機能、いろいろな場面
新しい課題をつくり出す
いくつもの感性経路を通して
開かれた系、開かれた場
3 共有関係のなりたち 048
意図的道具性と協約性
微笑の共有
目と目の絆
視線の共有
意図の発生
シグナルの共有
人見知りはなぜおこるか
4 行動による対話 065
やりとりゲームの意味するもの
スプーンとしてのスプーン
テーマの共有
経験の共有
対話的発声
指さしとことば
二 シンボルの形成 083
1 記号の世界 085
シンボルとしてのことば
「象徴の森」
シグナル
インデックス
シンボル
象徴機能と言語機能
寝るふり
模倣の意味
2 音声の機能 100
動作の脱文脈化
音声の自由の獲得
意味の模倣としての音声
ハリディの調査
岡村佳子氏の調査
3 人間におけるシンボル 113
意味づけ・意味づけられる関係
行動物から静観対象へ
情動的・行動的性質のくびき
対人的関係のくびき
外なることばと内なることば
三 ことばの獲得 127
1 ことばの機能と子どもの発達 129
追跡研究の問題点
模倣的発声と自発的発声
「ニャンニャン」の記号化過程
ことばの役割
コレ・ナニウマ?
コレ・プチノヤネ・プニチアゲルワ
話の消長
育児語の特徴
2 自我の形成とことば 160
ことばと自我
自分の名前と自分
キミとボク
情動とことば
動作とことば
しつけとことば
ことばによって失われるもの
3 発達の障害とことば 180
ことばの障害
障害とは何か
発達的問題としてのことばの障害
研究と実践の協力体制
障害児のことばが教えるもの
おわりに――三つのエピソードから 191
変なことば
「生活」とことば
ことばの共有
あとがき(一九八一年一二月 岡本夏木) [199-202]
【関連記事】
本書を参考にしている文献のうち、いくつか。
・内田伸子(2010)「「学び」の発達――生きたことばは学びの世界を拓く」 in 渡部信一[編] 『「学び」の認知科学事典』(大修館書店)
岡本『ことばと発達』とあわせて内田(2004)「子どものコミュニケーション能力の発達とことばのカリキュラム―― 一次的ことば~二次的ことば~三次的ことばへ」(秋田喜代美[編]『子どもたちのコミュニケーションを育てる』教育開発研究所に収録)を参照しつつ、ことばの発達には〈三次的ことば〉の段階がある、というを記述している。
・『「自白」はつくられる――冤罪事件に出会った心理学者』(浜田寿美男 ミネルヴァ書房 2017)
警察による捜査・刑事裁判での人々の供述と「調書」に残ることばの問題について分析するさいに、本書が(おおいに)参照されている。