著者:鈴木 孝夫[すずき・たかお] (1926-2021) 言語学。“言語社会学”。
NDC:804 言語(論文集.評論集.講演集)
※まる一頁以上を占める大きな図・表は、この目次に反映させています。
【目次】
カラー口絵
目次 [i-iii]
第一章 ことばで世界をどう捉えるか 001
序論――ことばによる環境認識 002
ことばの伝達機能
ことばの叙述機能
赤い太陽 白い太陽
靴と長靴
自覚されぬ認識法の違い
本書の構成
教養主義的な効用
一 orange はオレンジとは限らない 008
茶色の車
色見本を回覧して
私の誤解
「オレンジ色の猫」
明るい茶色
不可解な翻訳
柿の実の色
金魚の色
二 フランス人は黄色の封筒が好き? 017
《黄色い封筒》
《黄色い靴》
明るい茶色
《黄色い》封筒は茶封筒
本当に黄色か
三 色彩語の二つの用法 022
日常言語の使われ方
鯨は魚か
弁別的用法と専門的用法
赤砂糖は「茶色」
基本色と専門色
四 緑のリンゴ 028
リンゴは赤
リンゴは緑
英語のリンゴ
ドイツ語のリンゴ
ロシア語のリンゴ
五 comme une pomme(リンゴのような) 032
色も形も
丸い頬
国語辞典から日本語辞典へ
色は決めかねる
赤とも結びつく
六 太陽と月 038
赤い太陽、黄色い太陽
仏語・独語と露語
ある宇宙物理学者の体験
自然科学と人文・社会科学
自覚と検証
人の育った文化的背景
文化を知らなければ…
無視できない摩擦
アラブ人と太陽
月こそ美
七 蝶と蛾 049
「パピヨン」を見た驚き
ドイツ語の場合
ゲーテの詩
ロシア語の蝶と蛾
混乱の原因
注 055
第二章 虹は七色か 059
一 世界認識の反映としての言語 060
アメリカでは虹は六色
世界共通語があれば…
伸縮自在の構造
二 英語の辞書・事典の中の虹 063
日本語の虹
文化人類学では
英和辞典の虹
英英辞典の虹
[表1 英英辞典にみる‘rainbow’の語義] [069]
百科事典は七色
三 文学・童話・絵本の虹 071
辞書のつくられ方
英国の小説
翻訳の段階で
虹のすべて
絵本など
四 学校教育での虹 076
科学教育では
虹の色の記憶法
直接質問してみると
六色と七色
五 フランス語・ドイツ語・ロシア語の虹 080
フランス語の虹
ドイツ語の虹
ロシア語の虹
六色の虹の切手
ロシア語の辞典では
ロシア人の暗記法
なぜ七か
六 科学者の虹、民衆の虹 091
西洋古典語の虹
七色はニュートンから?
『光学』が出発点に
科学の分野と民衆のレベル
非西欧圏の虹
トルコ語辞典では
伝統文化の崩壊
注 102
第三章 日本人はイギリスを理解しているか 105
一 文献依存の外国文化研究はなぜ生まれたのか 106
日本人の孤立感
文献万能主義
二 国際交流の第一歩は何か 109
国際化の時代
イスラム教徒を招く時
英語教育の目標
三 英国人が絶対に食べないもの 111
馬肉
犬の肉
四 運動会の賞品は現金 113
日本とよく似ているが
異文化の認識
五 足は恥部の一つ 115
靴屋に靴ベラがない!
靴を脱ぎたがる日本人
靴ベラの利用
一日中脱がない英国人
素足は恥部
中国人と足
文化の刻印
問題意識が必要
注 123
第四章 漢字の知られざる働き(1)――音読みと訓読みの関係 127
一 意味論的透明性と不透明性 128
難しい単語
日英両語の高級語彙
聴いて分からなくても
透明性と不透明性
音読みと訓読み
二 高級語彙と基本語彙の関係 135
「水頭症」と「無影灯」
英語の高級語彙の難しさ
漢字の音と訓
三 概念の二重音声化と表記の双面性 140
二重音声化と双面性
一般論と例外
四 日本の漢字の双面神的二面性 143
古代ローマのヤーヌス神
漢字のヤーヌス的双面性
錨と鎖
英語・仏語の二重読み
日本語の利点の理解を
高級語彙の作りやすさ
[表7 基本概念を表わす漢字とそれに対応する英語] [151-156]
五 概念表記の不変・恒常性 157
漢和辞典の部首索引
意味領域の表示
表記に《血》のある語彙
英語の場合
[表8 血に関する英語の高級語彙] [161]
注 162
第五章 漢字の知られざる働き(2)――視覚的弁別要素の必要性 165
一 貧弱な音韻・音節構造を補う 166
変わりにくい音声構造
漢字の助け
音素の数と単語の長さ
語の長さと使用頻度
「メ」「ハ」「ネ」…
もう一つの理由
子音+母音
英語・ドイツ語の場合
[表9 単音節の構造] [173-174]
二 抽象的な意味構造を補う 176
漢字のもつ個別具体性
ドイツ語とフランス語
帽子も手袋も靴も
「時計」の場合
英語と日本語
「なく」という動詞
「なる」の場合
「かたい」
表現の長さ
[表10 英語の基本語の個別具体性を示す例] [186-191]
同訓漢字の存在意義
三 視覚利用の日本語にとっての必然性と利点 194
漢字の知識がないと…
耳と目の能力の差
テレビ型言語
同音衝突の原理
同音語と漢字
日本語の中の漢字
国際化時代
四 カナ書き外来語の評価 204
外来語の氾濫
草花の名とイメージ
[表11 カタカナ表記の植物名] [206-207]
日本語の植物名
なぜデルフィニューム?
厚生大臣の驚き
当用漢字から常用漢字へ
読めば理解できるか
カタカナ語洪水の素地
英語教育が普及して
漢字制限の狙いと帰結
縮約現象で符諜化
さまざまな「コン」
五 言語干渉による日本語の変容 222
日本語はダサい?
雑誌の名前
[表13 英語名をもつ雑誌・定期刊行物の例] [224-225]
音響機器の英語表示
「日本語だと泥臭い」
英語使用の理由
タバコの名前
自動車の名前
自動車の部分名称
日本語名の自動車
日本人の心理
揺れ戻し現象もあるが
注 236
あとがき(平成元年十二月 鈴木孝夫) [241-242]
【図表一覧】
表1 英英辞典にみる‘rainbow’の語義 069
表2 西洋古典文献の虹 092-093
表3 英語の高級語彙 131
表4 日本語の高級語彙(ローマ字表記) 131
表5 日本語の高級語彙(漢字表記) 133
図1 高級語彙と基本語彙の関係(A) 137
図2 高級語彙と基本語彙の関係(B) 144
図3 同一概念の二重音声化と同一表記の双面性の関係 147
表6 英語,仏語の省略記号の読み方 148
表7 基本概念を表わす漢字とそれに対応する英語 151-156
表8 血に関する英語の高級語彙 161
表9 単音節の構造 173
表10 英語の基本語の個別具体性を示す例 186-191
表11 カタカナ表記の植物名 206-207
表12 コンを含むカタカナ語の例 221
表13 英語名をもつ雑誌・定期刊行物の例 224-225