contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『百年前の日本語――書きことばが揺れた時代』(今野真二 岩波新書 2012)

著者:今野 真二[こんの・しんじ] (1958-) 日本語学(日本語史、表記史)。
NDC:810.26 国語史(現代語)


百年前の日本語 - 岩波書店


【目次】
はじめに――日本語に明治維新はあったか [i-iv]
目次 [v-vii]
文献の引用について [viii]


第一章 百年前の手書き原稿――夏目漱石『それから』の自筆原稿 001
一 漢字のかたち――漱石の書いた「所」の字 002
  字形・字体・書体
  書体とデジタルフォント
  夏目漱石の自筆原稿
  混在する書体

二 漱石も「新字体」を使っていた 014
  新字体旧字体とは
  康熙字典体とは
  『康熙字典』という辞書
  『康熙字典』のみかた
  『康熙字典』の「規範」としての影響力
  漱石が使った非康煕字典
  不思議な「真」の字

三 手書きと印刷との間で 028
  漱石の原稿用紙
  段落の設定
  行頭の句読点
  印刷するように書く
  促音の表記方法


第二章 「揺れ」の時代――豊かな明治期の書きことば 039
一 日本語を漢字によって書く 040
  複数の書き方
  規範としての中国語
  漢語を漢字で書く
  漢語の漢字離れ
  和語を漢字で書く
  標準的ではない語形も漢字で書く
  外来語を漢字で書く

二 活躍する振仮名 054
  「一般的ではない」書き方
  「商量」はどんな語を書いたものか
  語形を明示する機能
  振仮名と送り仮名

三 語形の多様性 062
  話しことばと書きことば
  講談筆記本とボール表紙本との対照
  話すように書く
  話しことばを書く工夫

四 書き方の多様性――同語異表記・異語同表記 068
  現代日本語の表記
  同語異表記
  異語同表記
  和語と漢語とのつよい結びつき

五 和漢雅俗の世紀――漢英対照から和漢雅俗へ 077
  さまざまな handkerchief
  『漢英対照 いろは辞典』


第三章 新しい標準へ――活字印刷のひろがりと拡大する文字社会 083

一 『朝日新聞』に掲載された夏目漱石の『それから』 084
  手書きと活字印刷と
  標準語形への変換「ヤッパリ」・「ヨッポド」
  消された語形「ツブヤグ」・「カグ」
  「ピヤノ」と「ピアノ」と
  「難有い」から「有難い」へ

二 新聞紙面の日本語 094
  「漢字平仮名交じり」と「漢字片仮名交じり」との併存
  振仮名の使用
  濁点の使用
  漢文式表記
  漢語の書き方

三 雑誌の日本語 105
  『日本之女学』の誌面
  書きことばに露出する訛形
  話しことばの流入
  「カエル」と「カイル」と
  話しことばの足跡
  揺動が露出した時代


第四章 統一される仮名字体――失われた選択肢 117

一 仮名のさまざまな使い方 118
  複数の仮名字体
  異体仮名の使い方
  二つの仮名文字遣い

二 一九〇〇年のできごと 129
  小学校令施行規則
  ひろまる統一規則

三 消えた「仮名文字遣い」 134
  明治期の仮名文字遣い
  仮名字体の収斂
  語頭に使われる〈志〉
  仮名文字遣いの痕跡


第五章 辞書の百年――辞書を通してみた日本語の変化 151
一 英和辞書の訳語 152
  辞書から追う日本語の語彙体系の変化
  『英和字彙』の訳語
  ふたつの「翻訳」
  第二版での変化

二 漢語辞書から考える 161
  漢語辞書に載せられている漢語
  語釈からわかること
  明治期の漢語の実態
  漢語語彙の変遷
  消えていった漢語
  漢語の画期

三 和語・漢語・外来語 173
  漢語ではない中国語
  和語と漢語との緊密な結びつき
  外来語の占める位置
  外来語の理解


おわりに――日本語が得たもの、失ったもの 183
  日本語の百年
  書き方のルール
  これまであって、今ないこと
  これまでなくて、今あること
  日本語のこれから


あとがき(二〇一二年八月 今野真二) [191-195]