著者:今野 真二[こんの・しんじ] (1958-) 日本語学(日本語史、表記史)。
NDC:810.26 国語史(現代語)
【目次】
はじめに――日本語に明治維新はあったか [i-iv]
目次 [v-vii]
文献の引用について [viii]
第一章 百年前の手書き原稿――夏目漱石『それから』の自筆原稿 001
一 漢字のかたち――漱石の書いた「所」の字 002
字形・字体・書体
書体とデジタルフォント
夏目漱石の自筆原稿
混在する書体
二 漱石も「新字体」を使っていた 014
新字体・旧字体とは
康熙字典体とは
『康熙字典』という辞書
『康熙字典』のみかた
『康熙字典』の「規範」としての影響力
漱石が使った非康煕字典体
不思議な「真」の字
三 手書きと印刷との間で 028
漱石の原稿用紙
段落の設定
行頭の句読点
印刷するように書く
促音の表記方法
第二章 「揺れ」の時代――豊かな明治期の書きことば 039
一 日本語を漢字によって書く 040
複数の書き方
規範としての中国語
漢語を漢字で書く
漢語の漢字離れ
和語を漢字で書く
標準的ではない語形も漢字で書く
外来語を漢字で書く
二 活躍する振仮名 054
「一般的ではない」書き方
「商量」はどんな語を書いたものか
語形を明示する機能
振仮名と送り仮名
三 語形の多様性 062
話しことばと書きことば
講談筆記本とボール表紙本との対照
話すように書く
話しことばを書く工夫
四 書き方の多様性――同語異表記・異語同表記 068
現代日本語の表記
同語異表記
異語同表記
和語と漢語とのつよい結びつき
五 和漢雅俗の世紀――漢英対照から和漢雅俗へ 077
さまざまな handkerchief
『漢英対照 いろは辞典』
第三章 新しい標準へ――活字印刷のひろがりと拡大する文字社会 083
一 『朝日新聞』に掲載された夏目漱石の『それから』 084
手書きと活字印刷と
標準語形への変換「ヤッパリ」・「ヨッポド」
消された語形「ツブヤグ」・「カグ」
「ピヤノ」と「ピアノ」と
「難有い」から「有難い」へ
二 新聞紙面の日本語 094
「漢字平仮名交じり」と「漢字片仮名交じり」との併存
振仮名の使用
濁点の使用
漢文式表記
漢語の書き方
三 雑誌の日本語 105
『日本之女学』の誌面
書きことばに露出する訛形
話しことばの流入
「カエル」と「カイル」と
話しことばの足跡
揺動が露出した時代
第四章 統一される仮名字体――失われた選択肢 117
一 仮名のさまざまな使い方 118
複数の仮名字体
異体仮名の使い方
二つの仮名文字遣い
二 一九〇〇年のできごと 129
小学校令施行規則
ひろまる統一規則
三 消えた「仮名文字遣い」 134
明治期の仮名文字遣い
仮名字体の収斂
語頭に使われる〈志〉
仮名文字遣いの痕跡
第五章 辞書の百年――辞書を通してみた日本語の変化 151
一 英和辞書の訳語 152
辞書から追う日本語の語彙体系の変化
『英和字彙』の訳語
ふたつの「翻訳」
第二版での変化
二 漢語辞書から考える 161
漢語辞書に載せられている漢語
語釈からわかること
明治期の漢語の実態
漢語語彙の変遷
消えていった漢語
漢語の画期
三 和語・漢語・外来語 173
漢語ではない中国語
和語と漢語との緊密な結びつき
外来語の占める位置
外来語の理解
おわりに――日本語が得たもの、失ったもの 183
日本語の百年
書き方のルール
これまであって、今ないこと
これまでなくて、今あること
日本語のこれから
あとがき(二〇一二年八月 今野真二) [191-195]